【南アフリカ:7】南アフリカ優良生産者の最上のキュヴェ Pt.2

こんにちは、HKOです。
本日も引き続き南アフリカです。

【データ】
マリヌーファミリーワインは、2007年に南アフリカ スワートランド地域に設立されたワイナリー。
ワインメーカーはクリスとアンドレア マリヌー。
サスティナビリティー農法を実践し、醸造においては、極力人為的な介入を避けています。発酵は野生酵母で行い、無濾過無清澄で瓶詰め。
今回のシラーは7つの畑をブレンドし、50%の全房発酵。計15%の新樽を含むフレンチオーク、500リットル、2000リットルのフードルで14か月間の熟成。
スワートランドのテロワールをワインで表現することを追求しており、フラッグシップは土壌毎にリリースされるボトルとなっている。シュナンブランは「グラナイト」「クォーツ」「シスト」、シラーは「グラナイト」「アイロン」「シスト」。非常に少量生産で、お値段驚きの1万5千円。強気ですね...サディ ファミリーに比肩しそうな勢いです。ケープ クラシフィケーション 2016では1級格付(去年も1級)。

ニュートン ジョンソンは1985年にウォーカー ベイに設立にしたワイナリー。当主は南アフリカ最大のワイン会社ステレンボッシュ ファーマーズ ワイナリーで輸出を担当していたデイヴ・ジョンソン氏。当初はネゴシアンに専念していたが、1996年にはエステイトを入手し、自らのワインを作り始めました。
現在ワイナリーの運営は、オーナーのジョンソン氏とその二人の息子によって行われており、息子のゴードン氏はニュージーランドのハンターズ等で修行を重ねたワインメーカーです。
平均収量36hl/haは樹齢8-10年。土壌頁岩、水晶の混ざった風化した花崗岩質土。
全て手作業でブドウは栽培され、試行錯誤を重ねながら努力を重ねています。醸造は重力を使用した設備でブドウに負担を与えないよう細心の注意が払われ、天然酵母醗酵、フレンチオーク樽11ヶ月(新樽28%)にて熟成される。
ケープ クラシフィケーション 2016では1級格付(去年は2級)。

ブーケンハーツクルーフは南アフリカのフランシュック地区に1776年に設立 された最古のワイナリーの一つ。醸造は南アフリカの天才ワイン醸造家と称されるマーク ケント。エレガントで力強いローヌスタイルを目指しています。
ワイナリーはフランシュック地区の山々に囲まれた谷にあり、東向き斜面の25haのブドウ畑。日照時間が少なく生育が遅いため、長い成熟期間により複雑なテクスチャを生み出します。
フラッグシップは7つの椅子が並ぶラベルのブーケンハーツクルーフシラー、カベルネソーヴィニヨン、セミヨンの3種類。
カベルネは5日の低温浸漬。日当たり3回のルモンタージュを2週間行う。シラーより若干高い温度で発酵。スロベニアンオーク新樽100%で27カ月熟成。
ケープ クラシフィケーション 2016では1級格付(去年は2級)


【テイスティングコメント】
生産者: マリヌー アンド リーウ ファミリー ワインズ
銘柄: スワートランド シラー 2014
品種: シラー100%

外観は濃い色調のガーネット、粘性は中庸。
端的に良く出来た部類のコート デュ ローヌ クラスという印象を受けます。ラールのシラーはコートロティを思わせる複雑さや風格がありましたが、少しデイリー的な印象を受けました。
ブルーベリーやダークチェリーの様な酸味を帯びた果実味があり、エナメルリムーバーや生肉の様な要素が主体的に浮かび上がってきます。冷涼にも感じ取れますが、しっかりとした蜜の要素もあります。バタートーストやシラー由来のブラックペッパー、タールの様な風合い。グローヴや血の要素も感じます。
シラーとしては軽めのボディ。香りは精彩を欠いているものの、タンニンと酸のバランスは比較的良く、グリセリン感の甘さ、熟した黒系フルーツの余韻を残していきます。すこし苦味を感じさせるのも特徴的ですね。


生産者: ニュートン ジョンソン
銘柄: ファミリー ヴィンヤーズ ピノノワール 2015
品種: ピノノワール100%

外観は赤みの強いルビーで粘性は中庸。
ブルゴーニュ的ピノノワールというよりはソノマヴァレーやニュージーランド的な方向性が見て取れるピノノワール。非常にクリアで淡い出汁のような精緻さのあるワインです。
華やかな香りと赤系の小果実のキュートな果実味が主体的。瑞々しいイチゴやクランベリーの果実味と共に華やかなスミレやスイセン、そして茎、ユーカリのグリニッシュさを纏っています。果実味は蜜やシロップというよりは果実本来の糖がもたらす香りが感じられる。
そこに鉄釘やグローヴ、シナモンの要素が混じり、ほのかに削りたての製材のような清涼感のある香りを得られます。
タンニンは控えめながら、酸は充実していて香りの印象とは合致します。赤系の果実味とグリニッシュさ、ほのかな苦みが余韻に残っていきます。


生産者: ブーケンハーツクルーフ
銘柄: カベルネ ソーヴィニヨン 2014

外観は赤みの強いガーネット、粘性は中庸。
非常にキャッチーで明るい性質のカベルネソーヴィニヨン。
熟したブラックベリーやカシスの様な果実味かあり
甘露なダークチョコレートやミルク、ワッフルの様な果実味。ほのかにグリニッシュなピーマンの様な風味。
どこかムートン的な風味が感じられる。スミレや薔薇の様な華やかさ、ほのかなタバコ、土の様な要素、シダーウッド、グローヴなどの風味。
酸味は豊かでエレガント。タンニンは柔らかく、グリニッシュさやミルク、黒系果実の様な酸味を帯びた果実味の余韻を感じられる。
ボディは決して重々しくなくキャッチーながらミディアムなカベルネソーヴィニヨンになっている。最高!


