【シャンパーニュ:44】ビルカール サルモン モノセパージュ(白)

こんにちは、HKOです。
ビルカールサルモンレポート、最後はモノセパージュの2本です。
グランクリュ ブラン ド ブラン、そしてビルカール サルモン最高の単一セパージュ、単一畑「レ クロ サン ティレール」です。


【データ】
ビルカール サルモンは1818年にニコラ フランソワ ビルカールとエリザベス サルモンによって設立されたメゾン。
ワインの葡萄は10haの自社畑(ピノノワールのみ)、30haの35の自社以外の畑、140haの契約農家の畑から産出されています。(ピノノワール、シャルドネはモンターニュ ド ランス地区とコート ド ブラン地区、ピノムニエはヴァレ ド ラ マルヌ地区から作られています。)
自社畑から作られるピノ ノワールはマレイユ シュール アイ村と特級のアンボネイ村産で収量は40~45ha/L程度。ノンヴィンテージのリザーブワイン比率は40%。
ブラン ド ブランはグランクリュ100%。アヴィズ、メニル シュール オジェ、クラマンの葡萄を使用。
フラッグシップのクロ サン ティレールはマレイユ シュール アイの単一畑クロ サン ティレール(1ha)のピノノワール100%。平均樹齢50年程度。生産本数は3500本程度。ノンドサージュ。


【テイスティングコメント】
生産者: ビルカール サルモン
銘柄: ブリュット グランクリュ ブラン ド ブラン NV
品種: シャルドネ100%

約11000円、WA90pt
透明に近いストローイエロー、粘性は中庸。
バタートーストやブリオッシュ、白い花、その蜜の様な果実味があり、瑞々しいリンゴや洋梨の様な果実味が感じられる。ほのかにナッツの要素があり、フレッシュハーブが感じられる。ピノノワールのワイルドな旨味は影を潜め、極めてシルキーで繊細。上質なシャルドネを飲んでいるような感覚。香りは拡散的で、ブリオッシュやリンゴ、ハーブのクリーンな風味が広がっていく。
酸はフレッシュで若々しく、旨味は大変スムーズ。旨味にインパクトは少ないが、極めて綺麗な酸がある。リンゴやハーブ、バターのような余韻が感じられる。


生産者: ビルカール サルモン
銘柄: レ クロ サン ティレール ブラン ド ノワール 1996
品種: ピノノワール100%

約70000円、WA96pt
やや濃いめのストローイエロー、粘性は高い。
芯の通ったミネラル感があるが、どちらかというと強烈無比な旨味が目を引く。ある種、ブラン ド ブラン、そしてエリザベス サルモンとは好対照だ。
香りからして強烈な濃密さと凝縮感を包含している。僅かに塩味を感じさせるクリームブリュレあるいはカスタード。時間経過とともに強いカラメルやブランデーの様な余韻を残していく。
バタークリームやバニラの要素と濃密な出汁の様な酸化的な旨味が共存している。ハチミツやネクタリン、熟したリンゴのような僅かに塩味を帯びた果実味。控えめではあるもののローストナッツの要素やドライハーブなどの要素が感じられる。重厚で充実した香りと圧倒的なボティを持っている。
酸味は穏やかだが、その分群を抜いた旨味がある。
他のキュヴェとは比較にならない旨味。
ネクタリンを思わせる高濃度で高密度で力強い余韻があり、そこに樹皮やナッツ、バターを感じさせる長い余韻がある。素晴らしい。


【所感】
ついに!クロ サン ティレールを飲めました!
想像していたよりずっと良くて感動...と共に若いタイミングで飲んではいけないボトルだな...とも思いました。早く感想を書きたいのですが、まずはブラン ド ブランから。
もちろんティレールと比較すると分が悪いのは間違いないのですが、それはやむなしで。
ただ一般的なブラン ド ブランとして考えても非常によく出来ています。アヴィズ、メニル シュール オジェ、クラマンのシャルドネで各々の個性がよく出ています。アヴィズやクラマンの果実味をメニルのミネラル感で引き締めている。全体的にはエリザベスサルモンに通じる様な繊細さを秘めたブラン ド ブランです。
MLF起因のふくよかさと核種系果実の凝縮した蜜の様な味わい、樽起因のナッツの様な風味、フレッシュハーブが感じられ、それらが拡散的に広がって非常にクリアな余韻を残していきます。炸裂するような旨味は無く、酸の美しさとシルキーさが魅力的です。堅牢さとは無縁のしなやかなシャンパーニュになっています。
さて、クロ サン ティレールです。
クロ サン ティレールは熟成したドンペリニヨンのリッチさと熟成サロンの背筋の張った緊張感、ヴィエイユヴィーニュ フランセーズの旨味と凝縮感を全て持ったシャンパーニュといえばわかりやすいでしょうか。
キャッチーな側面がありながら張り詰めたような緊張感と内に秘めたエネルギーの大きさを併せ持ったアンビバレンスな魅力に満ちたシャンパーニュです。
完璧というにはアグレッシブで、過不足というには全ての要素が揃いすぎている。
例えるならばアンバランスの黄金比、魅力的な偶発的に取られた調和。エリザベスサルモンやブラン ド ブランと好対照を成す不確定要素を孕んだエネルギーの奔流。そこにあるのは強烈無比な印象。
ブランデーやクリームブリュレ、そして塩気を帯びた果実味、凝縮感のある旨味、ハチミツ、出汁の様な要素。暴走する個性が熟成のニュアンスを帯びて多くの要素が我先にと主張する。押さえつけるべきミネラル感はそれらの主張を静観し、それでいて個々の要素の調和が取られている。抽象的な物言いですが、比較的的を得ているのではないかと思います。
素晴らしいシャンパーニュです。熟成シャンパーニュの魅力全てをこの一本で体現している。
恐ろしいワインです。価格的には安価にすら思えます。一度は飲むべきシャンパーニュだと思います。

さて、これでビルカールサルモンの全ポートフォリオとなります。
個人的にはクロ サン ティレールは別格として、繊細な魅力が感じられるエリザベス サルモンとブラン ドブランの良さが際立っている様に感じました。コストパフォーマンスはニコラ フランソワ ビルカールが随一ですが、これらのシャンパーニュと比べると、少し通常のフラッグシップに寄った作りかな、と思います。
値付けはポートフォリオごとに妥当ですが、ビルカールサルモンの恐ろしさがわかるのはこの3本だと思います(多少ブラン ド ブラン贔屓ではありますが)
改めてビルカールサルモンのファンでよかったな、と感じますね。物凄いワインたちでした。



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HKO(はこ)

Author:HKO(はこ)
HKOです。
世界を股にかけない普通の内勤サラリーマン。
体はピノノワールとシャルドネで出来ていますが、最近は専らシラー、グルナッシュ、ヴィオニエなどの南仏品種や、ジンファンデルみたいな濃い品種が好み。貴重なワインや興味深いワインを求めて日夜東京を徘徊する日々。
食べ歩きを2014年頃からスタート。
ミシュラン星付きフレンチ(2017年度版まで)制覇まであと2店舗。
2店舗のハードルが高いので、最近は手軽なビストロなどを周遊。
基本フレンチ/イノベーティブ/フュージョンを愛するが、イタリアンや和食にも食指を伸ばす日々。ペアリングは考えず、皿の中で終局する世界観を大切にしています。

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