【ロワール:12】サンセールとシノンの程良く熟成した赤ワイン。

こんにちは、HKOです。
本日はロワールはトゥーレーヌ、セントル ニヴェルネの赤ワインです。


【データ】
ドメーヌ シャルル ジョゲは1840年に設立されたシノンを代表する老舗生産者。1960年代半ばからドメーヌ元詰めを始めています。当主はケヴィン フォンティーヌ。
36ha の所有畑からその区画と樹齢の違いにより5種類のシノンを生産。 畑はロワール河とヴィエンヌ川の間に広がるシリス土壌の段畑に10ha、ヴィエンヌ川の左岸に広がる沖積土の土壌に12ha、クロ デュ シェーヌ ヴェールに2ha所有しています。
栽培は2008年からビオロジック。平均樹齢は30年で、収量制限も厳密に行っています。
収穫から破砕までの時間を最短にするために、葡萄畑の真ん中に醸造所を置いています。
除梗後、低温浸漬。バリックとステンレスタンクを用いて発酵。MLFは行う。
フラッグシップはクロ ド シェーヌ ヴェール、そしてクロ ド ラ ディオトリの単一畑銘柄。

アルフォンス メロは19世紀初めからサンセールに拠点を置く老舗生産者。現在は18代目と19代目が引き継いでいる。
所有畑は丘の頂上の南西向き斜面に広がり、総面積は約50ha。ソーヴィニヨン ブランが41ha、ピノノワールが9ha、栽培されています。土壌はサンセールの南から南西向き。キメリジャン(石灰粘土質)の上部をサン・ドゥルシャールと呼ばれる泥灰層が覆う地質。
ラ ドゥモワゼルは樹齢52年の1.2haの南南東に向いた一区画のピノノワールからのみ造られます。



【テイスティングコメント】
生産者: シャルル ジョゲ
銘柄: シノン クロ デュ シェーヌ ヴェール 2008
品種: カベルネフラン100%

外観は深みのあるルビーで透明感は高い。
サンテミリオンの新樽の要素を差し引いた冷涼で青さの残るカベルネフラン。ただ青い要素がありながらも果実はしっかりと熟している印象。
ピーマンや茎の様な青臭さと共にダークチェリーやブラックベリーのコンポートの様な果実味が感じられる。トースト、なめし革やベーコンの要素が感じられる。八角のスパイシーな要素、濡れた枯葉、スミレの様な華やかな香りが折混じる。
酸味は柔らかく落ち着いており、タンニンもしなやか。
枯葉や鉄分、ドライフラワーの含み香がある。旨味がしっかりとある。


生産者: アルフォンス メロ
銘柄: サンセール ルージュ ラ ドゥモワゼル 2007
品種: ピノノワール100%

外観はやや透明度の高い深いルビー、粘性は中庸。
やや自然派的でオレンジの香り、そして茎の様なほのかな青さが前に出ている。若干果実味の香りは希薄で、クランベリーやブラックベリーの様な酸味を感じさせる果実の香りが主体的。若干MLFの要素もある。
炭焼きの様な風味、漢方、オリエンタルスパイス、マホガニーの要素。ベーコンの様な風味。
そして血液の様な要素も感じられます。ハーブ的な青さがあり、芍薬のような風味もある。
酸味と共に鉄のような風味と旨味があり、じんわりと広がるような青さと味わいが感じられる。収斂性もある。



【所感】
まずはシャルル ジョゲから。
非常に良い生産者だと思います。若くても美味しいし(以前飲んだ)古酒も大変良かった記憶があります。
この生産者、実は古酒を先に飲んでいて、若いヴィンテージはこれが初めてだったりします。
印象としては、新樽の要素が少ないきちんと熟したカベルネフランといった感じです。
樽の要素が少ないので、比較的強めに青い香りをかんじますが、未熟かというとそんな事なく、しっかりと熟した感じはあります。(いわゆる冷涼な地域における熟した...です)
香り自体は樽の要素はあまりないですが、なかなか複雑だと思います。液体密度は薄くなく、しなやかなタンニンがあり、平準的な体躯を維持しています。良いワインだと思います。

次にアルフォンス メロ。
少し香りが弱い様にも見えました。
ただ香りの質感としてはとても良くて、自然派のワインに稀に見られるオレンジの様な風味があり、茎の要素も前に出ています。
果実味はやや希薄で赤系ベリーの風味があり、そこにまろやかなミルクの様な風合いが乗ってくる感じです。
樽香はやや強めで、血液の様なニュアンスも感じられます。所感としては冷涼ですが、同時に未熟さも感じます。
冷涼でありながら、熟している。という感じではないですね。サンセールの生産者なので白が主体だと思いますが、個人的な好みからは逸れています。酸味は当然豊かで、タンニンは柔らかいです。
酸っぱいワインなので、もう少し熟度が欲しいところですねえ。

