【シャンパーニュ:52】有名RMの比較的スタンダードなシャンパーニュ3種

こんにちは、HKOです。
本日は有名RMのキュヴェ3本を頂いて、比較してみたいと思います。


【データ】
アンドレ エ ジャック ボーフォールはアンボネイに拠点を置くNM。※ただし生産は7haの自社畑で行っていますので、実質RMに当たります。
畑はアンボネイに1.6ha、オーブのポリジィに4.5haに保有し、4分の3以上はピノ ノワール、残りはシャルドネ。年間約30,000本。
ビオロジック栽培の草分け的な存在で、1971年より、化学肥料、除草剤、殺虫剤、合成殺菌剤は一切用いず、植物性の堆肥とアロマテラピー、ホメオパシーを使ったビオロジックを実現しています。硫黄すら利用しません。醸造は葡萄をプレス後、自然酵母のみでアルコール発酵、冬に澱引き、春にマロラクティック発酵。SO2はデコルジュマンの際に僅かに使う程度で補酸は行いません。熟成は最大で100年規模の古樽を使用し、新樽は使用しない。
瓶内2次発酵は葡萄の濃縮果汁、あるいはサトウキビの砂糖で実施。ルミアージュは手作業。数年の瓶熟成後にデコルジュマン。ドサージュは有機農法の葡萄の濃縮果汁を使用。基本的に全てのキュヴェはピノ・ノワール80%、シャルドネ20%。

ド スーザはアヴィーズ村に拠点を置くレコルタン マニピュラン。
醸造責任者はエリック ド スーザとミシェル ド スーザ。100%石灰土壌の9.2haを保有し、作付け比率はシャルドネ60% ピノノワール30% ピノムニエ10%で平均樹齢は40年以上、古いものは50-70年の古木も。
栽培はビオディナミと有機栽培を併用している。
コーダリーはアヴィーズの樹齢50~100年のシャルドネを100%使用したブラン ド ブラン。オーク樽(15%新樽)で発酵、熟成。リザーブワインは1995~2008年を使用。ベースは2009年。それぞれ半々のアッセンブラージュ。ドサージュは3.5g/l。
フラッグシップはキュヴェ デ コーダリー ミレジム。
今回のはノンヴィンテージのキュヴェ デ コーダリー。

ジャック セロスは現在シャンパーニュで最も注目されているレコルタン マニピュラン。
ビオディナミから一線を引き、自然派でありながらロジカルにビオの必要不必要を判断している。
アイとアンボネイに0.7haのピノ ノワールを保有し、リューディを少量生産している。
一次発酵には2種類のサイズ、5つの樽メーカーを使用し、平準化をしている。発酵には天然酵母を使用し澱引き、濾過せずに翌年5月頃まで新樽比率10%で樽熟成。マロラクティック発酵は行わない。この時点でリザーブかボトリングかを判断する。ボトリング後、3年間のカーヴでイースト菌と共に8年間瓶熟成。デゴルジュマンは瓶口を凍らせずに手作業で行う。スティラージュ後は6ヶ月間寝かせて出荷される。
今回のイニシャルはセロスのスタンダードシャンパーニュにあたる一本。シャルドネ100%。クラマン、アヴィズ、オジェに植えられた平均樹齢40年のシャルドネのみを用いてから造られたブラン ド ブランです。
ソレラシステム使用。


【テイスティングコメント】
生産者: ジャック セロス
銘柄: イニシャル ブラン ド ブラン NV

約20000円、WA92pt
外観は淡いイエローで粘性は中庸。
フレッシュながらナッティーで木材の香ばしい香りを帯びている。小石の様なミネラル感。
イースト香、ローストしたナッツや濡れた木材、エシレバターなどの酸化的で香ばしい香りを中心にドライハーブなどの風味、濃密なシロップの様な風味がハッキリと感じられる。酸化的。加えて、花梨や和梨の熟したリンゴの様な溌剌とした果実味、白檀、ドライハーブ、アスパラガス、白カビの様な風味が感じられる。複雑。
泡はかなりフレッシュで力強い、酸味は穏やかでふくよかでボリューム感を強く感じさせる一方で、やはり複雑さを強く感じさせる。白カビやイースト、ナッツの様な余韻が強く残っていく。


生産者: ド スーザ
銘柄: キュヴェ コーダリー ブラン ド ブラン NV

約18000円、WA92pt
外観は淡いイエローで粘性は中庸。
フレッシュかつ濃密な甘い果実味とスパイシーさが同居する。ハッキリとしたテクスチャーを持つシャンパーニュ。シャープなミネラル感。
熟したリンゴや洋梨の様な溌剌として濃密な果実味、シロップを思わせる濃密な甘い香り、ブリオッシュ、杏仁豆腐の膨らみのあるナッツやバターの香り、白い花、フレッシュハーブ。そしてカルダモンやクミンなどのスバイシーさ感じられる。少し酸味に寄った味わいでもあるが、基本的に香りは豊満でスパイシーな印象。
酸味は強めで、華やかな旨味の広がりがある。チョーキーさとクリームチーズ、フレッシュハーブなどの余韻を感じさせる。


