【コニャック:1】最高峰のコニャック、その優美な世界観。

こんにちは、HKOです。

本日は最上クラスのコニャック3種類です。
このブログでもブランデー(マールやフィーヌ)を扱う事がごく稀にありますが、今回は一歩踏み込んで本丸ともいうべきコニャックを。まあ初体験というわけではないのですが、あまり経験値が高くない状態で、このクラス、ってのは少し悩んだのですが、折角なので飲んでみようと思い立ちまして。
すごい体験になりましたよ!


◾︎まずはおさらい、コニャック地方のブランデー。
【葡萄品種】
ユニブラン(トレッビアーノ、サンテミリオン)主体
補助品種はコロンバール、フォルブランシュ。

【コニャック地方のテロワール】
シャラント川沿い。粘土石灰質の土壌が石灰質の底土層を覆い、石灰含有度は表土で60%を超える。モンモリロナイト質粘土により土壌は肥沃で水はけもよく、多孔質の底土が毛細管現象により水を上げ、土地の乾燥を防いでいる。そのため、空気が乾燥しても表土はしっとりとしている。生産可能面積は109万ha

【製造方法】
伝統的な銅製のポットスチルを用いた単式蒸留を2回行って得られたアルコール度数70%程度の精留分を、フランス国内産のオークの樽で2年以上熟成し、水で度数40%に希釈して製品とする。色付けに少量のカラメルを添加することもある。

【ACオー ド ヴィ ド ヴァン ド コニャックの地域】
グランド・シャンパーニュ(Grande Champagne)
※石灰土壌の最高峰地区、全体生産量の1%以下。
プティット・シャンパーニュ(Petite Champagne)
ボルドリ(Borderies)
ファン・ボワ(Fins Bois)
ボン・ボワ(Bons Bois)
ボワ・ゾルディネール(Bois Ordinaires)


◾︎今回のテクニカルデータ
【データ】
ポール ジローは400年前にグランドシャンパーニュ地方に設立され、1800年代後半からコニャックの生産を始めた生産者。
収穫は全てのブドウを品質を確認しながら一つ一つ手で摘み、自然に発酵。また一括して大量に蒸留するのではなく、個別に樽に詰めるタイミングを計ります。
通常「50年熟成」という表現をされますが、年数が変わる可能性もありヘリテッジは50年に近い古酒がブレンド、瓶詰めされます。

レミーマルタン社は1874年に設立された大手コニャックメーカー。ルイ13世はそのフラッグシップとも言えるコニャックで同社のカーヴで半世紀以上熟成されていた原酒を用い、ユリの花の装飾がほどこされたデキャンタに収められている。100%グランドシャンパーニュ産の原酒を使用。品質の高さは不作の年にもレミーマルタンの畑だけは拡大を許したエピソードが有名。樹齢100年を超えるリムーザン地方産のオークで作られた樽で50年から100年以上寝かされた1200を超える原酒をアッサンブラージュ。

ヘネシーはリチャード ヘネシーによって1765年に設立されたコニャックメーカー。今回のリシャール ヘネシーは同社のフラッグシップ。原酒には、コニャックの6つの産地の内、上質な葡萄ができる4地域から原酒を厳選。40年から200年熟成の100種類にも及ぶ最高格付の貴重な原酒を独自にブレンド。 カラフェは手吹きのバカラ製クリスタルで、一つ一つにナンバリングが施されています。


◾︎テイスティングコメント
生産者: ポール ジロー
銘柄: ポールジロー ヘリテージ(50年)

約30000円
かなり熟成感を感じる風味がある。
少し土の風味や、穀物的な風合いを感じる。少し熟成日本酒に近いアロマが感じられる。
ドライフィグの果実味、セメダイン、フレッシュハーブ。ハチミツなどの風味、少しメイプルを思わせる様な香りもある。バニラなどの要素も感じられる。シナモンなどのスパイスの要素。白胡椒などの風味も。
舌触りから香りの遷移が本当に素晴らしい。アルコール的なアタックは非常に柔らかく、みずみずしいチェリーの様な柔らかい果実味が感じられる。