シャルル ジョゲはやはりよかったですね。
美味しいカベルネフランだと思います。ただやはりクロ ルジャールの卓抜したサヴィニエールを知っていると物足りなさを感じざるを得ません。
ロワールの赤はやはり層が薄いのだろうか。
ガメイは全体的に美味しいとは思うんですけどね。


【ロワール: 12】ソーミュール最上の生産者、クロ ルジャール2010水平テイスティング Part.2

こんにちは、HKOです。
本日は先日に引き続きクロ ルジャールのソーミュールをレポートします。
本日は上位キュヴェのポワイユー、そしてフラッグシップのル ブールです。

【データ】
クロ ルジャールは1664年に設立された世界最高峰のカベルネフランを作り出すソーミュールシャンピニーの生産者。現在はシャルリー フコー、ナディ フコーが指揮を取っています。
樹齢は40年~45年。栽培はビオディナミで行われており、収量は春の芽掻きや冬場の摘芽により最大限にまで抑えられています。(なんと30hl/ha。低収量主流のローヌに劣らない低収量!)、そして収穫は手摘みのみ。
最もベーシックなソーミュール シャンピニー「ル クロ」は平均収量は40hl/ha、樹齢30年~40年の複数区画のブドウから生産されます。自然酵母にてステンレス及びセメント槽にて発酵、熟成はポワイユーで使用した2年樽にて約2年行います。発酵・熟成中は亜硫酸の添加をせず、ノンフィルタにて瓶詰め。
単一区画「レ ポワイユー」は南向き斜面の上部に位置し、風通しが良く温暖な気候となっています。平均収量は35hl/haで、樹齢40年~45年。
選果された葡萄は100%除梗、選果台で更に選果を行います。発酵は主にステンレスタンク、もしくはセメント槽で行われ、自然酵母で発酵。30日程度の長いマセラシオンの後、新樽とシャトーラトゥール使用の1年樽で36ヶ月の熟成が行われます。
そして単一区画「ル ブール」はクロ ルジャールのフラッグシップにあたります。
平均収量は20hl/ha。樹齢75年~80年、自然酵母にて木樽で発酵、木樽は新樽を2割から3割使用し、残りは1年及び2年樽を使用。発酵で使用した樽をそのまま用い約2年5ヶ月熟成。発酵・熟成中は亜硫酸の添加をせず、ノンフィルタにて瓶詰めされます。
最後はシュナンブラン100%の白ワインである「ブレゼ」。
畑は南向きの斜面に広がり、日照に優れ石灰質が強く通気性の優れた粘土に火打ち石が混ざる土壌。
収穫量は40hl/haで、樹齢40~50年のシュナン ブランを使用。自然酵母にて木樽で発酵、木樽は新樽を2割から3割使用し、残りは1年及び2年樽を使用。熟成は発酵で使用した樽をそのまま用い約2年行います。発酵・熟成中は亜硫酸の添加をせず、ノンフィルタにて瓶詰めされます。



【データ】
生産者: クロ ルジャール
銘柄: ソーミュール シャンピニー レ ポワイヨー 2010

外観は澄んだ淡いガーネット、粘性は中庸。
ピーマンの様なグリニッシュさがかなり控えめとなり、より熟した黒い果実とミルクティーの様な印象が前に出ている。熟したブラックベリーやダークチェリーのシロップの様な要素はより凝縮度と純度を増し、ミルクティーやバニラの様な風味が重なり合っている。その中にグリニッシュな要素がミルクティーと綺麗に調和している。シナモンや甘草、燻製肉の様な要素、ほのかに華やかなスミレや濡れた土、西洋杉や枯葉の様な要素が感じられる。凝縮感もあるが、広がりのある甘露な果実の風味が感じられます。
タンニンと酸のバランスは良いが、酸はやはり強め。
で、ありながら、滑らかな舌触り、かつ液体の密度が詰まっており、しっかりとした骨格がある。ダークチェリーやミルクティーの余韻が残る。


生産者: クロ ルジャール
銘柄: ソーミュール シャンピニー ル ブール 2010

外観は透明度の高い濃いガーネット、粘性は高い。
圧倒的なカベルネフラン。ポワイヨーとは少し格が違う。
ブランデーの様なキャラメリゼされた樽香と共に、より黒土の様な堅牢さとスミレの様な果皮の香り、熟したブラックベリーやダークチェリーリキュールの黒系果実の凝縮感が前に出ていて、ハッキリとした輪郭が感じられる。その中にピーマンや甘草のグリニッシュさが複雑さとして存在していると言った感じ。
溶剤や甘草、クローヴ、ユーカリなどのごく僅かな青さ、そして西洋杉の様な要素。燻製肉や鉄釘、ドライハーブなどの要素が感じられる。
タンニンと酸はバランスが良く、どちらもパワフル。
合わせて骨格がしっかりとしており、かなり立体感のある体躯になっている。ポワイヨーと比べるとややパワフルなので、引っ掛かりがあるが、凝縮感が強く、ブラックベリーやチョコ、グリニッシュな余韻が感じられる。


