【カリフォルニア:57】カリフォルニアカルトワイン&注目の生産者 Part3

こんにちは、HKOです。
記事を書くのをサボっていたらあっという間に自転車操業です。書けてないネタが著しく多いので、ちょっと遅延するかも...がんばります。


【データ】
ダラ ヴァレはグスタフ ダラ ヴァレが1986年にオークヴィルに設立したワイナリー。畑はオークヴィル東側にあり1982年に購入したもの。ファーストヴィンテージは1988年。
95年に現当主が他界され、現在はナオコ ダラ ヴァレの所有となっています。1992年にはハイジ バレッドのコンサルティングにより、フラッグシップのマヤがWA100点を獲得しています。
ワインメイカーを務めたのはハイジ バレット、トニー・ソーター、ミア クライン!現在はアンディ エリクソンが手掛けています。コンサルタントはミシェル ロラン。
発酵はステンレスタンク、フレンチオークで熟成。新樽比率70%。


スポッツウッド ワイナリーは1982年にノヴァック家によってナパヴァレーに設立されたワイナリー。
設立当初はデヴィットエイブリュー、トニーソーダーが栽培醸造を務めたが、現在は醸造はジェニファーウィリアムズ、コンサルタントにローズマリー ケークブレッド、ベスノバックの3人の女性陣によって運営されている。
畑自体の歴史は極めて長く、120年以上も前に植樹され、複数の所有者を経て1910年にアルバート スポッツウッドが所有ののち、現在のノヴァック家の手に渡った。その後専業グロウワーとしてシェーファー、ダックホーンにぶどうを卸していたが、1982年のワイナリー設立とともに元詰めを開始した。ナパの中では女性的なスタイルとして知られているようです。オーガニックの自社畑産果実を使用。フレンチ オークで20ヶ月の樽熟成。新樽比率は60%。


カーディナルはナパヴァレーのオークヴィル地区に拠点を置くワイナリー。経営母体はジャクソン ファミリー ワインズ。オーナーはバーバラ バンク、醸造家はラ ホタ、ロコヤも務めるクリストファーカーペンター。
カーディナルは以下7つのアペラシオンをブレンドしています。ダイヤモンド マウンテン、スプリング マウンテン、ハウエル マウンテン、マウント ヴィーダー、スタッグス リープ、セント ヘレナ、ヨーントヴィル(河岸段丘)。ワイナリーの中でも優れた畑を使用し、最高峰のブレンドワインを醸造しています。特に主軸となるマウンテンは火山性由来の岩だらけの土壌で急斜面。
男性的な複雑な味わいのワインを見事に造りだしています。
天然酵母を使用して発酵。100%フレンチオーク新樽で22ヶ月熟成ののち、無濾過で瓶詰め。


コルギン セラーズはアン コルギンとジョー ヴェンダーによって1990年代初めプリチャードヒルに設立されたワイナリー。所有する畑はヘネシー湖の丘の頂上にあり、近年ⅸエステート(標高950~1,400フィートの前述のヘネシー湖を見下ろす48ヘクタールの区画)の単一畑もリリースしている。当初へレン ターリーがコルギンを手がけていたが、現在は元ピーターマイケルのマーク オーバートが手がけている。栽培責任者はデイヴィッド エイブリュー、醸造コンサルタントはアラン レイノー。
醸造は重力を利用したグラヴィティフロー、オープントップの大樽と密閉式ステンレスタンクの併用を行い、フレンチオークの新樽100%で19ヶ月間熟成後、清澄濾過なしでボトル詰めにてリリースされる。


【テイスティングコメント】
生産者: ダラヴァレー ヴィンヤーズ
銘柄: ナパ ヴァレー カベルネソーヴィニヨン 1998
品種: カベルネソーヴィニヨン89%、カベルネフラン11%

外観は濃いガーネットで粘性は高い。
濃密な旨味が感じられる。腐葉土や濡れた木材、チョコレートやリキュール、炭焼きの様な熟成と樽の香りがしっかりと感じられる。黒糖やミルクポーションなどのまろやかさがある。まだまだ若々しく熟度の高いカシスやブラックベリーの果実味。キャラメルトフィー、パウンドケーキ。
全体的に甘露さが残りつつ熟成香が感じられる。ドライハーブや漢方の様な枯れ葉の様なニュアンスも漂う。
ドライフラワーなどの要素、パストラミハム、ベーコン。
クローヴの様な風味がある。
タンニンに甘みがあり、酸は穏やか。非常に旨味は強い。
ブラックベリーとリキュール、クローヴの余韻、パストラミハムのスパイシーさを感じられる。美味い。


生産者: カーディナル ワイナリー
銘柄: カーディナル カベルネソーヴィニヨン 2010
品種: カベルネソーヴィニヨン86%、メルロー14%

WA96pt
外観は濃いガーネットで粘性は高い。
濃密で凝縮度の高いカベルネソーヴィニヨン。
キャッチーな甘露さとというより甘露さはありながら香ばしく筋肉質なワインとなっている。
ビターなチョコレートやコーヒー、カシスやブラックベリーのリキュールを思わせる果実味、ドライフルーツの様な凝縮感がある。MLFの要素は控えめでどちらかといえば樽と果実味がはっきりと出ている。トラディショナルなカリフォルニア。スミレの様な華やかさ、ミントの爽やかさ、ベーコンなどの香ばしい肉の香り、甘草や鉛筆の芯、そしてジンジャーブレッド。血液の様な要素もある。
多少熟成(酸化)は始まっているものの、基本的には若々しく液体は力強い。
タンニンが非常に甘く、酸は柔らかい。滑らかでクリーミーな舌触りの中に、ジャムの様なカシスやブラックベリー、血液、木材の様な余韻が感じられる。