【所感】
まずはマリヌーのシラーから。
ちょうどミドルレンジに当たるキュヴェで、ストリート オールド ヴァインがローレンジ、シングルヴィンヤードがハイレンジに当たります。
1級に位置付けられているだけに期待も上がりますが、ボトルが悪いのか、そもそものクオリティが低いのか、あるいは私がこのスタイルを好まないだけなのかはわかりませんが、今ひとつパッとしない印象を受けました。
ニューワールド的な丸みや凝縮度を持っているわけでもなく、ローヌのシラー的なスパイシーさとエレガンスがある訳ではなく、どこか半端な印象を受けます。
たまに見かける中間的なシラーというか、そんな感じです。よく出来た(モダンな造りの)コート デュ ローヌ的な感じとでも言いましょうか、そこそこ熟した感じはあるのですが、悪く言うと安っぽい感じがします。
黒系のやや酸味を帯びた果実味と生肉、そしてエナメルリムーバー、バタートースト的な風合いを感じられます。
イースト感がそこそこあります。
香りに精彩を欠きますが、比較的軽めのボディの割には味わいとしてはバランスが良い様な気がします。
ただ、あくまでグレードとしては中、なので上位はどの様に仕上がっているかはわかりません。
ちょっと確認は必要ですね。




次にニュートン ジョンソンのファミリーヴィンヤード。
かなりクオリティの高いピノノワールだと思います。
ただいわゆるブルゴーニュという訳ではなく、繊細なタイプのソノマヴァレーだとか、ニュージーランド的な方向性を向いている様な気がします。
その一端には恐らく新樽やMLFの要素を強く感じないからかもしれません。比較的クリーンで良く熟した赤系の小果実を思わせる果実味が感じられる形となっています。
そして華やかなスミレや鉄、適度なグリニッシュさがあり、ナチュラルな味わいとなっています。
いわゆるグランヴァン的な味わいではないものの、非常に良く仕上がったピノノワールです。酸も充実していて、かなり冷涼なスタイルの味わいになっています。ニューワールドらしい余韻の苦味があります。
比較対象としてはブルゴーニュではなく、ニューワールドの比較的モダンな造りの生産者と比べるべき生産者だと思います。




最後はブーケンハーツクルーフのカベルネソーヴィニヨン。
これはもう...毎度の事ながら素晴らしい。
ちょっと誇大的な表現でいうと、かなり軽めで酸が感じられるシャトームートンロートシルトやオーパスワンに近いと感じました。悪い表現でいうと、オフヴィンテージの際にしっかりと手を入れて作ったそれら、といった感じ。樽やMLFがしっかり効いていて、果実の甘露さと奏上して仕上がる1本。凝縮感や濃密さこそ控えめですが、抑制されていながらバランス良くキャッチーに仕上がっている。
とにかくこのクオリティがこの価格というのはなかなかすごいのではないかと。(順調に寝上がってはいますが)
熟した黒系果実の果実味とダークチョコレート、ミルク、スミレや薔薇の華やかさ。そしてごく僅かにピーマンの様な青さがある。タバコや土の要素があり、醸造的な要素でしっかりと武装をしている感じです。
酸味は豊かでタンニンは滑らか。ロワールまで酸味はありませんが、やっぱりボルドーのオフヴィンテージっぽいんだよなあ。
とはいえそれが悪い訳ではなく、最も恐ろしいのがニューワールドには成し得なかったボルドー的な風合いを感じさせる味わいを再現するワイナリーが出てきてしまったことですね...こわ。


【南アフリカ:6】南アフリカ優良生産者の最上のキュヴェ Pt.1

こんにちは、HKOです。
本日は引き続き南アフリカのワインを集約していきます。


【データ】
グラハム ベックは1991年に設立したスパークリングの最大手メーカー。例年高い評価を得ています。
拠点を置くのはウェスタン ケープ。その中で最も濃密な石灰岩質土壌を持ち、赤い頁岩や砂岩質、シストの混ざった風化した花崗岩質土壌の上に肥沃な石灰質土壌が広がる土壌環境を持っています。ミクロクリマで恵まれた日照量があります。当主はマムやモエ エ シャンドン等シャンパーニュを代表する蔵を含め多くの蔵でヴィンテージを経験。今回はフラッグシップのキュヴェ クライヴ。
シャルドネ20%はシャンパーニュ樽にて醗酵、それ以外はステンレス タンク(MLF無し)を使用。熟成は最低60ヶ月。年間生産本数は4500本。赤い頁岩と砂岩質のカルー土壌の上に肥沃な石灰質土壌。平均収量は52hl/ha、樹齢は13.5年。
ケープ クラシフィケーション 2016では3級格付(去年は4級)

ハミルトン ラッセルは1975年に設立されたウォーカーベイ地区にあるヘメル エン アードに拠点を置く生産者。南アフリカの中でも、気候は冷涼で、非常に収量を抑えて生産しています。
22haのピノノワール、30haのシャルドネを生産。
ワイナリーは大西洋の海岸から3キロという近さにあり、大西洋を渡ってくる冷たい風の影響で南アでもっとも涼しい環境の畑となっています。フレンチオーク新樽比率56%で9ヶ月熟成。
ケープ クラシフィケーション 2016では2級格付(去年も2級)

