【コニャック:1】最高峰のコニャック、その優美な世界観。

こんにちは、HKOです。

本日は最上クラスのコニャック3種類です。
このブログでもブランデー(マールやフィーヌ)を扱う事がごく稀にありますが、今回は一歩踏み込んで本丸ともいうべきコニャックを。まあ初体験というわけではないのですが、あまり経験値が高くない状態で、このクラス、ってのは少し悩んだのですが、折角なので飲んでみようと思い立ちまして。
すごい体験になりましたよ!


◾︎まずはおさらい、コニャック地方のブランデー。
【葡萄品種】
ユニブラン(トレッビアーノ、サンテミリオン)主体
補助品種はコロンバール、フォルブランシュ。

【コニャック地方のテロワール】
シャラント川沿い。粘土石灰質の土壌が石灰質の底土層を覆い、石灰含有度は表土で60%を超える。モンモリロナイト質粘土により土壌は肥沃で水はけもよく、多孔質の底土が毛細管現象により水を上げ、土地の乾燥を防いでいる。そのため、空気が乾燥しても表土はしっとりとしている。生産可能面積は109万ha

【製造方法】
伝統的な銅製のポットスチルを用いた単式蒸留を2回行って得られたアルコール度数70%程度の精留分を、フランス国内産のオークの樽で2年以上熟成し、水で度数40%に希釈して製品とする。色付けに少量のカラメルを添加することもある。

【ACオー ド ヴィ ド ヴァン ド コニャックの地域】
グランド・シャンパーニュ(Grande Champagne)
※石灰土壌の最高峰地区、全体生産量の1%以下。
プティット・シャンパーニュ(Petite Champagne)
ボルドリ(Borderies)
ファン・ボワ(Fins Bois)
ボン・ボワ(Bons Bois)
ボワ・ゾルディネール(Bois Ordinaires)


◾︎今回のテクニカルデータ
【データ】
ポール ジローは400年前にグランドシャンパーニュ地方に設立され、1800年代後半からコニャックの生産を始めた生産者。
収穫は全てのブドウを品質を確認しながら一つ一つ手で摘み、自然に発酵。また一括して大量に蒸留するのではなく、個別に樽に詰めるタイミングを計ります。
通常「50年熟成」という表現をされますが、年数が変わる可能性もありヘリテッジは50年に近い古酒がブレンド、瓶詰めされます。

レミーマルタン社は1874年に設立された大手コニャックメーカー。ルイ13世はそのフラッグシップとも言えるコニャックで同社のカーヴで半世紀以上熟成されていた原酒を用い、ユリの花の装飾がほどこされたデキャンタに収められている。100%グランドシャンパーニュ産の原酒を使用。品質の高さは不作の年にもレミーマルタンの畑だけは拡大を許したエピソードが有名。樹齢100年を超えるリムーザン地方産のオークで作られた樽で50年から100年以上寝かされた1200を超える原酒をアッサンブラージュ。

ヘネシーはリチャード ヘネシーによって1765年に設立されたコニャックメーカー。今回のリシャール ヘネシーは同社のフラッグシップ。原酒には、コニャックの6つの産地の内、上質な葡萄ができる4地域から原酒を厳選。40年から200年熟成の100種類にも及ぶ最高格付の貴重な原酒を独自にブレンド。 カラフェは手吹きのバカラ製クリスタルで、一つ一つにナンバリングが施されています。


◾︎テイスティングコメント
生産者: ポール ジロー
銘柄: ポールジロー ヘリテージ(50年)

約30000円
かなり熟成感を感じる風味がある。
少し土の風味や、穀物的な風合いを感じる。少し熟成日本酒に近いアロマが感じられる。
ドライフィグの果実味、セメダイン、フレッシュハーブ。ハチミツなどの風味、少しメイプルを思わせる様な香りもある。バニラなどの要素も感じられる。シナモンなどのスパイスの要素。白胡椒などの風味も。
舌触りから香りの遷移が本当に素晴らしい。アルコール的なアタックは非常に柔らかく、みずみずしいチェリーの様な柔らかい果実味が感じられる。


生産者: レミー マルタン
銘柄: レミー マルタン ルイ13世

約210000円
輪郭がハッキリとしたていながらもトースティーで濃厚な香りが感じられるブランデー。
葡萄の果皮をほのかに感じさせるフレッシュ感、ビターなキャラメルトフィーの様な甘い樽香、ドライプルーン、ハッキリとした輪郭。徐々にスパイスやグリニッシュな干し草やハーブの香り、そしてオーク、メープルシロップ、バニラ、余韻はエレガントなブルゴーニュを思わせるトースト的な風味も感じられる。
スパイシーでフレッシュ感に満ちたアルコール感どスパイシーな胡椒やビターキャラメル、干し草の様な複雑な余韻を残していく。アルコールのアタック感がしっかりとある。


生産者: ヘネシー
銘柄: リシャール ヘネシー

約350000円
豊満でふくよかなボリューミー、どこかスパイシーな要素を感じる事ができるブランデー。
チョコレートやミルクを感じさせるまろやかな香りで、焦げたキャラメルトフィーやドライベリーの果実味、少し白胡椒を感じるスパイシーな風味が感じられる。徐々に甘みが向上し、クリームブリュレやココナッツ、バニラ、果皮、干し芋の要素が感じられる。
ミルクティーなど次々と香りが遷移していく。最上クラスのシャンパーニュを思わせる。石鹸や花の要素も現れる。複雑無比。
石灰的なミネラル感、堅牢さ、ハーブ、フレッシュでフルーティーな干し葡萄、強烈な粘性と余韻が非常に長く続いていく。余韻の残り方が恐ろしい、いつまでも下の上で残る。凄まじい一本。