生産者: スポッツウッド ワイナリー
銘柄: ナパヴァレー カベルネソーヴィニヨン 2012
品種: カベルネソーヴィニヨン92.4%、カベルネフラン7.6%

WA99pt
外観は濃いガーネット、粘性は非常に高い。
かなりクラシカルなカベルネソーヴィニヨン。
非常にポテンシャルは高そうだが、現状でいうとかなり硬い印象を受ける。非常に濃厚な風味。
ミルクポーションやバターの様な滑らかなニュアンスの奥に、重いニュアンスが漂っている。そしてシロップの様な香りも感じられるが...抽出はかなり強い、漢方やかなり焼きの強い樽の炭焼き、燻製の様なニュアンスがある。強いスミレやなめし革。土っぽい。
黒糖に転化しそうな熟したブラックベリーやカシスの様な果実味、ピーマンを思わせるすこし青さを感じさせる複雑なニュアンス。パウンドケーキの様な濃厚さ、燻製肉やベーコン、そしてタバコ、リコリス、クローヴなどのスパイスが感じられる。
酸味とタンニンは充実していて、果実味はピーマンやブラックベリー、カシスの様な充実した余韻を感じられる。
重量感と球体感はあるものの不足感を感じる。


生産者: コルギン セラーズ
銘柄: ナンバーナイン エステート プロプライエタリーレッド 2012
品種: カベルネソーヴィニヨン62%、メルロー19%、カベルネフラン11%、プティヴェルト8%

WA99pt
外観は濃いガーネットで粘性は高い。
ものすごいグリセリン感。甘露で凝縮した果実味とMLFの要素が高濃度で整ったワイン。かなりの熟度と重厚感がある。
香ばしくまろやかなミルクチョコレートやメイプルシロップをかけたワッフル、そして過熟したプルーンやブラックベリーのジャムを想起させる果実味が主体となり、ミントの様な清涼感とスミレや熟成肉の様な旨味を包含した要素。シダーウッド、甘草、ハチミツの様な複雑なニュアンスが感じられる。トーストなど。若干の塩分がある。
全体的にシロップの様な甘露な香りに彩られ、しっかりとした樽、果実の甘みやほのかな酸を感じさせる複雑な作り。
タンニンは柔らかく、その中でしなやかな酸がある。
ブラックベリーやプラムの果実味とともに、ミルクティーの様な余韻、わずかな塩気が口内に広がり余韻となる。
素晴らしい。



【所感】
本日は典型的とも神に愛されたとも言えるナパのカベルネソーヴィニヨンなどのボルドー品種を中心に見ていきたいと思います。ラインナップはダラヴァレ、カーディナル、スポッツウッド、コルギンの4種類です。
いずれもカルトワイン、あるいはグランヴァンと呼ぶに相応しいものばかりだと思います。
ではまずは一旦ダラヴァレは置いておいて、カーディナルから。
樽と果実味かはっきりと感じられるワインです。
その分、少しMLFは控えめにも感じられます。筋肉質な凝縮した黒果実の果実味、そしてチョコレートやコーヒーを思わせるビターなロースト香、肉やミントの様な香りも感じられます。
ただ堅牢とまでは行かず、トラディショナルなカリフォルニアを思わせる甘露な香りはしっかりと感じ取れます。
そういう意味では樽の利き方はラトゥール的ですが、果実味がとてもわかりやすいので、受ける印象はかなり違うと思います。またアルコール度数の高さからか、タンニンが極めて甘く滑らかでジャミーな舌触りと余韻を感じさせます。
グランヴァン然とした素晴らしいワインです。

次にスポッツウッド。
女性的でマルゴーっぽいと称されますが、ヴィンテージなのか抜栓直後でバリカタだったからか、どちらかというとポイヤック的。いや、グリニッシュな複雑なニュアンスがある辺り、少しタイプは違う様な気がします。
前面にMLFやロースト香、強烈な華やかさがあり、果実味は少し隠れ気味です。ただ徐々にグラスから黒糖やシロップ、黒系果実の甘露さが現れてくる。そのパワフル感はかなりソリッドにも思えます。ハーブの香りとほのかなピーマン香があり複雑。こう、親しみやすい感じではないと思いました。
ポテンシャルはありそうなんですが、どうにも...こう気難しい感じのあるワインですね。

コルギン。
今までコルギンを飲んでダメだ、と感じたことはないのですが、今回も...本当に素晴らしい。流石です。
濃いワインが好きなら香りや味わいの粘性にまず驚かされそうです。ねっとりとした強烈なエネルギーを包含する液体というか。また果実味と醸造要素が「いずれの要素もバチバチに濃いにも関わらず」バランスがそれぞれ取れているのがとても驚きです。樽と果実味、果実味とMLF、MLFと樽、抽出、わずかな酸化要素がこれまた見事に絡み合って、複雑でありながら親しみやすい香りを作り上げている。
凝縮感があり、それでいてタンニンや酸は柔らかい。
黒系の果実で抽出もしっかりとしていながら渋みや酸味をほとんど感じさせない作り。
ネガティブを切り詰めて、ポジティブを最大化した作りと言っていいかも。非の打ち所がないワインです。

最後はダラヴァレ。これは熟成したものですね。
1998年ヴィンテージです。
なかなかいい感じの熟成だと思います。熟成起因のアロマが表出していながら、果実味も十分に残っていて、熟した黒系果実と黒糖の様な濃密な甘露さを感じます。ボディはしっかりとあるので出汁系ではないんですが、この枯葉や腐葉土、ドライフラワーの様なアロマがまた素晴らしくて。
わずかな燻製肉の様な風味もカリフォルニアの熟成っぽくていいです。
飲む人が飲めば若いかもしれませんが、適度に熟成香が露出しながら果実の風味をしっかりと感じられるのは素晴らしいですね。若い状態での飲み頃から少し過ぎたいい感じの香りと味わいだと思います。

やはりカリフォルニアはカベルネソーヴィニヨンの聖地といった感じがします。そうそうぺらぺらのワインが出来ることもなく、十分に熟した親しみやすい味わい。手をかけてやれば傑作ができる。
ボルドーの抑揚の効いた、ヴィンテージに合わせたスタイルも偉大である。という前提を置いた上で、単純に完成度と安定性の高いプロダクトという意味ではカリフォルニアは随一だと思います。
今更ながら強くそう思います。