生産者: レミー マルタン
銘柄: レミー マルタン ルイ13世

約210000円
輪郭がハッキリとしたていながらもトースティーで濃厚な香りが感じられるブランデー。
葡萄の果皮をほのかに感じさせるフレッシュ感、ビターなキャラメルトフィーの様な甘い樽香、ドライプルーン、ハッキリとした輪郭。徐々にスパイスやグリニッシュな干し草やハーブの香り、そしてオーク、メープルシロップ、バニラ、余韻はエレガントなブルゴーニュを思わせるトースト的な風味も感じられる。
スパイシーでフレッシュ感に満ちたアルコール感どスパイシーな胡椒やビターキャラメル、干し草の様な複雑な余韻を残していく。アルコールのアタック感がしっかりとある。


生産者: ヘネシー
銘柄: リシャール ヘネシー

約350000円
豊満でふくよかなボリューミー、どこかスパイシーな要素を感じる事ができるブランデー。
チョコレートやミルクを感じさせるまろやかな香りで、焦げたキャラメルトフィーやドライベリーの果実味、少し白胡椒を感じるスパイシーな風味が感じられる。徐々に甘みが向上し、クリームブリュレやココナッツ、バニラ、果皮、干し芋の要素が感じられる。
ミルクティーなど次々と香りが遷移していく。最上クラスのシャンパーニュを思わせる。石鹸や花の要素も現れる。複雑無比。
石灰的なミネラル感、堅牢さ、ハーブ、フレッシュでフルーティーな干し葡萄、強烈な粘性と余韻が非常に長く続いていく。余韻の残り方が恐ろしい、いつまでも下の上で残る。凄まじい一本。



◾︎所感
ポールジローは熟成感、ルイ13世はフレッシュ感と複雑さ、リシャールヘネシーは超絶余韻とふくよかさのコニャックでした。それぞれに特徴があり、それぞれ素晴らしいのですが、非常に強く感じた事は、どのコニャックにもワインにも似たニュアンスを持っている点です。
例えばポールジローであれば、どこか酸化的な熟成を経た日本酒やワイン的なニュアンスがあるし、ルイ13世はブルゴーニュにも似たトースティーなアロマがあります。リシャールヘネシーに至っては良く出来た熟成シャンパーニュの様なクリームブリュレのアロマを纏っています。ワイン用の原料から作ったマールやフィーヌには実はワイン的な要素をあまり感じた事がないのですが、コニャックに関してはワイン用では無いのにも関わらず、そういったアロマを感じさせるのが面白いですね。

まずはポールジローですが、先述した通り、酸化熟成を経た日本酒を思わせる穀物的なアロマが感じられます。そして豊かなドライフィグやメイプルシロップの様な甘さを感じさせる樽の要素、高アルコールらしいスパイシーなシナモンや白胡椒のアロマが感じられます。
特筆すべきはこの中で最も柔らかくしなやかな舌触りを持っており、瑞々しいチェリーを思わせる果実味が感じられます。この中ではそういった意味でも一番熟成感を感じさせますね。
他のコニャックは100年級、200年級の原酒を使用していながらも、アッセンブラージュの妙なのか、ここまでの柔らかさは感じませんでした。これはこれでなかなか素晴らしいと思います。後の2本とはまた別の良さですね。

次にルイ13世。以前フォーシーズンズのバーで見かけましたが、まあ、なかなか手が出ないですよね。
ホテルだし。今回飲めたのはラッキーでした。
極めてトースティーでキャラメルトフィーやメイプルシロップ、バニラなどの様な樽香と共に、品があるブルゴーニュを思わせる樽香が混じってきます。
極めてキャッチーで、ドライプルーンの様な甘い芳香が鼻腔をくすぐります。スパイスや干草の要素もあり、極めて複雑、それでいて各々の要素がハッキリとした輪郭を形成しています。これが若々しくも見える。
また時間を追うごとに、キャッチーなキャラメルのアロマからスパイス、プルーンへと次々と遷移していくのが面白いですね。ストーリーがある様にも見える。異なる熟成年のアッセンブラージュに起因するものでしょうか。アルコールのアタック感は溌剌として強烈。素晴らしいと思います。