アルヘイト ヴィンヤードは2010年に設立された新進気鋭のワイナリー、ファーストヴィンテージは2011年。
畑は一切持たず、契約栽培家からの葡萄で醸造を行っています。
主力は樹齢30~80年のシュナンブラン ベースのカルトロジー。
当主のクリスとスーザンは大学卒業後ナパ、西オーストラリア、サンテミリオンのアンジェリス、オーストラリアのクレアヴァレー、モーゼルのワイナリーで研修、その後ニュージーランド、ラングドック、プロヴァンス、北、南ローヌを周遊後現ワイナリーを立ち上げています。
今回のカルトロジーは4区画からのシュナンブラン88%、残りはセミヨンで構成。全体の35%を占めるのがスカーフバーグ畑からのシュナンブラン。この畑は海風の影響を受ける標高440~550mに位置し、35~50年の古木が植わっています。
房ごとゆっくりプレス後低温のタンクで24時間静置。この際酵素やSO2(亜硫酸塩)など、添加物は一切加えず醸造。古樽にて熟成。
ケープ クラシフィケーション 2016では1級格付(去年も1級)


【テイスティングコメント】
生産者: グラハム ベック ワインズ
銘柄: グラハム ベック キュヴェ クライヴ 2009
品種: シャルドネ81%、ピノノワール19%

外観はやや濃いめのストローイエロー、粘性は中庸、泡は溌剌と立ち上っている。
ニューワールドの極めてリッチなスパークリングで、シャンパーニュとは完全に異なる特徴を持っていて、むしろ、ドメーヌ シャンドン カリフォルニアによく似ていると感じた。
オイリーなミネラル感と共に完熟したパイナップル、リンゴの果実味が感じられる。熟成による摩り下ろしリンゴ的なニュアンスや甘栗の様なほのかな甘さ、イースト、フレッシュハーブ、白い花の様な風味が感じられる。
酸は強くなく、泡の刺激はあるものの、どちらかといえば丸みがあってリッチな口当たり。あまり際立った樽のニュアンスがなく、豊かな果実味が主体的に感じられる。品質はかなり高いキュヴェだと思う。


生産者: ハミルトン ラッセル
銘柄: シャルドネ 2014
品種: シャルドネ100%

外観は淡いストローイエロー、粘性は中庸。
ボリューム感のあるピュリニーの様な印象を受ける。
ミネラリーかつ熟度が高くクリーンなシャルドネ。
ややオイリーなミネラルが突出。
爽やかなライムやグレープフルーツ、カリンの柑橘の風味が感じられる。そこにシロップの様な甘やかさ。フレッシュハーブやほのかにナッツの様な風味。リコリスの要素。
ボディはエレガントで酸もしっかりとあり、滑らかで柑橘やグレープフルーツ、ハーブの様な余韻が感じられる。
バランスが素晴らしく、良いブルゴーニュ的な風合いが感じられる。


生産者: アルヘイト
銘柄: カルトロジー 2014
品種: シュナンブラン89%、セミヨン11%

外観は濃い色調のイエローで粘性は高い。
クリーンかつ凝縮した果実味と酸味を持つよく熟したシュナンブラン。ボリューミーですが、醸造起因の要素は控えめです。アルコールと果実の力に起因するものかと思われます。
パイナップルやパッションフルーツを思わせる南の熱を感じる果実味があり、酸味を帯びた甘露な香りが充満している。そのくせミネラル感は豊かで石を舐めた様な質感がある。白胡椒やフレッシュハーブ、バタークリームの様な香りが感じ取れる。セミヨン起因の白い花の要素もほのかに感じられます。基本的にはクリーンで樽に起因する風味は控えめに感じる。
アタックはやや強めでそれに伴ってパワフルな酸があります。南国系フルーツの含み香、花の蜜の様な甘やかさがほのかに残り、グリセリン感のある丸さも感じられる。


【テイスティングコメント】
まずはグラハムベックから。
ドメーヌ シャンドン カリフォルニアに代表されるニューワールド的なリッチなスパークリングになっています。シャンパーニュとは完全に異なる特徴を持っています。
パイナップルやリンゴ、甘栗の様な果実味を感じられる。
そして独特のイースト香が感じられる。
このワインも樽の要素やMLFの要素は控えめで、酸は意外と柔らかく、リッチな果実味がありながらクリーンな作りとなっている。シャンパーニュを飲み慣れているとかなり違和感は出るでしょうか。品質は高いです、泡としてはビッグなワインと思います。




次はハミルトン ラッセル。
クリーンなシャルドネです。
ですか、シャブリの様にソリッドでステンレスタンク的という訳ではなくコート ド ボーヌの村名に収まる様な作りだと思います。
果実味のボリュームがあり、厚いミネラルを感じられるワインになっています。
柑橘のニュアンスに蜜の様な甘やかさが主軸になり、ほのかにナッツの様な風味が感じられます。酸もエレガントで滑らか。バランスも良く、レベルの高いシャルドネになっています。質感は村名のピュリニーに近いので、ブルゴーニュの好きな方には親和性の高いワインとなっています。




