【カリフォルニア:54】カリフォルニア カルトワイン リバイス #2

こんにちは、HKOです。
カリフォルニアのカルトワインを今一度ちゃんと飲み直してみよう第二弾です。
本日はポール ホブスの2012年初リリースのネイサン クームス エステート、そしてスクリーミング イーグルのセカンドワイン、セカンドフライトです。



【データ】
ポール ホブス ワイナリーはロバート モンダヴィ ワイナリーやシミワイナリー、オーパスワンでワインメーカーとして活躍したポールホブスが1991年に設立したワイナリー。ナパ ヴァレーとソノマ マウンテン、ロシアン リヴァー ヴァレーのシングルヴィンヤードを得意としています。
今回は2012年が初リリースとなるネイサン クームス エステート。植樹は2002年。収量は1エーカーあたり3.7t。南西向きの粘土質ロームの土壌。
夜間に手摘みで収穫されたぶどうは密閉式小型ステンレスタンクで天然酵母で発酵。6日間の低温マセレーション、合計28日間のマセレーション。フレンチオーク新樽100%(タランソー、ダナジューなど4種)でマロラクティック発酵を行いながら20カ月の熟成を行う。マロラクティック発酵は自然に実施。無濾過無清澄で瓶詰め。

スクリーミングイーグルは1986年に不動産業で成功したジーンフィリップ女史がナパのオークヴィルに設立したワイナリー。醸造責任者はハイジ バレット~アンディ エリクソン。2011年にアンディエリクソンはスクリーミングイーグルを去った様で、後任はニック ギラクソン氏に引き継いでいます。
ファーストヴィンテージは1992年。栽培面積は24haの畑。年間生産数6000本程度。
オークヴィルディストリクトの、鉄分を多く含んだ赤い土壌で栽培されたブドウは、適度な収量で、Brix値24で収穫。
厳密な選定が行われ1.5tという少量ずつで発酵させる。セギュイン=モロー製のフレンチオークの樽(約60~65%が新樽)で18~20ヵ月間熟成させ、濾過処理なしで瓶詰めしている。
今回はスクリーミングイーグルのセカンドワイン。
ファーストラベルのカベルネソーヴィニヨン比率が約80%ですが、セカンドラベルは約50%で、メルローの比率が高くなっています。生産者本数は約7000本程度。


【テイスティングコメント】
生産者: ポール ホブス
銘柄: ネイサン クームス エステート クームスヴィル ナパヴァレー 2012
品種: カベルネソーヴィニヨン100%

WA93-95pt、62000円
非常に黒に近いガーネット、粘性は非常に高い。
ドクタークレインと比べると、明らかにニューワールド最高峰の王道的なスタイルの作りになっている。
華やかさは共通としつつも、果実の凝縮感や酸が目立つドクタークレインと比べると熟した濃密な果実味とMLF的な要素を強くを感じられる。
熟したブラックベリーやカシスにメイプルシロップの様な濃密さやコンデンスミルクの様なまろやかさが並存する。広域に伸びていく感じだ。ブリオッシュやバニラの要素。そしてフレッシュハーブやユーカリの要素が混じり合い、エナメルリムーバーやスミレ、スイカズラのような非常に強い華やかさと複雑さを放っていく。クローヴ、リコリスなどのスパイス感。
僅かなベーコンの様な燻香、乾いた木片、ややアルコール感。ジンジャーブレッドの様な風味。
こちらもタンニンが甘く、酸が滑らか。決して弱い訳ではなく、滑らか。グリセリン感も豊かで球体感がある。旨味が充実していてメイプルシロップやコンポートの果実の余韻が残る。ややキャンディっぽさもある。


生産者:スクリーミング イーグル
銘柄: セカンド フライト オークヴィル ナパヴァレー 2012
品種: カベルネ ソーヴィニヨン 48%、メルロ 43%、カベルネ フラン 9%