最後はリシャールヘネシー。
ルイ13世は輪郭がハッキリとしたコニャックでしたが、リシャールは要素の境界線が曖昧なコニャック。渾然一体と言うには、要素が膨れ上がっており、巨大なボリューム感を持っている。明らかな統制がありながら、外向けに暴発するエネルギー感。
概念的にはそんな感じなんです。で、これ香りも素晴らしいのですが、とにかく余韻が絶妙というか芸術的なんですよ。しっとりと舌に残る馥郁たる香りと、その余韻がいつまでも消えない。決してアルコール感頼りではなくて、それ以外の原料的な部分起因なので、アタック感はどこかしなやかなんですよねえ。
要素としてはチョコレートやミルク、カラメルトフィーといった樽要素とドライベリー。
徐々にクリームブリュレやココナッツ、果皮の要素、スパイスと白い花のアロマが感じられます。
石灰の様なミネラル感も穏やかで豊満な酒質に一本筋を通しています。堅牢さとしなやかさ、華やかさとボリューム感を全て両立している。アンビバレンスな魅力もあるコニャックです。
とにかく余韻とボリューム感は是非感じて頂きたい一本。半端ないです。
カラフェ代が高いとか言われてますが、まあカラフェも高いんでしょうが、一発で感動できるレベルのコニャックです。ぶっちゃけルイ13世が霞むレベルで。
高いですが、ワンショットでも飲む機会があれば是非。

しかし、先述した通り、この3本素晴らしかったです。
なんか新しい扉を開いてしまった様で正直恐ろしい...
ただこれ以上はそうそう無いと思いますんで、色々と探してみようかと思います。




【焼酎: 5】山ねこ

こんにちは、HKOです。
久方ぶりに焼酎を一本空けましたのでレポートします。ちなみにセンスの良い弟から貰いました。
ナイスチョイス!


【データ】
尾鈴山蒸留所は宮崎県児湯群に拠点を置く黒木本店の別蔵。品種は自家農園で作られた宮崎産ヒノヒカリ、麹はすべて箱麹でつくられ、木桶で仕込。2年間の貯蔵、熟成。仕込み水は尾鈴山の湧き水を使用。


【テイスティングコメント】
生産者: 尾鈴山蒸留所
銘柄: 尾鈴山 山ねこ

非常に香り高い芋焼酎。はっきりと蒸した薩摩芋の香りが感じられる。ベタ甘い感じではなくて、自然な蜜のような甘さ。スイートポテト。出汁やほのかな白胡椒の風味、マッシュルーム、しっかりとしたミネラル感がある。鼻に抜ける芋と華やかな香りが素晴らしい。手には入りにくいが、値段も安く非常にレベルの高い芋焼酎。


【所感】
しっかりとした芋感があります。
佐藤とかと近いタイプでアルコール臭よりも芋の豊満な香りが際立つ一本です。ある種洗練の極みみたいな魔王や森伊蔵とは異なる、村尾タイプとでもいうタイプでしょうかね。
いい焼酎だと思います。
本数を買ってデイリーユース、というのもいいですね。

尾鈴山(黒木本店) 山ねこ 25度 1800ml

尾鈴山(黒木本店) 山ねこ 25度 1800ml
価格:2,900円(税込、送料別)

【ウィスキー:3】マッカラン12年を今更飲む。

こんにちは、HKOです。
本日はマッカラン12年です。

今更!?的な部分はあるんですが、今までこの12年を飲んだ事がなく(しかしてボトラーズのヴィンテージや18年を頂いたことがある...)、改めて飲んでみようじゃないか、と長い事セラーで放置状態だったものを抜栓しました。