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【カリフォルニア:56】カリフォルニアカルトワイン&注目の生産者 Part2

こんにちは、HKOです。
毎度ありがとうございます。
本日もカリフォルニアでございます。


【データ】
ケイネズワイナリーはアンダーソンヴァレーに拠点を置く新進気鋭の生産者。
ブルゴーニュ愛好家であるオーナーのピーター ケイネズは、証券業界を引退後、2007年にデムス ヴィンヤードとセリーズ ヴィンヤードを購入。栽培から醸造まで一貫して行っており、頻繁に畑に出てビオディナミによる栽培に深く関わりながら高品質のピノノワールを作り続けています。
これらの畑では海抜が高く冷涼なぶどうが作られ、アントヒル ファームズやリオコなどにも供給されている。
栽培はビオロジックからビオディナミに転換。白においては10月下旬に集荷したブドウを選果後、房ごと圧搾。自然酵母で発酵。フレンチオークのバリックで熟成。
赤においては自然酵母による全房発酵。重力を利用してプレス機から直接樽へとワインが移され、瓶詰めまで澱引きせず、SO2添加もほとんど行わない。
今回のデムス ヴィンヤードはフレンチオークのバリックで16ヶ月熟成。新樽比率は40%程度。
海抜約427-518mと非常に標高の高い斜面にある畑で、表土が厚い。樹齢は約30年。


ロスト&ファウンドはマスターソムリエのジェフ クルスとバルトロミー家によって、2010年にロシアンリヴァーヴァレーに設立された、新進気鋭のワイナリー。
バルトロミー ファミリー ヴィンヤードは元々ジンファンデルが植樹されていたが、ピノノワールに植え替えしています。ピノ ノワールのクローンは 113 、777 、Jackson 。113 は全房発酵。100%フレンチオーク(15%新樽)にて10ヶ月熟成。生産本数は200ケース。


タリー ヴィンヤーズは1948年からオリヴァー タリーがアロヨ グランデAVAで野菜の栽培を始めた事から歴史が始まります。90年代までは野菜農家としてのほうが有名で、ワイン造りを本格的にスタートしたのは1986年から。
サン・ルイス・オビスポ郡アロヨ・グランデAVAは、太平洋から直接ヴァレーに流入する冷たい海風、海岸からたちこめる霧が影響して冷涼な栽培環境を形成しています。
ブルゴーニュ系品種に適したセントラルコースト屈指の地域です。パソ ロブレスと比べてワイナリー数は1/4程度。
今回のローズマリーズ ヴィンヤードはリンコン ヴィンヤードから1マイルほど西のヒルサイドにある畑。砂岩層とローム層からなる乾いた土地質。樹齢は30年。
面積は現在28エーカー(シャルドネ11エーカー、ピノ17エーカー)。フレンチオーク小樽18ヶ月間熟成、新樽比率は30%。


【テイスティングコメント】
生産者: ケイネスワイナリー
銘柄: デムズ ヴィンヤード ピノノワール 2013

外観は淡いルビー、粘性は中庸。
カリフォルニア的な果実味の要素を持ちながら、ブルゴーニュを思わせる極めて繊細な体躯と質感を持っている。ソノマヴァレー的な側面が垣間見れる。アントヒルファームに近しい。
海藻や海苔の様な風合いと茎や枯葉の様なニュアンス、そしてフレッシュなクランベリーやストロベリーの様な果実味、鰹節の様な多少の酸化的な要素がバランス良く調和する。パウンドケーキや紅茶、抽出は淡く赤い花。
燻製肉や血液、そしてクローヴ、トーストの様なニュアンスが感じられる。
酸とタンニンのバランスが良く、旨味がしっかりとある。
青みが前に出ていて、そこに赤系ベリーの酸味と旨味、ミルクの要素が包含されていく。



生産者: ロスト アンド ファウンド
銘柄: ピノノワール 2012

外観はルビーで粘性は中庸。
果実味が非常に豊かでストロベリージャムのような甘露な味わいが感じられる。
非常に甘露なストロベリーやプルーンのジャムの様な充実した果実味(キャンディや香料の様な強烈な香り)、バニラやミルクポーションの様なまろやかさが調和している。
強烈な凝縮感がある。パウンドケーキ、バナナケーキの様なニュアンス。徐々にクローヴや茎などのニュアンスも出てくる。スミレの様な香りがあり、滑らか。徐々に茎の香りも感じられて、徐々に混じってくる。燻製肉やミルクやバター。クローヴやクミン、シナモンなど複雑さを感じられる。
酸味と旨味のバランスが絶妙で、タンニンも穏やか。
タンニンに甘みが感じられ、滑らかで、ミルクやキャンディの様なはっきりとした果実味の余韻がしばらく続く。



生産者: タリー ヴィンヤーズ
銘柄: ローズマリーズ ヴィンヤード ピノノワール 2013

WA95pt
外観はルビーで粘性は中庸。
果実味とマロラティック発酵のバランスが良く、果糖ヨーグルトや黒系の甘露な果実味が感じられる。
カリフォルニア的。
フレッシュなストロベリーやダークチェリーの様な果実味があり、蜜の様な繊細な甘露さがある。茎やリコリス、そしてすこしその中に炭焼きやカカオのニュアンスがある。そこにミルクやウォッシュチーズの様なまろやかさも並存。比較的抽出は強くスミレや薔薇のニュアンス、そして漢方、ベーコン。クローヴ、シナモンなど。
基本的には果実味と青みが調和した、熟したタイプながら抑制の効いたスタイル。
酸とタンニンはやや立ち気味でこちらも旨味が充実している。華やかな花、そしてなめし革の様な華やかなニュアンスとともにやや黒系チェリーの風味が感じられる。