WA96pt、157000円
濃い色調のガーネット、粘性は高い。
これがセカンドとは決して思えない程の濃密さ、各要素のバランス感の良さ。オーパスワンと構成は近いが、こちらの方が重さや凝縮感、濃密さを感じる。
まず目立つのはリキュールやコンポートを思わせる凝縮した甘みのプルーンやブラックベリーの様な果実味。その中にキャラメルトフィーやバニラ、ミルクコーヒー、それに溶け込む様な形で華やかなスミレやハーブの要素が併存している。燻製した肉、素直なシダーウッドの香りやリコリスの要素も感じられる。
焼き栗やトーストの様な要素。パウンドケーキの様な甘露さ。ハチミツやシナモン、オリエンタルスパイスの様な風味が漂う。極めて素直でありながら、凝縮感と濃密感が半端ない。
徐々に煮詰めた小豆やハーブやスパイスの香りが強まってくる。
球体感はファーストラベルに劣るが、非常に豊かなグリセリン感があり、旨味が充実。酸もタンニンもまさにシルキーといった感じ。タンニンも驚くほど甘く、滑らかで籠いっぱいの熟した果実を僅かな液体に集約したかのような優美な余韻を残していく。キャラメルトフィーやメイプルシロップの余韻。鼻に抜ける香りは力強い。


【所感】
言葉にならねえ....


って位すごいですね。
以前、これの一つ上のスクリーミングイーグルとポール ホブスのベグストファー ドクタークレイン ヴィンヤードをやりましたが、ぶっちゃけ今回のも感動という意味では遜色ありません。2本ともファーストラベルとして扱ってもなかなかこれらの品質に追従できるワインは無いのではないでしょうか...いやホント。

まずポール ホブスのネイサン クームス エステート。
前回のベグストファー ドクタークレイン ヴィンヤードが、非常に凝縮感と華やかさ、そして酸の美しさに際立った、鋭角的なワインでした。新世界的ではありますが、ナパのカベルネソーヴィニヨンとしてはかなり異質な質感。
今回のネイサンクームスは、そういった意味ではいかにもナパヴァレー的なカベルネソーヴィニヨンの王道を感じさせる甘露な作りではありながら、華やかさや酸の美しさ、鋭角さを残した作りとなっています。
果実味とその他の醸造要素が溶け込んでいるかというと、そうではなく、基本的には熟しながら酸を帯びた果実に対して樽の香り、MLF要素が互いに引き寄あい、一塊ではなく、華やかさ、甘露さ、まろやかさなどの複数の軸を作っている形。
極めてバランス感が良く、グリセリン感も高いので、ナパヴァレーとしては若干異質感はありますが、非常にワインとしての完成度は高いと思います。
タンニンも非常に甘く、滑らか。突出して官能的な味わいです。

次はセカンドフライト。
これはですねー、セカンドとかそういうんじゃないですねー。レベルの高いワイナリーのフラッグシップクラスのワインと競合できる位の、超絶レベルの高いセカンドワインだと思います。
ちなみにファーストラベルの方が堅牢ですが、個人的にボルドーのファースト、セカンドほど大きな違いは感じませんでしたね。どちらもクオリティが突出している。逆にメルロー比率が高くて、セカンドフライトの方がキャッチーなので、僕的にはこちらの方が好みですね。
感覚としてはナパヴァレー オークヴィルの典型とも言えるような作りの延長線上にある王道的な作りを限りなく熟度を上げて各要素のバランスを完璧にしたって感じでしょうか。タンニンも驚くほど甘く、グリセリン感も十分。
セカンドとは言えない、別のワインとして扱ってもいいくらいの代物だと思います。完璧!

しかしやっぱりカリフォルニアのカベルネソーヴィニヨンはハマりますね...
タンニンの甘みやキャッチーさが非常に分かりやすい。それでいて複雑さや構築にまで気を使っているのだから恐ろしい。
つくづくニューワールドの怖さを知った次第です。


【カリフォルニア:53】カリフォルニア カルトワイン リバイス #1


こんにちは、HKOです。
本日から2回に分けてカリフォルニアのプレステージワイン、カルトワインを見直していこうと思います。
今回はドミナス、オーパスワン、ヴェリテのミュゼです。


【データ】
ドミナス エステートは1983年から続くカリフォルニアの中でも比較的長い歴史を持つワイナリーの一つ。拠点はヨーントヴィル。シャトーペトリュスのクリスチャン ムエックスがカリフォルニアに保有するワイナリーです。ドミナスは歴史的なナパヌック・ヴィンヤード(50ha)の葡萄で造られています。
生産量は年間6000~8000ケース。50%はセカンドワインのナパヌックとして、50%はこのドミナスとしてリリースされます。フレンチオーク樽(新樽40%)で16~18ヶ月熟成でリリースされます。