【データ】
マッカラン蒸留所はスコットランド スペイサイドに位置する蒸留所。仕込み水はスペイ川側の泉の湧き水。
ステンレス製の発酵槽で2種類のイースト菌を使い、綿密な温度管理をしつつスペイサイド最小の銅製の蒸溜釜で蒸溜。ザ マッカランの原酒は全体の16%ファイネストカット。樽材は自社管理の森林の木材で作ったヨーロピアンオーク樽とアメリカンオーク樽。それらをスペイン南部でシェリー用の樽に専用のシェリー酒を3年間詰め、熟成する。


【テイスティングコメント】
生産者: マッカラン蒸留所
銘柄: マッカラン 12年

外観は濃い茶色で粘性は高い。
ヘドロヒメネスやオロロソの様な甘い樽香と上品なカラメル香が漂う。レーズンやドライプルーンの果実味、上質紙、クリーム、蜜を含む白い花の華やかさ、いぶりがっこの要素が感じられる。
上品でスムーズな上質感のある香り、華やかで甘く、クリーミーなトフィーの様な風味。舌触りも滑らかで、甘いカラメルの余韻が残る


【所感】
あー、これ美味しいですね。
ヴィンテージに直すと2001年蒸留ですかね、蒸留酒なら生まれたての様なもんでしょうか。
適度な若々しさがあって、かつしっかりとしたシェリー樽のフルーティでトフィーの様な風味がしっかりとあります。
なるほど、このキャッチーさ、愛される訳です。
高くないし家に一本は備えておきたい一本です。



【ビール:1】クラフトビール2種を利く

こんにちは、HKOです。
本日はクラフトビールです。
ビール自体は日本酒以上に詳しくないのですが、飲むこと自体はとても好きです。

今回はアルコール度数が高く味わい深いイギリスのインペリアルスタウト、同じくイギリスのバーレイワインタイプのヴィンテージエールを頂きます。


【データ】
オーラ ドゥ スペシャル リザーブ 18はハーヴィストン ブルワリーとハイランド パーク蒸溜所のコラボレーションで生まれたウイスキー樽熟成スタウト。ハイランド パーク18年(オフィシャルボトリング)の熟成に使用された樽で6ヶ月間熟成しています。

ブリュワーズ リザーブ No.4 オークエイジド エール アルマニャック カスクは フラーズ社のビンテージ ビールをアルマニャックの樽で長期熟成したアイテム。


【テイスティングコメント】
生産者: ハーヴィストゥン ブルワリー
銘柄: オーラ ドゥ スペシャル リザーブ 18(ハイランドパーク カスク 18年樽)

約1200円
醤油や炭焼きの帆立などの焦げ香。スパイス、出汁のような風味。炭酸は激しくなく、やや苦味がある。焦げ香とカラメルなどの余韻が感じられる。


生産者: フラーズ
銘柄: ブリュワーズ リザーブ No.4 オークエイジド エール アルマニャック カスク

1500円。
外観は褐色がかった茶。
シナモンや木材、アプリコットの風味、熟成した白ワインの要素も感じられる。自然派的なシードル、そしてビターなカラメルの様な風味がある。


【所感】
まずハーヴィストンブルワリーのスペシャルリザーブ。とても味わいとして際立っているのは、やはりそのロースト香だと思います。
基本的にはロースト風味が全体の大きな割合を占めていて、その中にシナモンなどのスパイシーな要素や出汁の様な風味が際立って感じられる様な形です。かなり熟成感があり、フレッシュなビールに慣れている身としてはなかなか不思議な感じがします。
燻製などと一緒に楽しみたいタイプのエールですね。
次にフラーズのヴィンテージエール。
木材やシナモンの要素が主体的に感じられますが、それと共に個性的に感じられるのは自然派的な味わいと何処かシードルにした様な果実の風味が強めに感じられます。なかなか個性的で、ワインに似たような要素が複数感じられます。アルマニャックらしい樽起因の風味もある。通常の喉越しベースのビールとは全く異なり、非常に味わいが厚くパワフルで、やはり料理と合わせる前提の料理といった感じですかね。