【所感】
先日は白のレポートとしましたが、今回はピノノワールです。カリフォルニアのピノノワールの方向性は大体下記のような方向性に大別できるかなと思いました。
(1)果実味とMLF、樽の甘さを強調したいわゆるカリピノ
※オーベールやリバースマリーみたいなタイプ
(2)抽出と果実味の凝縮感を強調したドライピノノワール
※タンタラやピゾーニエステート、コブみたいなの。
(3)優しい抽出、全房発酵、冷涼感を出したIPOB系
※アントヒルファームスなど
(4)ブルゴーニュコピー
※キスラー、カレラなど。(でもたまに1に寄る事はある)

まあ特にキスラーなんかは年によってぶれるんですけど、まあこんな感じじゃないかと思います。うーん、そういう意味では意識をしていても(4)が100%ハマる生産者はいないかも。

今回はそんな中でもほとんどが(3)、あるいは(1)と(3)の間みたいなワインが大半を占めているような気がします。
まずど真ん中の(3)としてはケイネズワイナリー。
果実味の方向性こそソノマ的だと思いますが、全体を見渡すと非常に繊細かつナチュラルに仕上げられています。
ボディの質感としてはブルゴーニュ寄り。
アントヒルファームスやスクライブと同じスタイルを持つピノノワールだと思いました。
やや特殊なのはそういった瑞々しい果実味やグリニッシュさ、紅茶の要素がありながら、独特の磯っぽさ、かつお節のような出汁っぽさを放っている部分でしょうか。
エイジングによる酸化なのかわかりませんが、あまり今まで感じたことのなかった個性です。
基本的にロースト感やMLFは控えめに、瑞々しく仕上げられたワインになっていると思います。

次はロスト アンド ファウンド。
こちらもソノマ的で、近しいのはキスラー、あるいはオキシデンタルあたりかなと思いました。
いいワインですね、あそこまでのクオリティは無いですが、かなり良く出来ています。
しっかりとした凝縮感や香りの高さがあって、赤系の果実味と共にミルクポーションやパウンドケーキを思わせる甘露な香りがあります。華やかさも並存しており、ブルゴーニュとは趣を異にしながら、(1)と(4)が混じり合ったような質感のワインになっています。
残念ながら国内流通は少ないみたいなのですが、これはいいワインですね。カリフォルニアの陽と複雑さ、繊細さを併せ持ったピノノワールだと思います。好みです。

最後はタリーヴィンヤーズ。似たような名前のジンファンデルの生産者がいますが、それとは違うやつです。
タイプとしては(4)の風合いを持つ(1)。
醸造的要素を多分に感じさせながら高い熟度の果実味を持っています。そもそも果皮が薄いのか、抽出時間が短いのか、果実の方向性としては赤系に寄っています。
樽やMLFはかなりしっかりと掛かっているのですが、かつ青みも持っています。抑制の効いたスタイルでもあります。
ただ基本骨子はカリフォルニアのそれなので、キャッチーな魅力は十分にあります。こちらも良く出来たワインになっています。


やっぱりカリフォルニアのピノはいい...
ブルゴーニュも好きだけど、全く違った魅力があるのが面白いですね。









【カリフォルニア:55】カリフォルニアカルトワイン&注目の生産者 Part1

こんにちは、HKOです。
本日はカリフォルニアの注目の生産者をピックアップしています。


【データ】
ドメーヌ カーネロスはテタンジェがコブランドコーポレーションと共にカーネロスに設立したワイナリー。1987年設立。ドメーヌカーネロスは、カーネロスAVAの中心に、350エーカー以上の敷地を保有し、同地区のみのぶどうを使用し、スパークリングワインを作っています。果汁は一番絞りのみを使用。
瓶内二次醗酵を経て、3年を超える熟成後のリリース。品種はシャルドネ58%,、ピノノワール42%。
ドサージュは0.9%...??高いような?

ヴァーナーは1980年に双子ヴァーナー兄弟がサンタクルーズマウンテンズに興したブティックワイナリー。既に多くの高い評価を得ています。
地勢が複雑に入り組んだスプリングリッジヴィンヤードから、それぞれ区画ごとに特徴的なシャルドネとピノ・ノワールがリリースされます。小さな自社畑からブルゴーニュスタイルのワインを追求している。
今回のビーブロック シャルドネは標高230m、8.75haの北向き斜面の畑。土壌は浅い堆積岩 。樹齢は約30年。収穫されたぶどうは100%樽発酵。100%MLFが行われる。熟成はフレンチオーク100%(新樽比率30%)×8ケ月。生産量はわずか571ケース。

オーベールはピーターマイケル、コルギンなどの醸造コンサルタントを務めたマーク オーベール夫妻によって設立されたワイナリー。ソノマでシャルドネとピノノワールをメインに生産しています。 (ちなみにあの気難しいヘレンターリーのアシスタントも務めていたとのこと!)日本への輸入は2010年が初。発酵は長くて10ヶ月程度、フレンチオーク新樽で7~12ヶ月の熟成。新樽比率は40~80%でフルマロラクティック。ハイド ヴィンヤードは、カーネロスのラリー・ハイドが当主。(ちなみにリッチーヴィンヤードはロシアンリバーヴァレー)
入植は1979年。現在は200エーカーに及びます。キスラー、コングスガード、レミー、パッツ&ホール、ポール ホブスに供給されています。

シン クア ノンはマンフレッド クランクルが運営するサンタバーバラの生産者。ポートフォリオはコロコロ変わるので、イマイチ掴み難いんですが、僕の知ってる限りだとグルナッシュ、シラー、シャルドネ、ルーサンヌ、ヴィオニエ、それらの混醸。(ワインアドヴォケイトもバレルテイスティング時のものは名称を明確に書いていませんでしたね。「まだ名前がない白ワイン」...とかそんな。)南仏の匂いのするカリフォルニアカルトの生産者ですね。
初リリース以降キュヴェ別にラベルは毎年異なるデザインが用いられ、同じラベルは二度と使用されません。
今回のレジストは細かい情報までは見つかりませんでしたが、フレンチオーク新樽46%で19ヶ月熟成。コンクリートタンク、旧樽の併用を行なっているようです。