最後はアルヘイトのカルトロジー。
こちらも樽の要素が控えめでミネラルをしっかりと感じられるクリーンな作りとなっています。ただロワールのエレガントなそれと異なり、かなりボリューミーで重量感のあるシュナンブランになっています。南アフリカの暑さを感じさせる果実味で、あまり冷涼さを感じさせない熟度です。シュナンブランのみだとただひたすらにビッグなワインに見えますが、ここで良く作用しているのは11%のセミヨン。これがキンモクセイを思わせる華やかさと清涼感を演出している。これがなかなかいいですね。
アタックはアルコール感からも見て取れる様にパワフルでグリセリン感を感じさせるものとなっています。
従来これくらいの重さがあるワインであれば、樽やMLFでまろやかさや香ばしさなどの複雑さを演出するのが、一般的なのですが、このワインに限ってはストレートにボリューム感を出しているので、多少素っ気無さというか、そういったものを感じてしまいます。 いいワインではありますが、化粧の小慣れたブルゴーニュやカリフォルニアに慣れていると、「折角化粧をすればすごく良くなるのにもったいない...」と思ってしまいます。
そんな感じです。
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【南アフリカ:5】フュールバーグ2種テイスティング

こんにちは、HKOです。
お次はフュールバーグ、ラールが栽培醸造を務めるワイナリーです。

【データ】
フュールバーグはステレンボッシュとフランシュックの境界に位置するワイナリーで、2010年よりドノヴァン・ラール氏が栽培・醸造を手掛けています。生産量は8haの作付面積から4万本程度。畑はステレンボッシュの標高の高い山間の畑に保有。
今回はホワイトとリザーブ レッドの2種類。
ホワイトは主にはステレンボッシュ、一部スワートランドの真砂土、小石砂利、粘土質の畑から。ブドウは可能な限り早摘みし天然酵母で全房発酵。225Lと400Lのフレンチオーク樽(30%新樽)で3~9ヵ月熟成。
リザーブはステレンボッシュにある二層の粘土質土壌の畑。早摘みしたブドウは破砕はせず除梗。選果後、タンクに移し3~5日後の低温浸漬後、自然に発酵。ちょうどよい抽出具合圧搾後は225Lのフレンチオーク樽(新樽50%)で22ヶ月熟成。


【テイスティングコメント】
生産者: フュールバーグ
銘柄: フュールバーグ ホワイト 2015
品種: シュナンブラン、ヴィオニエ、ヴェルデーリョ

外観は透明感のあるイエローで粘性は中庸。
グランヴァン的な側面がある。ラールホワイトと比較するとより王道的なピュアな果実味を押し出したシャルドネに近い作り。
ミネラル感は控えめ。
シナモンやジンジャー、そしてライムやカリンの様な繊細な果実味。かなり強い蜜やシロップの様な甘露さがある。
白い花やフレッシュハーブ、茎の香りがバランスをとりながら支配的。あまり樽の要素は感じられない。リコリスやバニラ、ヨーグルトの様なニュアンスがある。
果実のピュアな甘さのみでMLFに頼らない。
基本的にフレッシュで酸味豊かな冷涼なシュナンブラン。
しかしてかなり味わいに厚みがあり、酸とともに甘露なカリンやライムの豊かな柑橘や核種の果実味が溢れている。


生産者: フュールバーグ
銘柄: フュールバーグ レッド 2013
品種: カベルネソーヴィニヨン、プティヴェルト、メルロー

外観はやや濃いガーネットで粘性は中庸。
基本的な骨子はボルドーというよりニューワールド的な果実味の表出を感じる。とはいえ味わいはどの地域にも似通っておらず果皮の華やかな香りと樽が最も強い。
やはりボディの構成はラールに近しく感じる。
ビスケットやキャラメルトフィー、バニラを思わせるふくよかな香りと、エナメルリムーバー的な華やかさ、そして薔薇やスミレなどの華やかな香りが主軸となる冷涼さを帯びた複雑さがある。そしてカシスやブラックベリーの熟した蜜を思わせる果実味が付随し、繊細に作られている。青っぽさはなく、かなり熟した感じ。生肉やローリエ、鉛筆の芯、漢方、リコリスなどの要素がある。
旨味たっぷりで、酸は穏やか、タンニンは甘く作られており、しなやかで果実味に満ちている。
黒系果実とキャラメルや、エナメルリムーバーの様な余韻が感じられる。


【所感】
まずはホワイトから。
これまたクリーンさを感じさせるシュナンブラン。
ただ高級ワイン的な風合いはとても感じられますね。スパイシーで凝縮した蜜やシロップの様な甘露さが感じ取れます。そこに白い花やフレッシュハーブといった要素が調和している。
MLFは控えめで果実本来の凝縮度と酸を角を潰さずに、そのまま表現している感じでしょうか。ヨーグルトがありますが、酸はしっかりとしていますので、コッテリとかけた様なタイプではありません。
果実味も柑橘要素なので、語弊を恐れず言えばシャブリ的な風合いがあります。
新樽比率30%はブルゴーニュでいうと、クリアに感じられるレベルの比率なので、それがそのまま出ている感じなのかもですね。
次はレッド。ボルドーブレンドですね。
なかなか個性的で、どの地域にも寄らない作りになっています。ニューワールド的な果実味の表出を感じますが、ボディははるかにエレガントで、果皮や樽の要素がしっかり効いています。ボディと抽出はブルゴーニュ、果実味と樽の方向性はニューワールド。それらが少し既存のワインとはアンマッチで繊細に作られたニューワールドのカベルネソーヴィニヨンを強く印象付けます。故に青っぽさは殆ど無くボディだけ軽く感じるんですよね。
旨味たっぷり、タンニンや酸は柔らかくしなやかです。
本来的には...ニューワールド風味の味わいはもっとボディは強くあるべきだし、ボルドーならもっと青さが出てても不思議じゃないのですが、アンビバレンツなバランスがとても魅力を引き出している様に感じますね。