【日本酒:10】最上級の日本酒4本を検証していく。

こんにちは、HKOです。
本日は日本酒4種です。
言わずともしれた久保田 萬寿、そして田酒 純米大吟醸。そして黒龍酒造のフラッグシップ、「二左衛門」「石田屋」の2本です。

では行ってみましょう。

【テイスティングコメント】
生産者: 朝日酒造
銘柄: 萬寿 久保田 純米大吟醸
原料米: 五百万米
精米歩合: 35%
酵母: 協会9号

外観は透明色、粘性は高い。
米的な部分は比較的強く感じられるが、その米的な部分の純度が極めて高い。水飴や桜餅、葛の様な原料香、白桃やバナナ、ラディッシュ、ダイコン、青竹の様な風味。カッテージチーズの様な風味。
やや甘みを強く感じさせるねっとりとした味わい。
流行りのクリアな純米大吟醸というより、もっとトラディショナルな純米大吟醸と言った感じ。


生産者: 西田酒造
銘柄: 田酒 純米大吟醸
原料米: 山田錦
精米歩合: 40%
酵母: 協会9号

洗練された香り、山田錦にして冷涼で冷ややかな味わい。甘やかで蜜の様な風味。水飴や白桃、力強く芳香するメロンの香り、バターや生クリームの様な風味。梅の花や大根、月桂樹や新笹のような香りが感じられる。極めて冷涼で香り高く、優美な酒だ。
緻密な酸と共に、吟醸香と果実香、木材の仄かな要素が感じられる。
半端ないバランス感のある日本酒、突出した要素は無い。


生産者: 黒龍酒造株式会社
銘柄: 黒龍 二左衛門 純米大吟醸 斗瓶囲い
原料米: 山田錦
精米歩合: 35%
酵母: 蔵内保存酵母

こちらは田酒に増して洗練されている。
むしろ洗練されすぎていて堅牢さすら感じさせる。
例えるならばムルソーペリエールやシュヴァリエモンラッシェの様な背筋の張った日本酒だと思う。
雑味は一切なく水飴とバタークリーム、糖蜜、バニラの様な芳香と共にメロン、バナナなどの濃密なフルーツ、生クリーム、カッテージチーズ、リンゴやスダチを思わせる酸。大根、月桂樹などの芳香。
密度が比類なく高い。香りの冷涼さに対して、味わいの厚み、膨らむシロップや水飴の余韻が半端ない。
洗練されている。
酸味は柔らかくキュッと引き締まった味わいで甘やかな余韻を残していく。素晴らしい日本酒。


生産者: 黒龍酒造株式会社
銘柄: 黒龍 石田屋 熟成 純米大吟醸
原料米: 山田錦
精米歩合: 35%
酵母: 蔵内保存酵母

洗練されきった二左衛門と比較すると、かなり熟成感と複雑さ、旨味の厚みが突出した日本酒になっている。カッテージチーズやヨーグルト、バニラの様な乳酸的な風味が前に出ており、餅の様な要素があり、熟成による原料由来の味わいが前に出ている。その後に純米大吟醸らしいクリアな濃厚なシロップや水飴、葛の要素。リンゴなどの華やかな果実味、ラディッシュ、青竹のような風味が現れてくる。背筋の張った二左衛門に対して、より老獪で複雑な雰囲気を醸し出しているのが石田屋といった感じ。
酸味も充実しているが、含み香の旨味を感じさせる味わいが素晴らしい。難解で複雑な味わいを感じる日本酒だ。