【テイスティングコメント】
生産者: ドメーヌ カーネロス
銘柄: ブリュット ヴィンテージ 2011
品種: シャルドネ58%、ピノノワール42%

外観は淡いイエローで粘性は中庸、泡は溌剌と立ち上っている。まず最初に受ける印象としては、丁度シャンパーニュと気候の良い地域のスパークリングの合いの子の様な印象を受けます。それこそナパヴァレーのスパークリングやカヴァに近い闊達な果実味が主軸となっています。
ただし、どこかシャンパーニュの面影を感じさせるのは豊かな果実味の中でも酸がしっかりと際立ち、MLFの要素も程よく効いているからかもしれません。
イーストやバターの要素とライムやグレープフルールなどの柑橘のニュアンス、そしてパッションフルーツの様な果実味が並存しており、穀物的な側面を感じさせます。
石の様なミネラル感があり、ヘーゼルナッツや白い花、白カビなどの要素があります。
香りから想起させる酸は強めだが、アタックとしての酸は然程強くはない。どちらかというと比較的滑らかで、新世界的。余韻は温州みかんのコンポート。ミルキーな要素が前に出ているものではない。


生産者: ヴァーナー
銘柄: ビー ブロック シャルドネ 2013
品種: シャルドネ100%

WA93pt
外観は淡めのイエローで粘性は中庸。
ねっとりとしたシロップの様な甘露さと相反するフレッシュさが感じられる。そしてミネラリー。
パイナップルや洋梨などの果実味、そしてシロップの甘露さはしっかりとあるが、比較的強めのフレッシュハーブの様なグリニッシュさが前に出ている。白い花やリコリス、ムスクなどの香り。ハチミツ、栗のコンポートなど。
美味い。酸はしっかりと立っていながらも、ささくれだっていなく、旨味と丸みが口の中で広がり、パインや洋梨、温州みかんのコンポートの様な余韻が感じられる。


生産者: オーベール
銘柄: ラリーハイド&サンズ シャルドネ 2014
品種: シャルドネ100%

WA95-97pt
外観は淡めのイエローで、粘性が高い。
比較的強めのオイリーなミネラル感がある。
いかにもニューワールド的な厚みとボリューム感があり、非常に熟したマンゴーや黄桃、洋梨の様なタップリとした果実味とシロップの様な甘露さがある。杏仁豆腐やバタークリームの様なまろやかな風味。バニラや白い花。
そしてフレッシュハーブ、リコリスなどの風味がある。例年と比べると多少は冷涼感を感じる。
緻密かつバランスの良い酸があり、余韻はフレッシュ。
レモンや洋梨、フルーツポンチなどの溌剌とした果実味の風味が感じられる。


生産者: シン クア ノン
銘柄: レジスト 2013
品種: ルーサンヌ 57%、プティ マンサン 19%、シャルドネ 17% 、ヴィオニエ 7%

WA97pt
外観はやや濃いめのイエローで粘性が高い。
しっかりとしたミネラル感がある。
尋常じゃない鮮明なテクスチャがあり、凝縮感と透明感に溢れる。強烈なとろみがあり、白桃や洋梨の蜜の様な厚み、パイナップルを思わせる酸味を思わせる香り。
フルーツヨーグルト、白胡椒の様な少しスパイシーなニュアンスがやや強く、ドライハーブ、イーストなどの香りを感じさせる。
素晴らしい。凝縮感があり、フレッシュな酸がありながら非常に厚みがある。
パイナップルや白桃、フルーツヨーグルトの様な鮮明な余韻。クリーミーさとフレッシュさが並存している。


【所感】
まずはドメーヌ カーネロスのスパークリングから。
なかなか興味深いスパークリングです。果実味はカヴァに近い闊達としたものですが、醸造的なバランスは非常にシャンパーニュに近いものだと感じました。カーネロスは冷涼とはいえナパヴァレーの日照条件の良さを裏付ける果実味の豊かさがあり、陽性の味わいを感じます。そこにイーストやバター、ヘーゼルナッツなどの要素や酸がしっかりと際立っているのが、シャンパーニュっぽさを感じさせますね。こう、シャンパーニュにさほど近い訳でもないし、物凄い盛り上がるような美味さではないのですが、手堅く、よく出来たスパークリングだな、と感じました。

次はヴァーナーのビーブロック。
これはなんというか、今までのニューワールドの多くの偉大なシャルドネが、モンラッシェの足跡を追ったものに対して、こちらは完全にそれとは方向性を異にしています。例えるならばシャブリ。でも果実味は強いので、果実味の強いシャブリといった所でしょうか。比較的樽の影響が少ないクリアさフレッシュさが際立つのでそう感じるのかもしれません。シャブリのグランクリュ程のミネラル感がある訳ではないんですけどね。フレッシュハーブなどの風味もあり、ややグリニッシュさも内包しています。
口当たりは酸がしっかりあって、かつ温州みかんのコンポートのような甘露な含み香が楽しめます。
いいですね、珍しいタイプです。

ラリーハイド&サンズ シャルドネ。
今回も変わらずたっぷりとしたリッチなシャルドネを作っています。ボリューム感溢れていますね、黄桃や洋梨などの核種系の果実味、シロップの様な甘露さ、バタークリームを思わせる滑らかで豊満な風合いを感じさせます。
ホントいいワインです。最高。
ただし、以前飲んだ2011年のリッチーヴィンヤードと比較すると、やや冷涼感がありますね。むせ返る様な甘露さとナッツの風味は少し薄まってるような気がします。
フルーツ感や酸が結構残ってますね。凝縮感は前述のワインと比べると控えめですね。WAの評価的には変わんないんですけどね!相変わらず最高クラスにはいるのですが、その中でも「よくある最高峰のシャルドネ」って感じがします。