◾︎所感
ポールジローは熟成感、ルイ13世はフレッシュ感と複雑さ、リシャールヘネシーは超絶余韻とふくよかさのコニャックでした。それぞれに特徴があり、それぞれ素晴らしいのですが、非常に強く感じた事は、どのコニャックにもワインにも似たニュアンスを持っている点です。
例えばポールジローであれば、どこか酸化的な熟成を経た日本酒やワイン的なニュアンスがあるし、ルイ13世はブルゴーニュにも似たトースティーなアロマがあります。リシャールヘネシーに至っては良く出来た熟成シャンパーニュの様なクリームブリュレのアロマを纏っています。ワイン用の原料から作ったマールやフィーヌには実はワイン的な要素をあまり感じた事がないのですが、コニャックに関してはワイン用では無いのにも関わらず、そういったアロマを感じさせるのが面白いですね。

まずはポールジローですが、先述した通り、酸化熟成を経た日本酒を思わせる穀物的なアロマが感じられます。そして豊かなドライフィグやメイプルシロップの様な甘さを感じさせる樽の要素、高アルコールらしいスパイシーなシナモンや白胡椒のアロマが感じられます。
特筆すべきはこの中で最も柔らかくしなやかな舌触りを持っており、瑞々しいチェリーを思わせる果実味が感じられます。この中ではそういった意味でも一番熟成感を感じさせますね。
他のコニャックは100年級、200年級の原酒を使用していながらも、アッセンブラージュの妙なのか、ここまでの柔らかさは感じませんでした。これはこれでなかなか素晴らしいと思います。後の2本とはまた別の良さですね。

次にルイ13世。以前フォーシーズンズのバーで見かけましたが、まあ、なかなか手が出ないですよね。
ホテルだし。今回飲めたのはラッキーでした。
極めてトースティーでキャラメルトフィーやメイプルシロップ、バニラなどの様な樽香と共に、品があるブルゴーニュを思わせる樽香が混じってきます。
極めてキャッチーで、ドライプルーンの様な甘い芳香が鼻腔をくすぐります。スパイスや干草の要素もあり、極めて複雑、それでいて各々の要素がハッキリとした輪郭を形成しています。これが若々しくも見える。
また時間を追うごとに、キャッチーなキャラメルのアロマからスパイス、プルーンへと次々と遷移していくのが面白いですね。ストーリーがある様にも見える。異なる熟成年のアッセンブラージュに起因するものでしょうか。アルコールのアタック感は溌剌として強烈。素晴らしいと思います。

最後はリシャールヘネシー。
ルイ13世は輪郭がハッキリとしたコニャックでしたが、リシャールは要素の境界線が曖昧なコニャック。渾然一体と言うには、要素が膨れ上がっており、巨大なボリューム感を持っている。明らかな統制がありながら、外向けに暴発するエネルギー感。
概念的にはそんな感じなんです。で、これ香りも素晴らしいのですが、とにかく余韻が絶妙というか芸術的なんですよ。しっとりと舌に残る馥郁たる香りと、その余韻がいつまでも消えない。決してアルコール感頼りではなくて、それ以外の原料的な部分起因なので、アタック感はどこかしなやかなんですよねえ。
要素としてはチョコレートやミルク、カラメルトフィーといった樽要素とドライベリー。
徐々にクリームブリュレやココナッツ、果皮の要素、スパイスと白い花のアロマが感じられます。
石灰の様なミネラル感も穏やかで豊満な酒質に一本筋を通しています。堅牢さとしなやかさ、華やかさとボリューム感を全て両立している。アンビバレンスな魅力もあるコニャックです。
とにかく余韻とボリューム感は是非感じて頂きたい一本。半端ないです。
カラフェ代が高いとか言われてますが、まあカラフェも高いんでしょうが、一発で感動できるレベルのコニャックです。ぶっちゃけルイ13世が霞むレベルで。
高いですが、ワンショットでも飲む機会があれば是非。

しかし、先述した通り、この3本素晴らしかったです。
なんか新しい扉を開いてしまった様で正直恐ろしい...
ただこれ以上はそうそう無いと思いますんで、色々と探してみようかと思います。




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プロフィール

HKO(はこ)

Author:HKO(はこ)
HKOです。
世界を股にかけない普通の内勤サラリーマン。
体はピノノワールとシャルドネで出来ていますが、最近は専らシラー、グルナッシュ、ヴィオニエなどの南仏品種や、ジンファンデルみたいな濃い品種が好み。貴重なワインや興味深いワインを求めて日夜東京を徘徊する日々。
食べ歩きを2014年頃からスタート。
ミシュラン星付きフレンチ(2017年度版まで)制覇まであと2店舗。
2店舗のハードルが高いので、最近は手軽なビストロなどを周遊。
基本フレンチ/イノベーティブ/フュージョンを愛するが、イタリアンや和食にも食指を伸ばす日々。ペアリングは考えず、皿の中で終局する世界観を大切にしています。

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