【カリフォルニア :42】ナパの代表的銘柄から見る熟成の可能性

こんにちは、HKOです。
本日はカリフォルニアを代表する2つの生産者、ドミナス エステート、そしてシルバーオークの古酒です。
特に今回の見所はシルバーオーク ノースコースト 1973。シルバーオークの設立が1972ですから、ファーストヴィンテージ、あるいは2回目のヴィンテージかもしれません。


【データ】
ドミナス エステートは1983年から続くカリフォルニアの中でも比較的長い歴史を持つワイナリーの一つ。拠点はヨーントヴィル。シャトーペトリュスのクリスチャン ムエックスがカリフォルニアに保有するワイナリーです。ドミナスは歴史的なナパヌック・ヴィンヤード(50ha)の葡萄で造られています。
生産量は年間6000~8000ケース。50%はセカンドワインのナパヌックとして、50%はこのドミナスとしてリリースされます。フレンチオーク樽(新樽40%)で16~18ヶ月熟成でリリースされます。

シルバーオークは1972年にレイ ダンカン氏とジャスティン メイヤー氏によってナパヴァレーに設立されたワイナリー。カベルネソーヴィニヨンに特化しアレキサンダーヴァレーとナパヴァレーの2種類のみリリース。アメリカンオークにこだわり、独自に開発したブリージング技術でカベルネソーヴィニヨンながら、そのイメージを覆す滑らかさが味わいを作り出します。
最高級アメリカンオークの新樽で24~30ヶ月の樽熟に続き、15~18ヶ月の長い瓶熟を経てリリースされるアメリカンクラシックワイン。


【テイスティングコメント】
生産者: ドミナス エステート
銘柄: ドミナス 2009
品種: カベルネソーヴィニヨン86%、カベルネフラン10%、プティヴェルト4%

WA97pt
外観は赤みの強いガーネットで、粘性は中庸。
相変わらずボルドーに寄った作りで、適度に熟成感が出ている。土やキノコの様な香りが既に出始めている。樽を感じさせる炭焼きやカカオのアロマ、熟したブラックベリーやプラムの様な果実味がある。燻製肉、ほのかにミルクポーションの要素があるが、香りに少し酸を帯びていてスミレや溶剤。ワッフルの様な香りが感じられる。
香りは少し沈み気味であまり新世界の様な溌剌さは無いが、口に含むと滑らかで明快な果実味が膨らむ。
酸やタンニンは非常に滑らかで、球体とまではいかないが、かなりツヤツヤとしてシルキーかつ粘性がよく感じられる。黒系ベリーとスミレの香りが口の中に広がっていく。


生産者:シルバー オーク
銘柄: ノース コースト カベルネ ソーヴィニヨン 1973
品種: カベルネソーヴィニヨン84%、メルロー8%、カベルネフラン4%、プティヴェルト4%

WA89pt
オレンジを帯びたガーネット、粘性は中庸。
熟成してかなりエレガントかつ繊細に至ったカベルネソーヴィニヨン。アメリカのカベルネとは思えない。
タイムなどのハーブや濡れた土の様な熟成起因のアロマ、熟成肉の様な旨味の表出、黒オリーブや紫蘇の様な果実味が強く感じられる。鉄観音やドライイチジク、優しいドライアプリコットの様なしなやかな果実味、プリザーブドフラワー、ほのかな鉄の様な風味。徐々に干した果実の様なアロマも現れる。樽香は殆ど溶け込んでいる。枯れながらも確かに奥底に果実味が残っているのが素晴らしい。
かなり出汁的で酸の方が強めに感じられ、タンニンはほぼ滑らかに溶け込んでいる。梅柴や萎れた花、タイムの様な風味と、繊細な旨味が口の中に広がっていく。


【所感】
まずドミナス 2009。一応目下の最新ヴィンテージになる訳ですが、リリース直後からかなり円熟した形になっています。勿論ベースは若々しいカベルネソーヴィニヨンだと思いますが、幾分か土やキノコといった熟成香が現れています。
樽や果実味はまだ分離気味ではあるものの、熟した黒系フルーツ、そして香ばしい樽香はかなり魅力的。またマロラクティック発酵のニュアンスもあっていい感じです。いわゆる新世界の様にガッツリと丸みと厚みがある訳では無く、適度な酸としなやかさを備えているのがいいですね。強烈に香る様な芳香性は無いんですが、口に含んだ時のツヤツヤとしたシルキーな舌触りは新世界なりだなぁと思います。変に濃くないですし、無理のないエレガンスや抑制の効いた良いカベルネソーヴィニヨンだと思います。
結構何度か飲んだワインですが、相変わらずいいな、と思いますね...

次にシルバーオーク。新世界にあって1970年代のワインというのはかなり珍しいのではないかな、と思います。しかもファーストヴィンテージ直後、っていう少しレアな感じも魅力的です。
流石にかなり熟成感があり、極めて出汁感に近づいている印象。エレガントに熟成しています。
枯れ感はありますが、液体のしなやかさはかなりいい感じだと思います。若いヴィンテージはアメリカンオークのバニラの香りが強く漂いますが、そういった感じは既にありません。極めてコアな部分だけ残っていて、ほぼ樽香は溶け込んでいる感じです。
熟成したカベルネのハーブや濡れた土、熟成肉、黒オリーブや紫蘇などの旨味を残した澄んだ液体のといった感じでしょうか。
時折アプリコットの様な酸味と旨味が結合した果実味とほのかな鉄分を感じさせます。
樽香もそうですが、タンニンもほぼほぼ削ぎ落とされていて、どちらかといえば現在は酸が優勢の状態。
とはいえ酸も跳ねる様な若々しさは一切無く、旨味と結合した滑らかな酸が存在するだけですが。
個人的にカリフォルニアの古酒で80年代以前は飲んだ事がありませんでしたが、綺麗に熟成するものだとかなり感心してしまいました。
よく新世界のワインは熟成しないとも言われますが、このワインを飲んでいると「適当な事言うな...」って思っちゃいますね。
ほかのボルドータイプもあと10年くらいしたらいい感じになるのかしら。結構楽しみですね。


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HKO(はこ)

Author:HKO(はこ)
HKOです。
世界を股にかけない普通の内勤サラリーマン。
体はピノノワールとシャルドネで出来ていますが、最近は専らシラー、グルナッシュ、ヴィオニエなどの南仏品種や、ジンファンデルみたいな濃い品種が好み。貴重なワインや興味深いワインを求めて日夜東京を徘徊する日々。
食べ歩きを2014年頃からスタート。
ミシュラン星付きフレンチ(2017年度版まで)制覇まであと2店舗。
2店舗のハードルが高いので、最近は手軽なビストロなどを周遊。
基本フレンチ/イノベーティブ/フュージョンを愛するが、イタリアンや和食にも食指を伸ばす日々。ペアリングは考えず、皿の中で終局する世界観を大切にしています。

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