【NZ オーストラリア:15】ヘンチキ5種テイスティング(赤編)


苦節3年、ついにヒル オブ グレイスを飲む事が出来ました。

こんにちは、HKOです。
今回はヘンチキの赤です。カリフォルニアのスクリーミングイーグル同様、飲む事が叶わなかったワインのうちの一つにヒル オブ グレイスがあったのですが、ようやっと飲む事が出来ました。これでほぼオーストラリアのプレミアムシラーズはほぼ全制覇。一区切りつきました。ボルドーはサンテミリオンとポムロールが、ブルゴーニュはロマネコンティとアンリジャイエとルーミエのミュジニーが、カリフォルニアではマーカッシンヴィンヤードが残っていますのでまだまだ終われませんが、オーストラリアは新進気鋭に注力できるようになりました。

さて、行ってみましょう。


【データ】
ドイツより移民したヨハン クリスチャン ヘンチキが1868年に設立した老舗家族経営ワイナリーで、シラーズの最高峰グランジと双璧を成す、樹齢130年のシラーズを使用した「ヒル オブ グレイス」がフラッグシップとなります。発酵層は全て古典的なコンクリートタンクを使用し、熟成樽は新樽90%、古樽10%(フレンチオーク67%、アメリカンオーク33%。)
「神の恵みの丘」という教会の側のヴィンヤードから収穫できる“ヒル オブ グレイス”は、樹齢130年にも及ぶシラーズ100%で造られている。
その他、レンズウッド ピノノワールは澱と共にフランス産小樽(23%新・77%古)で9か月熟成。
レンズウッド シャルドネは全房プレス後、自然酵母で発酵後、澱と共にフランス産小樽(45%新・55%古)で10か月熟成。
エデンヴァレーリースリングはタンク発酵後、果実味を残すために熟成せずすぐに瓶詰。
キーントン エステート ユーフォニアムはフランス産、アメリカ産ホグスヘッド15%新樽・85%古樽で18か月熟成。セパージュはシラーズ62%、カベルネソーヴィニヨン23%、メルロー8%、カベルネフラン7% 。


【テイスティングコメント】
生産者: ヘンチキ
銘柄: レンズウッド ジルス ピノノワール 2012
品種: ピノノワール100%

8500円、WA90pt(2009)
外観は淡いルビーで、粘性は中庸。
フレッシュでクリーンなピノノワール。果実本来の風味の方が先に出ていると思う。
熟したアメリカンチェリーやフランボワーズの赤系果実の風味、そこにほのかな甘みが乗ってくる。スミレやシナモンを中心に、控えめななめし皮とワッフルの要素が感じられる。フレッシュハーブや少し青い梗の要素もある。
フレッシュなピノノワールで、酸と明るくフレッシュなベリー類の風味が際立って感じられる。
酸味と優しいタンニン、ほのかな余韻の苦味がある。
ベリー類やスミレの余韻を残していく。


生産者: ヘンチキ
銘柄: キーントン エステート ユーフォニアム 2010
品種: シラーズ62%、カベルネソーヴィニヨン23%、メルロー8%、カベルネフラン7%

8500円、WA92pt
外観は赤みの強い濃いガーネット、粘性は高い。
すでにシラーズのグランヴァンに近い風格を持っている。ブラックベリーやカシスリキュールの酸を感じさせつつ、しっかりと熟度の高い果実味がある。そしてミントや焦げた西洋杉やバニラなどの樽香、スミレやラベンダーの華やかさ、落ち葉、燻製肉、漢方のようなアロマ、リコリスなど。
果実味の甘さはシラーズだけど、どこか感じさせる木材やカシスのような果皮の要素はカベルネらしい。シラーズ100%に比べると幾分か丸みを感じる。
ファーストノートはシラーズ、そして徐々にカベルネの要素があらわになっていくようだ。
酸味はパワフルで、タンニンも充実。熟したブラックベリーやカシスの長い余韻を感じられる。ただ丸みや凝縮感はあまり感じられず、立体感がやや感じられない。だが価格帯を考慮すると素晴らしいし、香りは一線級だと思う。


生産者: ヘンチキ
銘柄: ヒル オブ グレイス 2009
品種: シラーズ100%

105000円、WA99pt(2005)
外観は赤みの強い濃いガーネット、粘性は高い。
かなり堅牢なシラーズで、クリスリングランドのフラッグシップにも通じるようなタールがごとき黒土の要素が感じられる。そしてチョコレートやコーヒーの様な強いローストの樽香、その奥にプラムやブラックベリーのコンポートの様な濃厚で極めて密度の高い果実味が隠れている。果実味は球体を帯びていて凝縮感を感じる。土や落ち葉、燻製肉、プーアル茶、ローズウッド。スターアニスやコリアンダーシードのようなスパイシーな要素も感じられる。わずかに血のようなアロマも含んでおり、いわゆる濃厚一辺倒ではなく、極めて多くの要素を包含していることがわかる。現状では樽香がもっとも目立っているが。
タンニンや酸は充実しており、口当たりにグランヴァン独特の球体感を感じられる。極めて高いグリセリンを持っており、熟した黒系の果実とプーアル茶、コーヒーの様な香ばしい余韻が長く続く。
さすがヒルオブグレイス。