最後、レジスト。
これもうホントに凄いよ!びっくりだよ!
香りとか味わいは全然違うのに、一番DRCのモンラッシェを想起させるものになってます。
それは粘性や香りの鮮明さ、甘露さですかね。
受けるイメージが近い。もう一度言いますけど香りや含み香、味は違いますよ。でも近いんですよ。
香りの輪郭が非常に鮮明で凝縮感がハンパない。甘露なのに酸味も失っていない。凄いワインです。
ルーサンヌらしいパイナップルやスパイシーな要素がとても特徴的で、粘性と白桃、洋梨の蜜の様な凝縮した香りが際立っています。ヨーグルトなどのMLF起因の要素もバランスが取れていて、最高峰の白と言っていいほど。
熟成した時のイメージは想像しずらいですが、現段階でも相当美味しく飲めると思います。HKO的には2016年に飲んだ白では最も素晴らしいと感じました。

今回のはなかなかそれぞれに個性があって面白いと感じました。オーベールはニューワールド系としては最高峰のシャルドネだし、ヴァーナーはシャブリ系としてはかなり突出してる。レジストはモンラッシェ的な風合いを感じさせながら南仏的な要素を主軸としている。
面白いです。








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【アメリカ:55】オレゴンとカリフォルニアの熟成ポテンシャルを図る

こんにちは、HKOです。
本日はオレゴンのピノノワール、そしてカリフォルニアのカベルネソーヴィニヨン、シャルドネです。

【データ】
ボーグル ファミリーは現在の当主の祖父にあたるウォーレンとクリスが1968年にサクラメント川沿いに設立した家族経営のワイナリー。現在事業拡大が進み600haもの畑を所有しています。現在は長男のウォーレン ボーグル氏が実質的な指揮を取っています。肥沃なデルタ地区で何十年にもわたるボーグルファミリーの葡萄栽培の伝統を守り続けています。
今回のシャルドネはクラークスバーグで栽培されたぶどうを使用し。50%ステンレス スチール タンク、50%樽で醗酵させ、一部マロラクティック醗酵させてシュール リーで熟成。廉価ながら手のかかった一本です。

ドメーヌ ドルーアンは現在オレゴン最高の生産者の一人といっても良いのではないでしょうか。
1988年にアメリカ オレゴン州のウィラメットバレーに、ジョゼフ ドルーアンが設立したワイナリーです。
ドルーアン ファミリーの長女ヴェロニクがワインメーカーを担当。ドメーヌ ドルーアン の自社ぶどう畑はウィラメットバレーのレッドヒル南側斜面に125ha保有。栽培面積は85ac。主要品種はピノノワールで一部シャルドネも生産されています。オレゴンにおいては最高密度の7700本/haの密植栽培を実施。
手摘みで収穫後、除梗し自然酵母にて発酵。
新樽を20%含むフランソワ フレール社のフレンチオークで、12―15ヶ月熟成。パンチダウンを毎日2回行い、自然なマロラクティック醗酵の後、ボトリング前に澱引きします。醸造はグラヴィティ フローに沿って作られた施設でぶどうに負担をかけない様に実施されます。

ケイマス ヴィンヤーズはワインメーカー兼オーナーのチャック ワグナーと、彼の両親、チャーリーとローナ ベル グロスが3人で1972年にナパヴァレーに設立したワイナリー。ナパ ヴァレーのカベルネ・ソーヴィニョン、そして特別な年しか作られないバレルセレクションのスペシャル セレクションを造っています。老舗らしい時代に流されないクラシカルな作りで、非常に高い評価を受けています。スタンダードキュヴェのカベルネソーヴィニヨンはワインスペクテーターで90点を下回った事はないそうです。
スペシャルセレクションは生産量全体の20~30%程度のポジティブセレクション。オークノール、ヨーントヴィル、オークヴィル、ラザフォード、セントヘレナ、カリストガのヴァレーフロアが75%、アトラスピークとハウエルマウンテンのマウンテンサイドが25%。区画別に醸造。11月から12月に試飲し良いと判断したものをボトリングする。


【テイスティングコメント】
生産者: ボーグルヴィンヤーズ
銘柄: シャルドネ 2014
品種: シャルドネ 100%

1800円
外観は透明に近いイエローで粘性は中庸。
少し嬉しくなってしまうような典型的なカリフォルニアのシャルドネ。デイリーレベルのものだが、極めてキャッチーで美味しい。
パイナップルやパッションフルーツを思わせる爽やかで濃密な果実味と共にコンポートの様なシロップの甘さ、バターの様な香りを感じさせる。
ほのかにノワゼットの様な香りもあるが、極僅か。
基本的には果実の香りとマロラクティック発酵のニュアンスが主体的。
存外にしっかりとした石のようなミネラル感があり、フレッシュハーブやリコリスが付帯する。
酸味はしっかりとあるが、アルコール度数に起因する粘性が感じられ、とろりとした質感。パインのような果実の風味と苦味、滑らかな旨味を感じさせる。美味しい。


生産者: ドメーヌ ドルーアン
銘柄: オレゴン ピノノワール 1994
品種: ピノノワール100%

WA87pt
外観はオレンジを帯びたルビー、粘性は中庸。
濡れた木や腐葉土、キノコの様な熟成感。牛脂やなめし皮。円熟したブラックベリー、ダークチェリーのジャムの香り、イチジクの様な香り。八角の様なスパイシーさがある。また鉄釘や血の香り、ベーコンなどの風味、MLF的なミルクなど。複雑な味わいで旨味が物凄く感じられる。
酸は落ち着きタンニンも軟化している。
旨味が非常に前面に出ており、梅芝の様な味わい。
じんわりとしたピノの味わい。ジャムにしたブラックベリーの余韻。素晴らしい。


生産者: ケイマス ヴィンヤード
銘柄: スペシャルセレクション カベルネソーヴィニヨン 1998
品種: カベルネソーヴィニヨン100%

34000円、WA96pt(2001)
外観は非常に濃いガーネットで粘性は高い。
かなり若い体躯のワインで、新世界的な果実の充実感と共に爽やかなミントの様な香りが感じられる。
ブラックベリーやプラムのジャムを想起させる濃密な果実味と共に糖蜜やブリオッシュの様な甘やかさ、比較的爽やかなミントやハーブの様な香りを強めに感じさせる。炭焼きや焦げたゴム、ほのかにピーマンや薔薇のドライフラワー、エナメルリムーバー。
燻製肉の様な香ばしい香りとマホガニー、リコリスなどの要素が感じられる。
熟成の要素はあるものの、若い。非常に若い。
酸もタンニンも落ち着いていて、タンニンも非常に甘い。
ピーマン、薔薇のドライフラワー、ブラックベリーのジャムの様な余韻が残る。