オーパスワンは言わずと知れた1979年からスタートしたバロン フィリップ ド ロスチャイルドとロバート モンダヴィのジョイントベンチャー。カリフォルニアを代表するプレミアムワインです。
ナパヴァレーのオークヴィル地区に拠点を置き、伝統的なボルドー品種を栽培しています。
作付面積は68ha(使用するのは約70%程度)。
密植度は一般的な畑に比べて5~6 倍。
収穫はナイト ハーヴェストを実施。手摘みで収穫されたブドウは機械によって100%除梗。2010年から導入したオプテイカルマシンで完全に選別。以降はグラビティフローによってワイナリーを移動します。アルコール発酵とマセレーションは温度調節つきステンレス製タンクで実施。平均20日前後のスキンコンタクトをゆっくりと行った後、フリーランとプレスワインに分け、それぞれ樽熟成に100%フレンチオーク新樽で約18カ月の熟成を経て、ブレンドで瓶詰め、さらに18カ月程度の熟成を経てリリースされます。

ヴェリテはソノマ カウンティ、アレキサンダー ヴァレーに畑を保有する生産者で、
ケンダル ジャクソンのジェス ジャクソンとが、ロワールやボルドーで経験を詰んだピエール セイヤンによって設立された生産者。ヴェリテはソノマ カウンティの特に優れた4つの区画を保有しており、ポムロール、ポイヤック、サンテミリオンなどの銘醸地のスタイルを元にした、ボルドーブレンドのワインを生産しています。
メルロー主体のミューズ、カベルネフラン主体のデジール、カベルネソーヴィニヨン主体のジョワがフラッグシップとなり、2007年にはその全てでパーカーポイント100点を達成しています。
海抜100フィートから2,400フィートまで、それぞれ異なる土壌でブドウを栽培し 醸造。
醸造後、最も良いブレンドを決定した後、新樽比率100%のフレンチオークで15ヶ月から18ヶ月熟成された後に出荷されます。



【テイスティングコメント】
生産者: ドミナス エステート
銘柄: ドミナス 2009
品種: カベルネ ソーヴィニヨン 95%、プティ ヴェルド 5%

WA97pt、27000円
外観は濃いガーネット、粘性は高い。
濃密だが若干香りに勢いが不足気味。
バターやイースト的な要素に、熟したブラックベリーやカシスの風味が入り混じる。ややアルコール感が際立っておりエナメルリムーバーや漢方の様なスパイシーな要素を包含している。ほのかにパウンドケーキの様な要素。ピーマンやユーカリ、ドライハーブ的な青っぽさが出る。炭焼き、ラベンダー。土的な要素。
リコリスやジンジャーブレッドの様な風味が感じられる。
タンニンはやや荒れ気味で、酸も力強い。
球体感はあり、素性の良さを感じるものの、ややシルキーさに欠けていて、
余韻はブラックベリーやカシスの様な果実リキュールと、厚みのある苦味を感じさせる。


生産者、銘柄: オーパス ワン 2012
品種: カベルネ ソーヴィニヨン79%、カベルネ フラン7%、メルロ6%、プティ ヴェルド6%、マルベック2%

WA96pt(2010)、49000円
外観は濃いガーネット、粘性は高い。
蕩ける様に甘露で外交的な香りがムンムン。
ブリオッシュやキャラメルトフィー、コンポートしたブラックベリーやカシスなどの甘露な果実味に溢れている。
バニラの様な樽香とミルク的なマロラクティック発酵のニュアンス、果実味の甘露さが非常にバランスが取れている。 シロップの様なストレートな甘い香りがあり、バナナやワッフル、スミレの様な華やかさもある。
徐々にイーストなどもある。
動物的な要素は控えめで、ほのかにベーコンの様な香りがある。リコリスやオリエンタルスパイスの様な要素がある。
タンニン、酸共に極めて柔らかくシルキー。しなやかで柔らかい、ミルクや熟したベリーの様な余韻を長く残していく。球体感よりは広がる様なボルドー的な舌触りで、重量感はない。