【所感】
まず萬寿。
言わずとも知れた久保田のフラッグシップですが、飲んだ事はあれど、今までちゃんと向き合った事が無かったので、良い機会でした。
精米35%の割にはお米的な部分が結構感じられました。ただ純米大吟醸らしい甘い吟醸香ははっきりと感じられました。ねっとりとしたグリセリンがあり、ややトラディショナルな大吟醸といった感じがします。
いい日本酒ですが、ちょっと私の好みとは違う感じでした。
次に田酒の純米大吟醸。
これはすごく良かったです。精米歩合40%ですが、かなり洗練された味わいで、純米大吟醸らしい冷ややかでクリアな蜜や果実の要素が感じられます。
そこにほのかなバターや生クリームの様なアロマか絡みついて行きます。優美で香り高い日本酒だと思います。良い意味で突出した要素はなく、非常にバランスがよく、酸、吟醸香、木材の風味が感じられる。
柔らかくしなやかな酒だと思います。
最後に黒龍の二大巨頭、二左衛門と石田屋の比較です。
精米歩合、酒米の種類は同じ。方や斗瓶囲い、方や熟成と。
まず二左衛門ですが、非常にクリアで、かつ硬質な味わいの純米大吟醸だと感じました。
このブログを見て頂いている方ならリリースしたてのムルソーペリエールやシュヴァリエモンラッシェ、あるいはコルトンシャルルマーニュを想起させます。
雑味はほぼ無い甘露な蜜の要素と果実香が張り詰めた質感を与えています。ベトついた感じは無く、「厚み」というより「凝縮感」。米から出来ているのか不思議なくらい冷涼さを感じさせます。
引き算をして行った結果、残った最良の要素を集めたのが二左衛門といった感じがします。
いつ瓶詰めされたものかわかりませんが、ワインと照らし合わせると、マグナムとレギュラーだとマグナムの方が熟成が緩やかに進むというのが良く言われています。今回の二左衛門は一升瓶や四合瓶で熟成するより斗瓶の方が酸化しにくく、緩やかに複雑な要素を取り込んでいって完成度を高めるのが目的なのか。
まあ本当のところはわかりませんが、かなり硬質で雑味のない日本酒だとは感じました。
次に石田屋。
こちらは逆に酸化熟成的な要素が純米大吟醸に極めて複雑なテクスチャーを与えています。洗練さがものを言う純米大吟醸の中で、ごく僅かに感じさせる味醂や乳酸的な要素が、クリアさを壊さない程度に適度に散りばめられている。純米大吟醸の洗練された味わいに複雑さを最大限振っているのが石田屋の特徴かも。
洗練さでいうなら二左衛門、複雑さなら石田屋といったところでしょうか。
互いに違う方向を向きながら黒龍のスタイルを出していると思います。
これだけ違いが、わかりやすいと面白いですね。
瓶詰めは同じヴィンテージなんでしょうか。保管のみで巧みにこの2つを作り分けているのなら、とても興味深いですね。


◼︎あまり関係のない話。
実は先日danchuの日本酒クラシックスの酵母記事がありまして、へえー、と思いながら見てまして。
近年のワイン醸造だと蔵付き天然酵母を使用しているケースが多く、そもそもワイン自体樽や抽出、果実本来の糖度やミネラル、pH値が前面に出るので、酵母は全く気にしてませんでしたが、日本酒では仕込み水と共に酵母が重要な要素を締めるのですね。
なので、今後は精米歩合と共に酵母を記載する事にしました。

精米歩合 → 削る割合が多ければ、糖化する部分が多く、より雑味の少ない酒が出来る。
仕込み水→いわゆるテロワールにあたる部分。硬度によって舌触りのタッチが異なる。
酵母 → 種類によって様々な特性あり。科学的根拠は今度調べる。
絞り → 荒走り、中取り、責め。絞られて出てくる順番。抽出時含有する要素が異なる。
酒母作り → 生酛、山廃、速醸。酒母を作る方法。生酛が最も時間がかかる。時間経過による酒母を変質が影響を与えている?未検証。

他の醸造酒、蒸留酒と比べると日本酒の醸造工程はかなり難しいと思います。果実酒の様に糖をそもそも含有している訳ではないし、麦芽の様にアミラーゼを多く含む訳ではない。そもそもアルコール発酵に時間がかかる。醸造工程が長いからその分変動要素が増えると。ううむ、畑に向かい合うワインと醸造に命をかける日本酒。面白いですね。