【所感】
まずはお買い得の一本、ボーグルヴィンヤード。
僕のボーグルヴィンヤードとの出会いはジャンジョルジュ トーキョーのグラスワインでファントム(ジンファンデルとプティシラーのブレンド)を飲んだ時で、まあこれはさぞかしお高いんだろうなぁ、よく出来てるなぁ、と思ったんだけど、蓋を開けてみれば4000円程度でしたと。
そんな感じで、かなり気になるワイナリーになってたんですが、じゃあ白はどうなんだろうと、買ってみたのがこのシャルドネ。なんと1800円。大丈夫かよ。
流石に高級とは言えないまでも、物凄く良く出来たカリフォルニア的なシャルドネ。爽やかな酸を帯びた果実味、そしてマロラクティック発酵の滑らかでバター的な要素が、シロップの様な甘露な要素と結合しています。ミネラル感も意外とあり、しっかりとした作りです。
粘性がありトロリとしていて、グリセリン感もあります。
果実味は確かに粗野ですが約2000円は安い。倍でもまあ納得します。いいワインです。

次は変わってオレゴンの熟成ドメーヌ ドルーアン。
なかなかレアな一本です。
熟成香が主体的でありながら出汁感は希薄で、ジャムの様な果実味と牛脂の様な風味がかなり前面に感じられます。
若いヴィンテージではさぞかし凝縮した果実味があったのだろうと容易に推測できます。果皮の要素もまだ残っていて華やかさも残っています。熟成ジャミーです。
ただ樽はブルゴーニュと同じものを使っているからか腐葉土やキノコ、濡れた木の様なニュアンスはとてもブルゴーニュ的だと思います。
そういう意味で言うと、新境地というか、醸造的なものはブルゴーニュなんだけど、凝縮した果実味はオレゴンというかアメリカ的。アンビバレンツで面白いです。
なかなかオレゴンの熟成ピノは飲む機会が少ないのですが、これはかなりいいですね。
最高のピノっぽい透明感のあるエキス感のあるワインではありません。

最後はケイマスのスペシャルセレクション。
以前だいぶ昔にピノを飲みましたが、そん時はあまりパッとしませんでした。じゃあ得意のカベルネはどうだこの野郎といった感じでチャレンジ。
いやー、若いですね。ピッチピチです。
流石にこんなもんじゃ熟成香が強くなったりしないかー。
黒系果実の糖蜜を思わせるジャミーさとブリオッシュの甘露さが主軸となり、そこにほのかにミントやハーブなどのアロマが絡んできます。スパイスなどの要素もありますが、基本的に熟成を感じさせるのは生肉の要素とジャムの様な果実味くらいでしょうか。ただ香りの甘みとMLFがビシバシ来るので、基本的にはあまり目立ちません。
酸とタンニンこそこなれてますが、タンニンの甘さは若々しいし、なんというか、若い状態。
まだ熟成の溝にまで至っていない。若く美味しく飲めるタイミングといったところでしょうか。
相当熟成ポテンシャルあると思います。

どれも非常に好みのワインでした。






【カリフォルニア:54】カリフォルニア カルトワイン リバイス #2

こんにちは、HKOです。
カリフォルニアのカルトワインを今一度ちゃんと飲み直してみよう第二弾です。
本日はポール ホブスの2012年初リリースのネイサン クームス エステート、そしてスクリーミング イーグルのセカンドワイン、セカンドフライトです。



【データ】
ポール ホブス ワイナリーはロバート モンダヴィ ワイナリーやシミワイナリー、オーパスワンでワインメーカーとして活躍したポールホブスが1991年に設立したワイナリー。ナパ ヴァレーとソノマ マウンテン、ロシアン リヴァー ヴァレーのシングルヴィンヤードを得意としています。
今回は2012年が初リリースとなるネイサン クームス エステート。植樹は2002年。収量は1エーカーあたり3.7t。南西向きの粘土質ロームの土壌。
夜間に手摘みで収穫されたぶどうは密閉式小型ステンレスタンクで天然酵母で発酵。6日間の低温マセレーション、合計28日間のマセレーション。フレンチオーク新樽100%(タランソー、ダナジューなど4種)でマロラクティック発酵を行いながら20カ月の熟成を行う。マロラクティック発酵は自然に実施。無濾過無清澄で瓶詰め。

スクリーミングイーグルは1986年に不動産業で成功したジーンフィリップ女史がナパのオークヴィルに設立したワイナリー。醸造責任者はハイジ バレット~アンディ エリクソン。2011年にアンディエリクソンはスクリーミングイーグルを去った様で、後任はニック ギラクソン氏に引き継いでいます。
ファーストヴィンテージは1992年。栽培面積は24haの畑。年間生産数6000本程度。
オークヴィルディストリクトの、鉄分を多く含んだ赤い土壌で栽培されたブドウは、適度な収量で、Brix値24で収穫。
厳密な選定が行われ1.5tという少量ずつで発酵させる。セギュイン=モロー製のフレンチオークの樽(約60~65%が新樽)で18~20ヵ月間熟成させ、濾過処理なしで瓶詰めしている。
今回はスクリーミングイーグルのセカンドワイン。
ファーストラベルのカベルネソーヴィニヨン比率が約80%ですが、セカンドラベルは約50%で、メルローの比率が高くなっています。生産者本数は約7000本程度。


【テイスティングコメント】
生産者: ポール ホブス
銘柄: ネイサン クームス エステート クームスヴィル ナパヴァレー 2012
品種: カベルネソーヴィニヨン100%

