【ブルゴーニュ: 115】自然派の先鋒と変貌中の近代派生産者が作る、特級クロ ヴージョ

こんにちは、HKOです。
本日はヴォーヌロマネとニュイ サン ジョルジュの生産者が作るクロ ヴージョです。かたや自然派でも独特の存在感を放つプリューレロック、近代的な生産者のジャン グリヴォーの比較です。


【データ】
プリューレロックはDRCの共同経営者アンリ フレドリック ロックが運営する個人ドメーヌです。とても偉大な生産者で唯一無二のアンリ節を感じさせる個性的なワイン群にはファンが多いです。栽培はビオロジックで、収量は25~30hl/ha。除梗はせず房ごと木樽にて自然酵母で発酵、キュヴェゾンは3週間。ピジャージュは人の手にて、アルコール強化の補糖は一切せず、コルヴェは新樽100%で20ヶ月熟成、スショは新樽50%と1年樽併用で18ヶ月の熟成となります。樽はトロンセの樽。プリューレロックの特級クロ ド ヴージョは上部区画の35年~70年の古木を使用している。新樽比率は不明。

ジャン グリヴォーはヴォーヌロマネに拠点を置く、近年評価が高まっているドメーヌ。一時期ギィ アッカをコンサルタントに迎え、強すぎる抽出で評価を落としたものの、現在はリュットレゾネでの栽培や、一部の畑は馬での耕作を行いながら、収量を引き下げ続け、2000年半ば以降は品質を高め続けている。除梗は100%、新樽率は40%-70%。樽業者は4社を利用している。フラッグシップはリシュブール、エシェゾー、クロ ヴージョ。



【テイスティングコメント】
生産者: プリューレ ロック
銘柄: クロ ド ヴージョ グランクリュ 2012

約29000円、WA92pt(2002)
外観は淡いルビーで、粘性は低い。
ロック香、というよりは今となっては自然派的な香りといった香りかもしれない。ただし香りからして凝縮感があるのは一目瞭然。グランクリュの風格に満ちている。
オレンジや瑞々しいダークチェリーやブラックベリーの甘酸っぱい芳香に、イーストやスパイシーな茎やクローヴの要素、鉄分や燻製肉の様な野生的なアロマが混じり合う。スミレや樹皮、ローズヒップティー、ほのかな旧樽の様な土を帯びた香りが感じられる。
全房的なグリニッシュさと瑞々しい果実味、そしてイースト的なニュアンスはやはり自然派的。
強い旨味を伴う酸味があり、レバーペーストや甘酸っぱい黒系チェリー、そしてほのかに乗るタンニンが非常に心地よい。


生産者: ジャン グリヴォー
銘柄: クロ ド ヴージョ グランクリュ 2011

約30000円、WA94-96pt(2010)
外観は赤みの強い濃いルビー、粘性は高い。
強烈な樽香と抽出を想定していたか想像以上にみずみずしくピュアなワインだった。
とはいえ比較的樽も抽出は強く一般的にはジュヴレシャンベルタンを想起させそうな香りだが、ピュアで瑞々しい果実味が以前より主張している印象だ。
やや焦げた炭焼きの様な香りにマロラクティックなミルクティーの様な要素に包まれたなめし皮や鉄の要素に、瑞々しく華やかなダークチェリーやブラックベリーの様な果実味。それらとともに黒糖の様な甘露さを帯びている。スミレや枯れた葉、ハーブティー、コリアンダーや五香粉、すこしスパイシーなクローヴなどの要素もある。
全体的には樽が主軸でその他の要素が上手くそこに絡みついている感じ。
酸もタンニンもかなり充実して、合わせて旨味の波が押し寄せる。ミルクをかけたストロベリー、華やかでスミレや葉の様なアロマが含み香としては主軸となっている。引き締まった味わいで旨味は充実。素晴らしい。