【所感】
ピノノワールは傑出しているとは言い難いですが、ユーフォニアムやヒル オブ グレイスはまさに傑出と言って差し支えのない出来だったと思います。
ユーフォニアムはバロッサヴァレーの太陽を良く浴びた熟したシラーズの華やかさ、カベルネの品のある余韻が魅力的でしたし、エデンヴァレーのヒル オブ グレイスは冷涼な気候と超古木の凝縮感と堅牢さが本当に半端なかった。感服でございます。
まずはピノノワールから行きます。
どちらかといえばニュージーランドにも通じるクリーンなピノノワールだと思います。白のクロフトど同様しっかりとした熟度はあるのですが、ソノマの古典的ピノノワールと比べるとグリセリン感は落ち着いていますし、新世代の様に瑞々しくありながらアルコール感が目立つ作りではありません。
アルコール度数が際立たず、クリーンといえばニュージーランドかブルゴーニュですが、ブルゴーニュから見るとグリセリン感は低く、作りも古典的です。そうなるとニュージーランドっぽいと。
瑞々しい赤系チェリーとスミレの香りが魅力的で、蜜のような清らかな甘みが乗ってきます。スパイスとグリニッシュと合わさりエレガントな余韻を感じさせるピノノワールです。価格対比で言うと今ひとつですが、良くできたピノノワールです。
次はオーストラリアンブレンドの典型、カベルネソーヴィニヨン&シラーズ。よく出来ています。
バロッサヴァレーの典型的な熟したシラーズの蕩ける様な甘い香りと華やかさがあり、中域をカベルネのカシスの要素で支えています。樽の効かせ方はカベルネに合った形で効かせていて、基本的にはシラーズ的でありながら、どこかナパカベな要素も感じられます。
鋭角的なシラーズの華やかな香りは少し控えめに、若干の硬質さと樽の丸みが組み合わさっている。
シラーズの少し酸味を思わせるブラックベリーや華やかなスミレ、漢方の要素とともにカシスや西洋杉の様なアロマ。基本シラーズなのでいきなりキャッチーで非常に熟度の高い果実味が感じられるワインです。
香りはグランヴァン的な風格があるのですが、タンニン、酸味共に充実しているのですが、口に含んだ時の粘性が今ひとつで、立体感はやや落ちると感じました。ただボルドーブレンドのシリルよりは良くまとまってると思います。やはりシラーズが得意なのでしょうね。
そしてそんなシラーズ100%でありヘンチキ最高の、オーストラリア最高峰のグランヴァンが「ヒル オブ グレイス」。全体的な印象としてはランリグ程アルコール感やグリセリンはなく(それでも十分すぎるほど高いですが)、グランジほどキャッチーではないです。どちらかというと...バロッサヴァレーのクリス リングランドに近い印象を受けました。例えるならば樽の掛け方か。粘性はリングランドの方が強いですが、タールを感じさせる重苦しいロースト香はそっくりです。
そんな感じで、かなりロースト香が強く、タールや黒土、チョコレートの様なアロマが主体的に感じられます。
その奥に高濃度の凝縮感を感じる果実味が横たわっており、冷涼な気候と超古木に起因する複雑性、グリセリンの強さ、そして凝縮感と堅牢さが前面に感じられます。ゆっくりと育った超古木から収穫される葡萄のポテンシャルは推して知るべしといった感じ。
暑い気候で超古木ならビッグワインに、寒い気候で若木なら軽い酒質のワインに、暑い気候で若木ならシンプルでキャッチーな熟度の高いワインになる。ならば超古木と冷涼な気候ならどうなるか。
古木の長い根が時間をかけて葡萄を育てるから複雑性が、そして超古木の収量の低さが高い糖度をもたらす。寒暖の差が凝縮度と堅牢さをもたらす。なるほど、素晴らしいメカニズムの畑だと思う。
そこに樽の強い要素と目立たないMLFでさらに複雑さを助長していく。
現段階では堅牢で、樽と果実味が分離しているが、これが熟成を重ねるとどうなるか。きっと素晴らしいだろう。間違いのない強烈なポテンシャルを感じさせるワインだ。

今回は100%ヒル オブ グレイスが目的でしたが、意外や意外にシラーズカベルネやリースリング、シャルドネが良かったのが印象的でした。
もちろんヒル オブ グレイスは凄まじいですが、マウントエーデルストーンを更に果実の凝縮度、抽出、樽を向上させたものなので、想定の範囲内といえば想定の範囲内です。シラーズカベルネはいわゆるバロッサヴァレー的な味わいですが風格がありますし、コッテリしたシャルドネやクリーンなリースリングはスタイルが合えば多分好きな人は多いんじゃないかと。
シリルはヒル オブ グレイスと樽使いは似ていますが、カベルネの特徴と微妙に合ってなくて、ちょっと苦手でしたが。他には全く悪い印象はないですね。
なかなか芸風が豊かです、ヘンシュケ。

勉強になりました。





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プロフィール

HKO(はこ)

Author:HKO(はこ)
HKOです。
世界を股にかけない普通の内勤サラリーマン。
体はピノノワールとシャルドネで出来ていますが、最近は専らシラー、グルナッシュ、ヴィオニエなどの南仏品種や、ジンファンデルみたいな濃い品種が好み。貴重なワインや興味深いワインを求めて日夜東京を徘徊する日々。
食べ歩きを2014年頃からスタート。
ミシュラン星付きフレンチ(2017年度版まで)制覇まであと2店舗。
2店舗のハードルが高いので、最近は手軽なビストロなどを周遊。
基本フレンチ/イノベーティブ/フュージョンを愛するが、イタリアンや和食にも食指を伸ばす日々。ペアリングは考えず、皿の中で終局する世界観を大切にしています。

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