WA93-95pt、62000円
非常に黒に近いガーネット、粘性は非常に高い。
ドクタークレインと比べると、明らかにニューワールド最高峰の王道的なスタイルの作りになっている。
華やかさは共通としつつも、果実の凝縮感や酸が目立つドクタークレインと比べると熟した濃密な果実味とMLF的な要素を強くを感じられる。
熟したブラックベリーやカシスにメイプルシロップの様な濃密さやコンデンスミルクの様なまろやかさが並存する。広域に伸びていく感じだ。ブリオッシュやバニラの要素。そしてフレッシュハーブやユーカリの要素が混じり合い、エナメルリムーバーやスミレ、スイカズラのような非常に強い華やかさと複雑さを放っていく。クローヴ、リコリスなどのスパイス感。
僅かなベーコンの様な燻香、乾いた木片、ややアルコール感。ジンジャーブレッドの様な風味。
こちらもタンニンが甘く、酸が滑らか。決して弱い訳ではなく、滑らか。グリセリン感も豊かで球体感がある。旨味が充実していてメイプルシロップやコンポートの果実の余韻が残る。ややキャンディっぽさもある。


生産者:スクリーミング イーグル
銘柄: セカンド フライト オークヴィル ナパヴァレー 2012
品種: カベルネ ソーヴィニヨン 48%、メルロ 43%、カベルネ フラン 9%

WA96pt、157000円
濃い色調のガーネット、粘性は高い。
これがセカンドとは決して思えない程の濃密さ、各要素のバランス感の良さ。オーパスワンと構成は近いが、こちらの方が重さや凝縮感、濃密さを感じる。
まず目立つのはリキュールやコンポートを思わせる凝縮した甘みのプルーンやブラックベリーの様な果実味。その中にキャラメルトフィーやバニラ、ミルクコーヒー、それに溶け込む様な形で華やかなスミレやハーブの要素が併存している。燻製した肉、素直なシダーウッドの香りやリコリスの要素も感じられる。
焼き栗やトーストの様な要素。パウンドケーキの様な甘露さ。ハチミツやシナモン、オリエンタルスパイスの様な風味が漂う。極めて素直でありながら、凝縮感と濃密感が半端ない。
徐々に煮詰めた小豆やハーブやスパイスの香りが強まってくる。
球体感はファーストラベルに劣るが、非常に豊かなグリセリン感があり、旨味が充実。酸もタンニンもまさにシルキーといった感じ。タンニンも驚くほど甘く、滑らかで籠いっぱいの熟した果実を僅かな液体に集約したかのような優美な余韻を残していく。キャラメルトフィーやメイプルシロップの余韻。鼻に抜ける香りは力強い。


【所感】
言葉にならねえ....


って位すごいですね。
以前、これの一つ上のスクリーミングイーグルとポール ホブスのベグストファー ドクタークレイン ヴィンヤードをやりましたが、ぶっちゃけ今回のも感動という意味では遜色ありません。2本ともファーストラベルとして扱ってもなかなかこれらの品質に追従できるワインは無いのではないでしょうか...いやホント。

まずポール ホブスのネイサン クームス エステート。
前回のベグストファー ドクタークレイン ヴィンヤードが、非常に凝縮感と華やかさ、そして酸の美しさに際立った、鋭角的なワインでした。新世界的ではありますが、ナパのカベルネソーヴィニヨンとしてはかなり異質な質感。
今回のネイサンクームスは、そういった意味ではいかにもナパヴァレー的なカベルネソーヴィニヨンの王道を感じさせる甘露な作りではありながら、華やかさや酸の美しさ、鋭角さを残した作りとなっています。
果実味とその他の醸造要素が溶け込んでいるかというと、そうではなく、基本的には熟しながら酸を帯びた果実に対して樽の香り、MLF要素が互いに引き寄あい、一塊ではなく、華やかさ、甘露さ、まろやかさなどの複数の軸を作っている形。
極めてバランス感が良く、グリセリン感も高いので、ナパヴァレーとしては若干異質感はありますが、非常にワインとしての完成度は高いと思います。
タンニンも非常に甘く、滑らか。突出して官能的な味わいです。

次はセカンドフライト。
これはですねー、セカンドとかそういうんじゃないですねー。レベルの高いワイナリーのフラッグシップクラスのワインと競合できる位の、超絶レベルの高いセカンドワインだと思います。
ちなみにファーストラベルの方が堅牢ですが、個人的にボルドーのファースト、セカンドほど大きな違いは感じませんでしたね。どちらもクオリティが突出している。逆にメルロー比率が高くて、セカンドフライトの方がキャッチーなので、僕的にはこちらの方が好みですね。
感覚としてはナパヴァレー オークヴィルの典型とも言えるような作りの延長線上にある王道的な作りを限りなく熟度を上げて各要素のバランスを完璧にしたって感じでしょうか。タンニンも驚くほど甘く、グリセリン感も十分。
セカンドとは言えない、別のワインとして扱ってもいいくらいの代物だと思います。完璧!

しかしやっぱりカリフォルニアのカベルネソーヴィニヨンはハマりますね...
タンニンの甘みやキャッチーさが非常に分かりやすい。それでいて複雑さや構築にまで気を使っているのだから恐ろしい。
つくづくニューワールドの怖さを知った次第です。


プロフィール

HKO(はこ)

Author:HKO(はこ)
HKOです。
世界を股にかけない普通の内勤サラリーマン。
体はピノノワールとシャルドネで出来ていますが、最近は専らシラー、グルナッシュ、ヴィオニエなどの南仏品種や、ジンファンデルみたいな濃い品種が好み。貴重なワインや興味深いワインを求めて日夜東京を徘徊する日々。
食べ歩きを2014年頃からスタート。
ミシュラン星付きフレンチ(2017年度版まで)制覇まであと2店舗。
2店舗のハードルが高いので、最近は手軽なビストロなどを周遊。
基本フレンチ/イノベーティブ/フュージョンを愛するが、イタリアンや和食にも食指を伸ばす日々。ペアリングは考えず、皿の中で終局する世界観を大切にしています。

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