うーん、ここまで飲んでみて、白はどうにも樽を聞かせてヴァン ド ガルドに仕込むっていうのはあまり見られないですね...ハミルトン ラッセル然り、アルヘイト然り、そしてクリスタルム然り...です。
クリーンに仕上げながら、早飲みできる様にキャッチーに仕上げている様な気がしますね。これはこれで良い方向性ですが、堅牢に仕上がった長期熟成を見込んだワインを仕込み始めたら...カリフォルニアに比肩し始めるかもしれないですね。赤は申し分ないかと。
面白い地域ですね...本当に。




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【南アフリカ:4】ラール ワインズ3種テイスティング


こんにちは、HKOです。
本日はラール ワインズの赤白を水平で、白を垂直で頂きます。
前回は西ケープのウォーカーベイ ディストリクトのピノノワール、そしてシャルドネでしたが、今回はコースタルリージョンのスワートランド ディストリクトから生まれる南仏品種です。


【データ】
ラールワインズは2008年にドノヴァン ラール氏によって設立されたワイナリー。拠点は西ケープ州 スワートランド。年産僅か6000本のブティックワイナリー。
ブドウは主にスワートランドの10か所の畑のものを使用。白には花崗岩ベース、赤には片岩ベース。 こうしたブドウは、補酸はせず、天然酵母のみで醸造。
白は小さなバスケットプレスで全房のままプレス、最小限の澱とSO2とともに樽に移し発酵。全体的に澱とともに10か月間熟成、その後ブレンドし、瓶詰。 赤は全房(除梗する場合もある)のまま抽出は最小限に留めつつ、果皮とともに2か月おいておきます。その後、白ワインと同じバスケットプレスでプレスし、2年目のフレンチオーク樽で22か月熟成させます。無濾過、無清澄その後ブレンドし、瓶詰。
今回のラールホワイトはシュナン ブラン、ヴェルデホ、シャルドネ、ヴィオニエのブレンド。主にスワートランドのブドウ、一部ステレンボッシュのものを使用しています。
ラールレッドはシラーとグルナッシュのブレンド。スワートランドの畑から。シラーは頁岩、グルナッシュは砂質土壌で構成。
ケープクラシフィケーションでは1級を獲得しています。


【テイスティングコメント】
生産者: ラール ワインズ
銘柄: ラール ホワイト 2014
品種: シュナンブラン50%、ヴェルデーリョ、シャルドネ、ヴィオニエ

外観は透明感のあるイエローで粘性は中庸。
果実味は甘露でボリューム感のあるリッチなワイン。
ただミネラル感も豊かで、引き締まった部分があり、どこかシャサーニュモンラッシェを思わせる様な果実の甘露さとMLFの醸造的な要素を感じられる。バランス感と言うべきか。果実味の要素自体は異なる。パッションフルーツや花梨などのフルーツのコンポート、ほのかに白胡椒やハーブの香り、焼き栗、バターの様なまろやかさを帯びている。徐々に濃密な、白い花の蜜を思わせる凝縮した香りや穀物的な側面も現れる。酸を思わせるのに甘露は豊か。
酸はシャサーニュほど豊かではないものの、しっかりと存在していて、ニューワールド的なMLFと樽、明るいフルーツの要素が含み香として残る。素晴らしい。


生産者: ラール ワインズ
銘柄: ラール ホワイト 2015
品種: シュナンブラン50%、ヴェルデーリョ、シャルドネ、ヴィオニエ

外観は透明感のあるイエローで粘性は中庸。
果実味はこちらも非常に高く濃密だが、合わせて酸味もあり重さを感じさせない。
いかにもシュナンブランといった感じの味わい。
ミネラル感は充実している。穀物的な香り。
蜂蜜を思わせる濃密な香り、そしてりんごやカリン、洋梨のドライフルーツ、上白糖を思わせる甘露な香りがある。ヨーグルトドリンク、白い花やドライハーブ。シナモン。
香りの構成自体はそこまで複雑ではないにしろ、凝縮度は極めて高い。
酸はこちらも柔らかいながらしっかりと存在していて、充実した果実の余韻を感じさせる。
酸味を帯びたドライフルーツの果実味の余韻。甘露で馥郁たる余韻。


生産者: ラールワインズ
銘柄: ラール レッド 2015
品種: シラー80%、グルナッシュ20%

外観はやや濃いめのガーネットで粘性は高い。
いわゆるローヌに非常に接近した造りのシラー。
スパイシーさと果実味が非常に際立っている。
黒胡椒やパストラミハムを思わせるスパイシーな香りと、薔薇やなめし皮の様な華やかさ、そしてダークチェリーやブルーベリー、インクの様な果実味を感じる。樽の要素もあり、炭焼きや燻製などの要素。そして土や漢方、オリエンタルスパイス。乾いた草、井草の様なニュアンスも感じられる。リコリスなどの要素も。
非常にコートロティ的でローヌに近い味わいのワインだと思う。
酸やタンニンはしっかりとあるが、どちらかといえば酸の方が支配的でスパイシーかつ黒系果実の余韻を残していく。クオリティの高い赤だと思う。ポストローヌ。


【所感】
まずはラールホワイト2015から。
こちらは熟度の高い王道的な作りで後日取りまとめるアルヘイトのカルトロジーに近しい方向性。
濃密でよく熟した果実をクリーンに仕上げた感じ...シュナンブランです。ドライフルーツや上白糖のような甘露さがありますが、こちらの方がカルトロジーと比べるとMLFをしっかりとかけているようで、ヨーグルトドリンクなどの要素も感じられます。高い凝縮度がありますが、あまりアルコール度数は感じません。穀物的な香りを感じさせながら、果実の甘露さとクリーンさが目立つ作りになっています。ただ酸味があるので極端な重さは感じませんね。