生産者: ヴェリテ
銘柄: ラ ミュゼ 2010
品種: メルロー 90%、カベルネフラン7%、マルベック3%

WA94-96pt、54000円
外観は濃いガーネット、粘性は高い。
牛脂の様なオイリーさ、焼いた帆立の様なロースト香の中に、糖蜜を思わせる濃厚な果実味が潜んでいる事が分かる。最も厚みがあり、力強い。
奥にはミルクコーヒー。そしてブラックベリー、カシスのコンポートの様な香りが潜んでいる。炭焼きや濡れた土、熟成した肉の様な塩気。ドライフラワー、シナモン。
ほのかにピーマン香があるが、完全に複雑さとして作用。
ユーカリやリコリスなどの風味も感じられる。
重々しい香りに対して酸やタンニンの重々しさはあまりない。グリセリン感はしっかりと感じられるが、存外にサラリとした舌触り。タンニンは多少ざらつきがあるが、ミルクや牛脂的な余韻でさほど目立たない。収斂性は高い。


【所感】
どちらかというと今回はプレステージ寄りでしょうか。カリフォルニアの著名ワイナリー2種類です。

まずドミナスから行きましょう。
去年10月にも同じヴィンテージを飲みましたが、行ってしまうと、より冴えない感じになっています。
丁度熟成の狭間、ということかもしれません。
確かな果実味やボルドー的なマロラクティック発酵の要素などの残滓は感じられるものの、全体的に香りが全く上がってきません。それこそイーストとアルコールの要素に蓋がなされているような感じで、肉厚ながら品のあるドミナスの良さがちょっと閉じこもってしまっている印象を受けます。かなり勿体無い。
そのくせタンニンや酸は若いから、口当たりも少し微妙な感じですね。素直な感想でいうと、今飲むべきではないワインだと思います。

次にオーパスワンを飛ばしてミュゼに行きましょう。こちらも個人的にはやや厳しいな、と思うメルロー主体のワインです。おそらくこちらも丁度熟成の谷にある状態で、ストレートな果実のニュアンスは落ち着き、牛脂の様なオイリーさと焼き帆立を思わせるヨード感と樽香が前に出ています。ドミナス同様、糖蜜を思わせる確かな果実味があるにも関わらず、前述の要素で蓋が為されている状態。わずかなカベルネフランに起因するピーマンの香りがありますが、ここは特には過剰に気になることはありませんでした。
粘性も高く全体的に重々しい香りが支配しているので、タンニンや酸は非常に強いだろうと予測しましたが、その予測と反して、かなり柔らかくしなやかなタンニンと酸。サラリとした舌触り。やや冷涼なソノマだからでしょうか。香りとの印象に差分があります。
恐らく若いヴィンテージの方が美味しそうな気がします。

最後はオーパスワン。
これはもう例年なんですが、とても良いです。
非常にキャッチーに香り高く、広域に広がり魅了していく様な香りがあります。ボディ的にはこれらのワインの中ではかなり柔らかく、ボルドー的なしなやかさがありますが、とにかく香りが強烈。
フローラルで果実味にも満ち満ちています。
ブリオッシュやキャラメルトフィー、果実のコンポートの様な香りを帯びていてストレート。動物的なニュアンスとかはほとんどなく、華やかさと果実味を前面に押し出した形となっています。重量感こそないですが、素直に美味しいと思える造りだと思いますし、即効性があります。
熟成に耐えうるかといえば、他のカルトワインと比べたら早いかもしれませんが...今飲んでも最高なワインだと思います。流石オーパスワン。ナイトマーケットでなんとなく飲まれているだけではないと思います。
素晴らしい。

基本的にこの中だとオーパスワンが突出してました。
他は丁度熟成の間でしたので、少し残念でしたね...