【自分のメモ(Wikipediaより)】
協会1号~5号: 現在あまり使われていない。
協会6号(新政酵母):
穏やかな香りで、淡麗にしてソフトな酒質に適し、味は深みが出るとされる。糊精子の大きい環境下でも増殖が阻害されないので生もと系に適している。
※派生:協会601号

協会7号(真澄酵母):
発酵力が強くオレンジのような華やかな香りを出す。また、呼吸能が比較的弱い・醗酵能が強い・皮膜形成がやや弱いといった下面酵母的な性質を持っている。吟醸香の強さは協会9号ほどではない。
※派生:協会701号

協会8号:
協会6号の変異株。やや高温性で、酸多く、濃醇酒向きとされた。

協会9号(香露酵母):
酸は少なく香気が高いので吟醸酒に向いている。協会6号・7号酵母と同様に低温でよく醗酵するが、温暖地の吟醸造りに向いた前急短期醗酵型の醪になりやすい。※派生:協会901号

協会10号(小川酵母):
それまでのどの酵母よりも酸(特にリンゴ酸)が少ないこと、高い吟醸香を出すことが特徴である。香りが高いので吟醸酒に、また、酸が少ないため純米酒にも向いている。醪の経過は低温長期型で、アルコール耐性が弱いため扱いが難しい。
※派生:協会1001号

協会11号:
協会7号の変異株で「アルコール耐性酵母」とも呼ばれる。アルコール耐性が強く、もろみが長期になっても切れが良いので、大辛口酒などのアルコール度の高い酒を造るのに向いている。アミノ酸が少なく、リンゴ酸が多い。

協会12号(浦霞酵母):
低温長期型醪となり、山廃にも適し、芳香の高い吟醸酒向き。特有の吟醸香を醸し出すが、極度に水と造りを選ぶので一般的とはいえない。

協会13号:
良いキレと高い芳香を特徴とする。のち発売中止。

協会14号(金沢酵母):
生成される酸が少ないために綺麗な味の仕上がりとなる。低温中期型もろみの経過をとり、吟醸酒本来の香りを生むのに適する。特定名称清酒に多く用いられる。※派生:協会1401号

協会15号:
アルプス酵母などと同様に上立香の華やかな酒を造るのに向いている。※派生:協会1501号

協会1601号:
酸度が少なく、カプロン酸エチル高生産性で、純米酒や吟醸酒に適する。

協会1701号:
酸度はK7号酵母と同程度とされ、酢酸イソアミル及びカプロン酸エチル高生産性であり、純米酒、吟醸酒、低濃度酒に適するとされ、また吟醸香の高い酵母の芳香をおさえる。

協会1801号 28番酵母:
7号系のリンゴ酸高生産性多酸酵母。酸度が高いがコハク酸は少なく、リンゴ酸が全部の有機酸の80%をしめる。発酵力が強く華やかな香り。多酸酒、増醸酒、貴醸酒、長期熟成酒、低濃度酒に適する。




プロフィール

HKO(はこ)

Author:HKO(はこ)
HKOです。
世界を股にかけない普通の内勤サラリーマン。
体はピノノワールとシャルドネで出来ていますが、最近は専らシラー、グルナッシュ、ヴィオニエなどの南仏品種や、ジンファンデルみたいな濃い品種が好み。貴重なワインや興味深いワインを求めて日夜東京を徘徊する日々。
食べ歩きを2014年頃からスタート。
ミシュラン星付きフレンチ(2017年度版まで)制覇まであと2店舗。
2店舗のハードルが高いので、最近は手軽なビストロなどを周遊。
基本フレンチ/イノベーティブ/フュージョンを愛するが、イタリアンや和食にも食指を伸ばす日々。ペアリングは考えず、皿の中で終局する世界観を大切にしています。

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