対して2014はどうか。
馴染んでいるという見方になるだろうか。
当然ボリューム感は高く甘露であることは変わりはないのですが、MLFと果実味のバランスがどうにもシャサーニュモンラッシェを感じさせるようになった。
いや果実の要素は全然違っててローヌ的だし、MLFからくる香りもどうにもニューワールド的ではあるんですが、仕上がりがとても似ているように感じました。
白胡椒やハーブの風味がありますし、時折焼き栗のようなニュアンスも混じってきます。
徐々に品種特性っぽい要素も出てきますが、パワー感とクリーンな荒々しさを感じる2015と比べると品があるようにも感じますね。

最後はラール レッド 2015。
これがとてもローヌ的なんですよね。コートロティっぽい。北部でも肉付きの良いエルミタージュとはまた少し違う。
スパイシーさや漢方、乾いた草のニュアンスと共に、よくローストされた樽に起因する土や炭焼きのニュアンスなどが漂います。果実味は程よく冷涼で、ダークチェリーやブルーベリーを想起させる要素。豊満で豪華なニューワールドのシラーズとは一線を画す、エレガントなシラーに仕上げていると思いました。
タンニンだけではなく、酸味も充実していて、シャプティエやポール ジャブレ エネ的な雰囲気かなあと思います。

白はかなり力強くパワフル(酸もしっかりあります)に作られているのに、赤は抑制の効いたエレガンスをまとっているのが面白いですね。
まあ白もクリーンではあるのですが、果実のパワーが非常に強い。
なんとなく、赤もシラーズやギガルっぽく作れるんでしょうけど、きっと抑制しているんじゃないかなーとも思っています。あえて。

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【南アフリカ:3】クリスタルム5種テイスティング

こんにちは、HKOです。
本日から南アフリカをちょっと見ていきたいと思います。

ハーテンバーグやブーケンハーツクルーフなどはこのブログでも以前から紹介していましたが、本格的に南アフリカを紹介するのはおそらく初めてではないかと思います。

今回の記事の背景には、去年から今年にかけて大きな盛り上がりを見せている南アフリカを、HKOから見た時にどうなのかというのを認識しておきたかったという理由があります。
その為、独自の判断で選びテイスティングしていく、というよりは主に高い評価を受けている生産者、ティム アトキン氏のケープ クラシフィケーションで上位に位置している生産者を主に取り扱っていく予定です。

以下のワインを今後テイスティング予定なので是非よろしくお願いします。

・クリスタルム
・フュールバーグ
・ラール
・カノンコップ
・ポール グルーヴァー
・AAバーデンホースト
・ニュートン ジョンソン
・アルヘイト
・グレネリー
・マリヌー

まずはクリスタルムからです。


【データ】
クリスタルムはウォーカーベイのヘルマナス地方、ヤマル・アルデ・リッジに2007年に設立された家族経営の小さなワイナリーです。現当主はアンドリューとピーター・アラン兄弟。
冷涼な気候を生かしてシャルドネとピノ ノワールに特化し2008年よりリリース。年産3万本強。
ブドウは手摘みで収穫。
ピノノワールは小さなステンレスのタンクで自然酵母で発酵。フレンチオーク樽で11~16か月熟成。シャルドネは、全房でプレスされ、自然酵母で樽発酵。瓶詰されるまで11か月そのままにしておきます。
今回は白2種類、赤2種類。
ジ アグネス シャルドネはへメル アン アード地区の3つの畑のシャルドネを使用。土壌は粘土質、頁岩、砂岩。収穫後、全房のままプレスしジュースをタンクに入れ、その後225リットルのフレンチ・オーク樽に移します。その後自然に樽の中で発酵が始まり、瓶詰まで9か月熟成。
クレイ シェールズ シャルドネはヘメル アン アード地区に隣接する標高300mの区画に植えられたシングルヴィンヤードのシャルドネ100%。海洋性気候で涼しく、泥や粘土鉱物から成る堆積岩が砕けた頁岩(shale)と粘土(clay)で構成されている土壌。11ヶ月樽熟成。
ピーター マックス ピノ ノワールはウォーカーベイのヘメル・アン・アード地区の2つの畑と、内陸の標高の高い新しい畑の3つの異なる畑のブドウを使用。75%は除梗、25%は非除梗。4週間スキンコンタクト。11~16ヶ月木樽で熟成。
マバレル ピノ ノワールはウォーカーベイ ヘルマナスの標高700mの位置にあるシングルヴィンヤードから作られたピノノワール100%。100%除梗、自然酵母でステンレスタンクにて発酵、木樽で11~16か月熟成。無清澄、ノンフィルター。
ケープクラシフィケーションでは1級を獲得しています。


【テイスティングコメント】
生産者: クリスタルム
銘柄: ジ アグネス シャルドネ 2015

外観は淡いイエローで粘性は中庸。
爽やかでクリーンなシャルドネでMLFの影響は強くない。
果実味は強く、ピュアなブドウ(そのもの)が高い糖度を帯びた甘やかさに満ちている。それでいて冷涼。
ミネラル感に満ちていて、マスカットやカリン、シトラスの様な果実味、そしてメロン。バニラやフレッシュハーブの香り。リコリスや白胡椒、青草の様なニュアンスが感じられる。
酸は柔らかく、果実のボリューム感は比較的大きい。
シトラスやカリンの様な果実味の余韻があり、爽やかな青草とほのかな苦みが余韻に残る。