[2012] オーパスワン  750ML

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正規品:[2010] ドミナス Dominus

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【カリフォルニア:52】新旧カリフォルニアワイナリー比較

こんにちは、HKOです。
本日はカリフォルニアの新進気鋭のワイナリーと老舗ワイナリーのキュヴェです。



【データ】
ワールズエンドはサンテミリオンのシンデレラワイン 「ル・ドーム」を造ったジョナサン マルタスがナパ ヴァレーに2008年に設立したワイナリー。
サンテミリオンやオーストラリアなどで17年間かけて蓄積したワイン醸造やブドウ栽培をナパ ヴァレーで再現。
シュヴァル ブランのコンサルタント、ジル パケ氏などのサンテミリオンと同じチームで、彼らのサンテミリオンでの醸造方法をほぼそのまま導入した。
フラッグシップはカベルネソーヴィニヨン100%の「グッドタイムズ バッドタイムズ」、同じくカベルネソーヴィニヨン100%の「クロスファイア」。今回はシラー65%、カベルネフラン35%の特殊なセパージュの「ウェイヴレングス」。ナパ ヴァレー西のシュガー ローフ マウンテンの単一畑。土壌は粘土質ロームや火山岩などの複合。
二組の選果台にて、ブドウの房単位での選果の後、粒単位での選果、発酵前の長時間の低温浸漬。
コニャック産木製大樽にて発酵し、新樽にてマロラクティック発酵後、24カ月をMAXに熟成する。

ハイツ セラーは1961年にカリフォルニアに設立された老舗ワイナリー。ハイツファミリーによって運営されており、平均生産量は4万ケース。280haもの広大なぶどう畑を所有。
中でもマーサズとベラ オークスという伝説的な畑はあまりにも有名。その後購入されたトレイルサイドも高い品質を誇っている。
ステンレススティールで発酵し、アメリカン オークのタンクで1年、リムーザン産のオーク樽で2.5年で熟成。収穫後5年目から、少量ずつ5年を費やしリリースされる。



【テイスティングコメント】
生産者: ワールズエンド
銘柄: ウェイヴレングス 2009
品種: シラー65%、カベルネフラン35%

外観は濃いガーネット、粘性は高い。
果実味の充実度や華やかさは新世界シラーそのものなのですが、樽の感じはボルドーはサンテミリオン、焦げたコーヒー豆の様な香ばしい樽香とマロラクティック発酵に起因するミルクの風味、新世界シラーに感じられるブラックベリーやダークチェリーのコンポート、シラーらしいスミレの華やかな果皮の要素、ピーマン、西洋杉を燻した様な香り、藁、やや乾いた様な土の香り。
ニューワールドのふくよかさ、シラーの華やかさ、ボルドーと醸造手法が見事に統合されている。
差分や違和感がない。
ややタニックだったが、温度があがりまろやかさが増した、口の中でマロラクティック発酵にブラックベリーのふくよかさ、果実味の密度が高く、品もありバランスがいい。


生産者: ハイツ ワインセラーズ
銘柄: マーサズ ヴィンヤード カベルネソーヴィニヨン 1981
品種: カベルネソーヴィニヨン100%

外観はエッジにオレンジを帯びた淡いガーネット、粘性は中庸。
提供直後はかなり枯淡な味わいで、熟成香主体。果実味は失っている。消毒液や濡れた木や土の要素が前面にある形。
ユーカリやミント、ピーマンの様なカベルネソーヴィニヨンの芳香、甘草。そして徐々に不在かと思われていた果実味が復活してくる。コンポートしたブラックベリーやプルーンの様な濃密な果実味が現れてくる。ミルクの様な要素。キャラメル、ワッフルなどの甘やかさが(もちろん濡れた木などの熟成香を主体的としながら)どんどん現れていく。パストラミハムのスパイシーさやスミレのドライフラワーや鉄分を感じさせる要素。コーヒーの要素もある。
酸味やタンニンは柔らかく、甘みや甘みが綺麗に乗っており、グリセリン感が綺麗に感じられる。
濡れた木や消毒液、ブラックベリーの要素がしっかりと感じられる。