生産者: ジャック ボーフォール
銘柄: ブリュット ヴィンテージ 1989

約20000円、WA90pt
少し色が濃いイエロー、粘性は中庸。
旨味がやや前に出た熟成シャンパーニュ。
濡れた木材、バター、プリンのような香りを帯びた熟成感がしっかりと感じられるシャンパーニュ。濃密なハチミツ、バルサミコビネガー、アプリコットやカリンの様な旨味を強く感じさせる果実味がある。濡れた木材やドライハーブ、白い花やドライフルーツの様なアロマも感じられる。僅かにだけ獣香的な風味が混じる。
酸味と旨味が突出し、熟した赤リンゴを丸かじりした様な強い旨味、少し鉄分の含有を感じられる。
酸は穏やかなのだが、旨味が強く、非常にボティに厚みがある。シェリー的であり、かつハチミツなどの風味も余韻として残っていく。


【所感】
ジャックセロスとド スーザ、そしてジャック ボーフォールでした。結構豪華ですね。
まずジャックセロスから。デコルジュマンは2014年です。
リューディーなどと比べると比較的酸化ニュアンスは控えめだと思いますが、やはりセロスのシャンパーニュは独特の雰囲気を纏っています。次のド スーザとは結構対照的かもしれません。
小石の様なツルッとしたミネラル感と、樽と酵母の香りが際立っていて、エシレバターの様な少し塩気を感じさせる旨味とドライハーブの香りが支配的です。そんな中和梨や花梨を思わせる蜜の様な甘い香りも出てきますが、他の要素と入り混じって極めて複雑なテクスチャーを形成しています。
そんなこなれた複雑な要素とは相反して泡は溌剌と立ち上っており、含み香の複雑さとは裏腹に溌剌さすら感じます。ノンヴィンテージ的な性質ではありますが、結構極端だなぁ、と思います。

対してド スーザのコーダリーはリザーブワインの比率が多いにもかかわらず、フレッシュなシャンパーニュとなっています。ハッキリとしたテクスチャーを持つシャンパーニュで、フレッシュで濃密な蜜の様な果実味とスパイシーさが同居しています。
核種系果実やブリオッシュ、フレッシュハーブを主体として、そして独特のカルダモンやクミンの様なスパイシーな要素が混じってきます。
最上のブラン ド ブランらしい繊細さやピュアネスを持っており、いわゆる王道的な部分は感じられるのですが、その中でも極めて香りは鮮明に感じられます。
かなり良く出来たノンヴィンテージシャンパーニュだという印象を受けます。
テクニカルなセロスのシャンパーニュとは好対照ですね。酸化的なニュアンスがあまり感じられません。
セロスから比べると複雑さに欠けますが、香りの要素の際立ち方はかなりレベルが高いと感じました。

最後は熟成シャンパーニュ、ジャック ボーフォールのヴィンテージ 1989。丁度飲み頃と思しきヴィンテージですが、そのものズバリ、かなりいい感じの古酒になっています。旨味が前に出た熟成シャンパーニュですが、サロンやアラン ロベール程ではなく、ドンペリニヨンやボランジェなどのキュヴェに似た熟成をベースにして、旨味を強調させた様な感じだ。
濡れた木材やバター、プリンなどの要素があり、その上でバルサミコビネガーやアプリコットの様な充実した旨味の果実味が現れ、ハチミツの様な甘い香りが混じります。少しだけ獣香が混じるのは(個人的には)残念ですが、まあ許容範囲だと思います。複雑さの中の一つの要素といった感じですね。
かなり複雑かつキャッチーな香りがしていると思います。
口に含むと旨味が凄い感じられます。りんごを丸齧りした様な厚みのある味わい。ピノノワール主体だからかもしれませんね、太い酸が特徴的だと感じました。
これもすごくいい感じですね。

各々方向性が異なっていて、単純比較できませんがやっぱり順当に熟成を重ねたジャック ボーフォールがとても良かったですね。
コーダリーはフレッシュ感の最高峰的な感じがしますし、セロスも複雑さの極みなんですが、どこか無理をした様な感じに見えるんですよね、ノンヴィンテージって。まあ、これは好みですし、決して嫌いではないのですが、順当に年を取ったシャンパーニュを飲むと、やっぱりいいよなぁ、って思いますよね。




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プロフィール

HKO(はこ)

Author:HKO(はこ)
HKOです。
世界を股にかけない普通の内勤サラリーマン。
体はピノノワールとシャルドネで出来ていますが、最近は専らシラー、グルナッシュ、ヴィオニエなどの南仏品種や、ジンファンデルみたいな濃い品種が好み。貴重なワインや興味深いワインを求めて日夜東京を徘徊する日々。
食べ歩きを2014年頃からスタート。
ミシュラン星付きフレンチ(2017年度版まで)制覇まであと2店舗。
2店舗のハードルが高いので、最近は手軽なビストロなどを周遊。
基本フレンチ/イノベーティブ/フュージョンを愛するが、イタリアンや和食にも食指を伸ばす日々。ペアリングは考えず、皿の中で終局する世界観を大切にしています。

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