生産者: クリスタルム
銘柄: クレイ シェールズ シャルドネ 2015

外観は淡いストローイエロー、粘性は中庸。
シャサーニュモンラッシェのスタイルに近しいワイン。各要素のバランスが極めてそれに近い。
ミネラル感こそ控えめながら、良年に近い果実味を放っている。しかしてモンラッシェ的ではなく、いい意味で抑制の効いた1er Cru的な側面を持っている。
シトラスや洋梨の様な果実味と共に、蜜やシロップの様な甘やかさとMLFと結合したバニラ、そしてハーブの香りが主体的に感じられる。果実の方が主体的なので、カスタードの様には至らないが、甘露さの方向性は近しいものがある。フルーツケーキにも近いかもしれない。
ブリオッシュやバター、白い花の様な香りが感じられる。
徐々にミネラルが表出してきて石の様なニュアンスも感じられる。
酸はしっかりと感じられる。酸味はシャープとは言えないまでもややエッジが効いていて、ここもブルゴーニュ的。
余韻にほのかな苦みを感じさせるのは新世界的かもしれない。果実をそのままいただいた様な甘やかな作り。


生産者: クリスタルム
銘柄: ピーターマックス ピノノワール 2015

外観は赤みの強いルビーで粘性は中庸。
ブルゴーニュのグランヴァンとカリフォルニアのピノノワールの合いの子に近いスタイルのピノノワール。
ややマバレルと比べると熟度が低く、ブルゴーニュというより品の良いニュージーランド的かもしれない。
やや青さを感じるクローヴや茎、フレッシュハーブの香り、牛脂、そしてフレッシュなダークチェリーやブラックベリーの果実味を感じられる。少し全房的だろうか。そこにスミレなどの華やかさが混じってくる。紅茶やビスケット、そしてエナメルリムーバーや鉄釘、生肉や毛皮などの要素。ユーカリの風味が感じられる。
酸は柔らかく、タンニンはやや目立つ。マバレルほどタンニンが甘くなく、少し毛ばたちはある。しかしながら、口当たりの滑らかさは大したもので、余韻も黒系果実をしっかりと感じられるものとなっている。


生産者: クリスタルム
銘柄: マバレル ピノノワール 2015

外観は赤みの強いルビーで粘性は中庸。
凝縮した甘露な果実味と華やかな花の香りが鮮烈なワインで、ヴォーヌロマネのテクスチャーに豊かな果実味を付加したかの様な造り。バランス感としてはやや極端ではあるものの、非常にクオリティは高い。
シロップ的な、煮詰めたブラックベリーやダークチェリーを思わせる豊満な果実味と共に、スミレや薔薇の蜂蜜漬けの華やかさと甘やかさ。獣っぽさはほぼない。
わずかな青さがあり、クローヴ、茎や若い葉、そしてキャラメルやワッフルの様な樽を思わせる香り、バターを思わせるまろやかさ。パストラミハム、シナモン、そしてユーカリなど複雑な要素が感じられる。
甘い果実味が主体的だが、そればかりにはならず、上手くブルゴーニュ的なテクスチャーを押し出しながら熟度は高く仕上げている。
酸はしっかりとありながら滑らか。タンニンも毛羽立ったところはなく甘みを感じる、フレッシュなベリー類の余韻が残る。


生産者: クリスタルム
銘柄: マバレル ピノノワール 2013

外観は赤みの強いルビーで粘性は中庸。
2015年と比べるとわずかに馴染んだ様な、熟成が進んだ様な香りを帯びるが基本骨子は変わらない。凝視した甘露な果実味が主体的。華やかさはわずかに減退し、代わりに樽の香りが少し強めに感じられる。ヴォーヌロマネっぽさはなく、むしろカリフォルニアのピノノワール的な側面を強く感じる。
熟したブラックベリーやダークチェリーの様な果実味と共に、黒糖を思わせる焦がした樽香、そして五香粉やドライハーブの様な香りが前面に感じられる。甘露。そしてほのかな鰹節やパストラミハム、ベーコン。そしてスミレのドライフラワーの香りも。クミンやグローヴの様な要素もある。
徐々にミルクチョコレートやバニラの香りを帯びてくる。
酸はしっかりとありながら滑らかでタンニンに甘みを感じる。果皮のスミレの要素とハーブ、そして旨味が余韻として広がっていく。フレッシュさは希薄。
変わらず完成度は高い。


【所感】
まずは白からです。
スタンダードキュヴェはアグネス、フラッグシップはクレイシェールズです。
ジ アグネスはクリーンな質感を持っています。熟度の高いシャブリを想起させますが、よりナチュラルな葡萄そのものの果実味を強く感じるワインです。甘露かつ青草の要素を感じます。
あまりMLFや樽の要素は感じ取れません。フレッシュで豊かな果実味が魅力的なシャルドネになっています。
対して、クレイシェールズはよりコート ド ボーヌのシャルドネを想起させる作りになっています。豊かな果実味とMLFとのバランスはシャサーニュモンラッシェ的とも言えます。洋梨を思わせる果実味はリッチでバニラやブリオッシュ、フルーツケーキなどの風味も付帯しています。ミネラルは控えめですが、徐々に表出。
酸はブルゴーニュ的ですが、ほのかに余韻に苦味が残るのはカリフォルニア的にも見えます。
どちらのキュヴェも基本的には豊かな果実味がありますが、少しタイプが違いますね。
単純に熟成期間が短いからフレッシュなのか...それとも樽熟成やMLFをあまり行なっていないのか...
クレイシェールズの醸造要素を少し落とした様な作りがアグネスといった感じがします。
タイプは違いますが、共に優れたシャルドネだと思います。個人的にはクレイシェールズの方が好みのスタイルではあります。