【所感】
まずはワールズエンドから。
非常に興味深いワインで、生産者の出自であるサンテミリオンとカリフォルニアのシラーの特徴双方併せ持っている印象を受けました。
具体的には果実味の観点とマロラクティック発酵のニュアンスは非常にニューワールド的で抜群の華やかさと果実味の濃密度があります。例えるならばコンポートの様な凝縮感があり、華やかさはスミレを思わせる煌びやかなものとなっています。方や樽はサンテミリオン的で黒土ではなくコーヒー豆を思わせる香り。マロラクティック発酵の風味と混じり合いボルドー的な風合いを感じさせます。妙な差分や違和感を感じさせず、高い完成度を維持していると感じました。ややタニックなので、あと1年くらいでいい感じになりそうです。
次にハイツセラーのマーサズ。伝説的な畑ですが、やや枯れ気味の枯淡な風合いがあります。
ただ徐々にコンポートの様な黒系果実やキャラメルなどの果実、樽が合わさった様な香りが出てきます。
もちろん熟成香主体ではあるものの、相当な熟成を経てこの味わいは体躯の強さを証明していますね。
香り自体は熟成カベルネの複雑さの王道的な部分もあると思います。もう少し若ければ...と思う部分もありながらハイツの偉大さがよくわかる1本だと思います。余韻も美しくアタックもしなやかなのでかなりいい線いっているなと思いました。
どちらも良いワインだと思います。ハイツは特に若いワインを飲みたいですね。家にトレイルサイドがあるので近々レポートします。



【カリフォルニア:51】2年ぶり、2度目の邂逅。コングスガード、ハドソンヴィンヤード シラー 2007

こんにちは、HKOです。
ジョセフフェルプスに続き、ナパヴァレーのシラーです。このブログでも一度取り上げたコングスガードのハドソンヴィンヤード シラー 2007です。


【データ】
コングスガードはナパヴァレーに拠点を置くカルトワイナリー。
主にシャルドネ、シラー、ヴィオニエ、ルーサンヌ、カベルネ ソーヴィニヨンを産出しています。
このワイナリーは何と言ってもシャルドネですが、ハドソンヴィンヤードから産出される卓抜したシラーも高品質。グリーンハーヴェストによって収量は一般的なワイナリーの約半分。さらに厳格な選果が行われ、新樽比率50%のフレンチオークで24ヶ月熟成される。無論、無濾過、無清張。
フラッグシップはシャルドネを使用した、ザ ジャッジ。


【テイスティングコメント】
生産者: コングスガード
銘柄: ハドソンヴィンヤード シラー 2007

外観は黒に近いガーネットで粘性は高い。
丁度熟成の間にいる様な、近づきやすさに欠ける状態のシラー。但しワイン本来の重さや果実の凝縮度は明らかに感じられる。黒砂糖やブラックベリー、ダークチェリーを煮詰めた様な果実味があり、濡れた木や土の香りと混じり合う。やや華やかな果皮の風味も残っており、スミレや百合などの風味も感じられる。徐々にミルクティーの様な要素や焦がし砂糖の様な甘露さも現れる。鉄釘、グローヴやリコリスなどの漢方を思わせる香りもある。
口に含むとミルクティーや焼いたゴム、鉛筆の芯の様な香りがあり、酸は柔らかく、まろやか。タンニンは柔らかいが収斂性がやや高めに感じる。


【所感】
前回飲んだ時(2年と10ヶ月前)は粘土や牛脂のようなアロマが前面に出ていましたが、ちょっと円熟したのか、熟成による濡れた木や土の香りと煮詰めた様なベリーの果実味が強く感じられますね。樽のニュアンスは少し控えめになっています。
ただ未だ熟成の狭間にいる様な収斂性の高さと香りの閉じ方を感じさせます。ベストなタイミングではなく、あと10年くらいは待ちたい感じの味わいでした。
ずっと美味しいシャルドネと比べると難しいワインだなぁ、と改めて思いますねえ。
ちなみに前回飲んだ時は2013年、今から見ると2009年ヴィンテージを飲むようなイメージなので、当時でも程々に熟成が始まってたんではないかと思います。
と言うことを考えると出来立てピチピチのものってまだ飲んだことないんすよねぇ。
誰か感想聞かせてくんないかな。