【所感】
自然派的生産者とギィ アッカ&アンリ ジャイエ系生産者のクロ ヴージョです。全房発酵と100%除梗+低温浸漬の構図ですね。
はい、同じ畑とは思えない程、比較にならない位違いますね。
そもそも自然派でも独特のプリューレ ロック、と方や元とはいえ近代的醸造手法のジャン グリヴォー。こうなるのは自明の理というか、当然ですね。
今回のプリューレロックのワインはやっぱりプリューレロックだし、ジャン グリヴォーのワインはジャン グリヴォーでした。ただジャン グリヴォーの方は少しだけ毛色が変わってきた様な気がしないでもないですね。
まずプリューレロックのクロ ヴージョは、先述した通り、プリューレ ロックのワインでした。醸造手法としてはDRCに連なるものですが、よりプリミティブな自然派的で、DRCの様なある種洗練された感じはありません。ホールバンチによるスパイシーな要素と瑞々しい黒系果実の果実味(ここが赤系で高凝縮なのがDRCといった印象です)、そして燻製肉と樽香が混じり合うスタイル。世界的な視点で見ると、オーストラリアやカリフォルニアの新進気鋭の自然派生産者と共通しているスタイル。彼らの大本となるスタイルとなっているのだと思います。DRCの共同経営者ですが、スタイルとして似ているのは、まだフィリップパカレの方が似ていますよね。もはや独特の世界観がある様な気がします。
冷涼感があるのとアルコール度数12%と低めなのはクロ ド ヴージョのテロワールと理解していいのかな? エキス感というのか、そういったものはエシェゾーにもやっぱり近いかな、と思うんですが、このスタイル、ブルゴーニュにも少ないからわからないですね。やっぱプリューレ ロックなんですよね。

対してジャン グリヴォーは流行り(?)というか今となっては主流の様な作りをしていると思います。
2009年や2010年からすでに当初の極端な抽出スタイルから脱却していますが、2011年ヴィンテージはそれを更に推し進めた様な形です。また樽の要素も少し控えめになっています。(2009年や2010年という強いヴィンテージに対して強めに樽香や抽出を強めに施したのかもしれませんが)
もうそうならば2011年が本当の形?
そうするとかなりエレガントの様な気がしますね。勿論それでも樽と抽出は強めですが、2009年の五香粉を思わせる香りと比べればかなり普通です。
問題の抽出も滑らかなミルクティーと香ばしい樽香が綺麗に相殺していて、かなり穏やかになっているではないですか。適度な華やかなさもいいですね。果実味もよくでており、黒糖の様な甘い香りが感じられます。除梗によるクリアな風合いが醸造的要素を際立たせてますね。
口当たりは絶妙でストロベリーのミルクを思わせる瑞々しくまろやかな口当たり。完全にキャッチーなワインになっている。
非常に良くできていて、そろそろこのスタイルの完成を見た感じかも。

そんな感じでロックとグリヴォー、全く違うんですよね。ちっとはクロ ヴージョらしさを比較から見出せないか、というのがありますが、まあ無いですね。
果実味とタンニンの太さ、低重心、土っぽさは、共通項としてやっぱりあると思うんですけど、分かりにくいなぁ。



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HKO(はこ)

Author:HKO(はこ)
HKOです。
世界を股にかけない普通の内勤サラリーマン。
体はピノノワールとシャルドネで出来ていますが、最近は専らシラー、グルナッシュ、ヴィオニエなどの南仏品種や、ジンファンデルみたいな濃い品種が好み。貴重なワインや興味深いワインを求めて日夜東京を徘徊する日々。
食べ歩きを2014年頃からスタート。
ミシュラン星付きフレンチ(2017年度版まで)制覇まであと2店舗。
2店舗のハードルが高いので、最近は手軽なビストロなどを周遊。
基本フレンチ/イノベーティブ/フュージョンを愛するが、イタリアンや和食にも食指を伸ばす日々。ペアリングは考えず、皿の中で終局する世界観を大切にしています。

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