次に赤の比較。
ピーターマックスとマバレルの2015水平、マバレルの2015、2013の垂直です。

マバレル2015、凄まじいワインです。
多少語弊があるかもしれませんが、極端に成熟度が上がったヴォーヌロマネ的な側面があります。
果実味はブルゴーニュの暑い年やソノマヴァレーのクラシックなピノノワールに近い感じ、華やかさや樽香はどこかヴォーヌロマネ的です。煮詰めたブラックベリーやダークチェリーの様な香りに付帯してスミレや薔薇のシロップ漬けの様な華やかさがあります。ジュヴレシャンベルタン程抽出に寄っており、さりとてシャンボール程瑞々しくない。
果実味と華やかさの中で程よい青さを感じさせるのは、そんな感じだなあと。ブルゴーニュ的なテクスチャーを強く感じるキュヴェです。
酸やタンニンは滑らかで、ほのかなグリセリン的な甘みを感じさせます。カリフォルニア程ではないですが、熟度が高くクオリティの高いピノノワールになっています。
ブルゴーニュの暑い年の1級畑の様なイメージでしょうか。例えば、2009年とか。

次にマバレル2015を起点にして比較してみます。

ピーターマックス2015はマバレルが高標高の単一畑である事に対して複数ヴィンヤードのアッサンブラージュ。
除梗比率はマバレルが100%、ピーターマックスは75%となっています。
何故スタンダードキュヴェであるピーターマックスだけ75%なのかは不明ですが(梗がよく熟さないと、ワインにとってネガティヴな要素が出やすい)、やはりマバレルとはかなりの違いがあります。
暑い年のヴォーヌロマネを思わせるマバレルに対して、ピーターマックスは品の良いニュージーランド的だと感じました。
まず先行して青さが、そこに折り重なる様にフレッシュな黒系の果実味、適度な華やかさが感じられます。紅茶のニュアンスは感じますが、そこまで強くはありません。
対比して考えると、マバレル程熟した感じはなく、グリニッシュさと華やかさを主軸とし、甘酸っぱい果実味を感じさせるものになっています。ただそこをACブル的な仕上がりにせずニュージーランド的なクリアさを持って作ったのは好感が持てますね。
あそこらへんのワインが好きな人が飲むと違和感を感じないと思うのですが、マバレルと比較すると、悪く言うと作りの手の抜き方と言うのかな、そういったものを顕著に感じます。悪くはありませんが、少しお金を出してマバレルを購入した方が幸せになれるのではないかと思います。

マバレル2013は高い熟度に変わりはありませんが、ややエイジングが進んでいます。南アフリカの収穫時期は2~3月と北半球と比べて半年早いので、イメージとしては2012を飲んでいる感じでしょうか。フレッシュさが控えめになり、果実味はジャミーに、樽の要素がより強く感じられる様になりました。若々しい華やかさや熟した風味がなくなった事で、よりカリピノっぽいスタイルを感じさせます。
いや、ひょっとしたら2013年はこういう作りなのかもしれませんが、少なくとも果実味や華やかさは馴染んでいます。熟成香は殆どないですね。
凝縮感もあり、良いのですが少しビッグなワインだなと感じました。
ひょっとしたらマバレルはブルゴーニュ的に楽しむのであればリリース直後が良いかもしれません。またコッテリしたスタイルが好みなら2013の方が良いかも。
ちなみに2013年、アンチオックスで5日目に酸化を感じる様になりましたが、香りはさすがに酸化的ではあるものの、タンニンのタッチが更に柔らかくなり更なる飲みやすさを感じました。
意外とこれはこれで美味しいかもしれません。

キュヴェごとの土壌や気候が詳しくわからないので、キュヴェごとの際は醸造部分でしか感じませんでしたが、上位キュヴェはブルゴーニュ的に仕上げていてスタンダードキュヴェはよりクリーンに仕上げている印象を受けました。
雑というと語弊がありますが、あまり手を掛けている印象はありません。なので、クオリティの差が結構ある様に感じましたね。
また赤のエイジングに関しては、華やかさが先に減退し、樽や果実味が目立ち始めるのが顕著でした。
これはこれで今後も確認すべき点ですが、年の取り方が独特にも思えます。これ要確認ですね。

以上クリスタルムの5つのワインを比較してみました。



[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

マバレル・ピノ・ノワール [2013] クリスタルム
価格:5550円(税込、送料別) (2016/10/17時点)








プロフィール

HKO(はこ)

Author:HKO(はこ)
HKOです。
世界を股にかけない普通の内勤サラリーマン。
体はピノノワールとシャルドネで出来ていますが、最近は専らシラー、グルナッシュ、ヴィオニエなどの南仏品種や、ジンファンデルみたいな濃い品種が好み。貴重なワインや興味深いワインを求めて日夜東京を徘徊する日々。
食べ歩きを2014年頃からスタート。
ミシュラン星付きフレンチ(2017年度版まで)制覇まであと2店舗。
2店舗のハードルが高いので、最近は手軽なビストロなどを周遊。
基本フレンチ/イノベーティブ/フュージョンを愛するが、イタリアンや和食にも食指を伸ばす日々。ペアリングは考えず、皿の中で終局する世界観を大切にしています。

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