【カリフォルニア:50】ジョセフ フェルプス ポートフォリオ デギュスタシオン #4 ハイレンジ カベルネソーヴィニヨン

こんにちは、HKOです。
ついに最終回はジョセフ フェルプスのフラッグシップである、インシグニア、そして単一畑のバッカスヴィンヤードです。


【データ】
ジョセフフェルブス ヴィンヤーズは1972年 セントヘレナ スプリングヴァレーに設立されたワイナリー。現在は7つの畑を保有しています(ラリーアンドハイド アンド サン、バッカス、バンカ ドラダ、ラス ロカス、ヨーントヴィル、サスコル ランチなど)。カリフォルニアで初めてシラーを栽培、また品種ではなく初めて固有のワイン名を冠したキュヴェを生産した事でも有名です。
また1999年にはジョーフェルプスによって、ピノノワールとシャルドネに特化したワイナリー(フリーストーン ヴィンヤーズ)を設立しました。
こちらはフリーストーン、クオータームーン、ファーガソンの区画を100エーカー所有しています。土壌は砂のローム層で200m~500m程度の標高の畑となっています。栽培はビオディナミ。
(ジョセフ フェルブス)
イニスフリーはカベルネソーヴィニヨンのセカンドワイン的な立ち位置で収量が多い時に作られるキュヴェ。ステンレスタンクで発酵、2~4年のバリックと大樽、アメリカンオークとフレンチオークを併用して16ヶ月熟成。
ナパヴァレー カベルネソーヴィニヨンはインシグニアのセカンド的な立ち位置のキュヴェ。ステンレスタンクで発酵の後フレンチオーク、アメリカンオークの新樽45%で18ヶ月の熟成を行います。
インシグニアはジョセフフェルプスのフラッグシップ。スタッグスリープやラザフォードのカベルネを使用して、フレンチオーク新樽100%で熟成。
バッカス ヴィンヤードはオークヴィルの同名の単一畑のブドウを使ってフレンチオーク新樽100%で熟成。
唯一の白のソーヴィニヨンブランはスプリングヴァレーヴィンヤードのブドウを使用してフレンチオーク新樽35%で澱とともに7ヶ月熟成。
(フリーストーン ヴィンヤーズ)
フォグドッグ シャルドネはフリーストーンのセカンド的な立ち位置で、ダットン ランチ ミル ステーション67%、フリーストーン33%のブドウを使ってフレンチオークで8ヶ月熟成。
フォグドッグ ピノノワールも同様のセカンド的な立ち位置。フリーストーン100%のブドウを使って25%フレンチオーク新樽を使用して熟成。
フリーストーン ヴィンヤーズ シャルドネはフリーストーン100%のブドウを使って40%フレンチオーク新樽で13ヶ月熟成。
フリーストーン ピノノワールはフリーストーン100%のブドウを使って35%新樽で13ヶ月熟成する。


【テイスティングコメント】
生産者: ジョセフ フェルプス
銘柄: バッカス ヴィンヤード カベルネソーヴィニヨン 2005
品種: カベルネソーヴィニヨン93%、プティヴェルト4%、マルベック3%

約37000円、WA94pt
外観は濃いガーネットで、粘性は高い。
少し熟成した感じはあり、タバコや焼いたゴム、コーヒーの様な樽香と共に、濡れた木材やカシスやブラックベリーなどの旨味が表出した果実味が感じられる。枯葉や濡れた土の様な熟成香と果実味とのバランスはとても良い。生肉、スミレのドライフラワー、ドライハーブやリコリスの様なアロマが感じられる。カベルネソーヴィニヨンの良い熟成のニュアンスがあり、椎茸的な出汁感が出始めている。それと果実味とのバランスがとても良い。剣のある感じでは無く、ボディ感の中にある熟成香といった感じ。
酸とタンニンは柔らかいが熟成によって柔らかくなった感じで、グリセリンとのバランスが良く取れている。
枯葉や焼いたゴム、生肉やブラックベリーの様な含み香が感じられる。


生産者: ジョセフ フェルプス
銘柄: インシグニア 2012
品種: カベルネソーヴィニヨン82%、プティヴェルト11%、マルベック4%、メルロー2%、カベルネフラン1%

約38000円、WA96-100pt
外観は濃いガーネットで、粘性は高い。
極めて甘露で官能的なワインでよりリッチさが際立って感じられる。シロップ漬けのブラックベリーやカシスジャム(甘露煮?)、リキュールの様な香り高い果実味。どこかアプリコットを思わせる旨味がある。チョコレートやキャラメルの様な樽香がある。凝縮度も高い。
スミレのシロップ漬け、ドライハーブ、鉄分を感じさせるアロマ。西洋杉のような木材の香り、コーヒー。
エナメルリムーバーなどの風味がある。
香りの輪郭のはっきりとしたワインで、広がりのある外交的なアロマが感じられる。
酸もタンニンも充実、グリセリンに包み込まれる様な丸みのあるタッチ。(ただし球体には至っていない印象)
凝縮したブラックベリー、カシス、コーヒーの様な余韻が長く続く。濃密度の高いカベルネソーヴィニヨン。



【所感】
もう明らかにナパカベルネやイニスフリーと格が違いすぎで笑いがこみ上げてきます。
インシグニア、バッカスヴィンヤード共に凄まじいワインです。まずバッカスヴィンヤードから行くと、これ、2005年なんで他のと違ってちょっと熟成してるんですね。なんで、旨味が表出した様な感じで、樽香にもコーヒーや焼いたゴムの様なアロマとともに濡れた木材、枯葉や土などの熟成起因のアロマがはっきりと感じ取れます。
で、それと共に、熟成を経て柔らかくなっているものの、しっかりとしたカシスやブラックベリーの果実味があります。過剰に若々しすぎず、適度な熟成香。
個人的に半端に熟成したワインは果実味が弱体化して、旨味が生まれる前にタンニンと酸が目立ってしまうところがどうにも好きになれないんですが、この2005年は恐らく元々果実味が充実しているからか、そういった感じが全くないです。
ニューワールドの古酒やグレートヴィンテージの古酒にも見られる事象ですが、とてもいい感じです。
基本若々しいのですが、その中に適度な熟成香があるといった感じでしょうか。素晴らしいです。

次にインシグニアですが、これこそカリフォルニアのカルトワイン!と思っちゃう様な過剰な程に凝縮したパツパツの果実味に、ツヤツヤとしたグリセリン感、新樽の甘やかで香ばしい香りが突出しています。
とてもエネルギッシュで果実味に満ちています。それでいて、ロースト香が強すぎたりは決してせず、素直な味わいだと思います。(ボンドやハーランとかはロースト香が強い感じだと思います)
ちょっと語弊があるかもしれませんが、グルナッシュの様な素直さがありますね。当然ながらカベルネ的な青さとは全くの無縁の代物です。
ついつい笑いがこみ上げてきてしまう様な果実味、樽香。そして華やかさも並存していますね。
とても外交的なワインだと思います。凝縮しながら官能的でリッチな香りを振りまく感じ。
口当たりも完璧で酸とタンニンが充実していながら、決して刺々しかったり収斂性が強すぎたりせず、粘性が本当に上手い具合に包み込んでいる。
カルトワインの元祖と言われることの多いワインですが、正直そこまで期待はしていませんでした。
ただ蓋を開けてみたらちょっとびっくりしちゃいましたね。
特に出来がいい年なのかもしれませんが、偉大なワインだと思います。

以上、ジョセフ フェルプスの9本でした。
個人的な印象としてはインシグニアとバッカスヴィンヤードが突出していながらも、ピノノワールの出来が凄く良かった事に驚きました。
カベルネは本日の2本と比べると(ネガティヴセレクションだからかもしれませんが)かなり物足りなさを感じるものだったので、そういう意味から行くと、ピノは本当にいい線行っている。
この中で最もお買い得かもしれない。
シャルドネもいいのですが、中抜け感が気になったので、一番お勧めはピノノワール。
お金があるならインシグニアでしょうね。
なかなか興味深い経験になりました。




プロフィール

HKO(はこ)

Author:HKO(はこ)
HKOです。
世界を股にかけない普通の内勤サラリーマン。
体はピノノワールとシャルドネで出来ていますが、最近は専らシラー、グルナッシュ、ヴィオニエなどの南仏品種や、ジンファンデルみたいな濃い品種が好み。貴重なワインや興味深いワインを求めて日夜東京を徘徊する日々。
食べ歩きを2014年頃からスタート。
ミシュラン星付きフレンチ(2017年度版まで)制覇まであと2店舗。
2店舗のハードルが高いので、最近は手軽なビストロなどを周遊。
基本フレンチ/イノベーティブ/フュージョンを愛するが、イタリアンや和食にも食指を伸ばす日々。ペアリングは考えず、皿の中で終局する世界観を大切にしています。

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