【所感】
さて、上位キュヴェです。
まずはポワイヨー、相変わらず素晴らしいカベルネフランです。完全にサンテミリオンとは異なる方向性でありながら繊細なエレガンスと果実のボリューム感より凝縮度が押し出された味わいと香り。その中で更にキャッチーな甘露さとマロラクティック発酵のしなやかなニュアンスが感じ取れます。痩身でありながら、筋肉質さをそこかしこから感じ取れる作りですね。
ピーマンの様なフランらしさはあるものの、かなり控えめになっており、シナモンや甘草などのスパイシーな要素、枯葉などの要素と見事に調和している。
ル クロも調和の取れたワインでしたが、こちらも各々の要素の比重こそ異なるものの、驚異的なバランスで凝縮感や複雑さを演出しています。
ボディの質感的にはやはりボルドーというよりブルゴーニュに似て酸を綺麗に演出していると思います。
クロ ルジャールの中で相対的に見ると、広がりのあるしなやかさが印象的なキュヴェだと思います。

次にル ブール。
これは凄いカベルネフランです。でもこちらもサンテミリオンとはやっぱり質感が違いますね。
ボリューム感というより冷涼さから生まれる凝縮感やピュアさを強く感じます。この中だと最も引き締まって高度な集中力のあるワインです。
質感的にはエマニュエル ルジェのクロ パラントゥなどの最上のブルゴーニュに似た集中力が感じられます。勿論カベルネフランなんで、香りや味わいは全く異なりますが、醸造的な要素と果実の凝縮度とのバランス感がとても似ています。新世界とは全く異なりますが、球体感があります。
そんな果実の凝縮感と共に、新樽のブランデーやビターチョコレートの様な風味も表出していて、堅牢さや凝縮感、複雑さがポワイユーと比べても一段高い位置に居ます。
古木+収量が20hl/haという事からも、その凝縮感の強さが伝わるんじゃないでしょうか...。ていうか収量とか古木の良さが凄く伝わってきますね。
液体や質感はブルゴーニュなのに香りはカベルネフランの不思議さ、しかしてサンテミリオンとは全く異なるカベルネフランの頂きに存在しているワインだと感じました。
今回テイスティンググラスで飲みましたが、これ、ブルゴーニュグラスで飲んだら凄いんじゃないかな...。

そんな感じです。
やっぱりブールが圧倒的ですね、ポワイユーも素晴らしいのですが、ブールの素晴らしさから見ると少し散漫な感じを受けますし...
何れにせよ、ソーミュールシャンピニーに収まるレベルのワインじゃないな、と感じます。
ブールは見かけるタイミングもないかと思いますが、あったら即購入をお勧めします。



やっぱりブールとポワイユーはないなー

【ロワール: 11】ソーミュール最上の生産者、クロ ルジャール2010水平テイスティング Part.1

こんにちは、HKOです。
本日はロワール最上の生産者のひとりであるクロ ルジャールの水平テイスティングです。
そもそも貴重な上、水平する機会も限りなく低いので、かなり勉強になりました。
そして、かなりキュヴェごとに違いがあるという部分もしっかりと見えてきましたね。

まず第一回はシュナンブランのブレゼと、スタンダードなル クロからいきます。


【データ】
クロ ルジャールは1664年に設立された世界最高峰のカベルネフランを作り出すソーミュールシャンピニーの生産者。現在はシャルリー フコー、ナディ フコーが指揮を取っています。
樹齢は40年~45年。栽培はビオディナミで行われており、収量は春の芽掻きや冬場の摘芽により最大限にまで抑えられています。(なんと30hl/ha。低収量主流のローヌに劣らない低収量!)、そして収穫は手摘みのみ。
最もベーシックなソーミュール シャンピニー「ル クロ」は平均収量は40hl/ha、樹齢30年~40年の複数区画のブドウから生産されます。自然酵母にてステンレス及びセメント槽にて発酵、熟成はポワイユーで使用した2年樽にて約2年行います。発酵・熟成中は亜硫酸の添加をせず、ノンフィルタにて瓶詰め。
単一区画「レ ポワイユー」は南向き斜面の上部に位置し、風通しが良く温暖な気候となっています。平均収量は35hl/haで、樹齢40年~45年。
選果された葡萄は100%除梗、選果台で更に選果を行います。発酵は主にステンレスタンク、もしくはセメント槽で行われ、自然酵母で発酵。30日程度の長いマセラシオンの後、新樽とシャトーラトゥール使用の1年樽で36ヶ月の熟成が行われます。
そして単一区画「ル ブール」はクロ ルジャールのフラッグシップにあたります。
平均収量は20hl/ha。樹齢75年~80年、自然酵母にて木樽で発酵、木樽は新樽を2割から3割使用し、残りは1年及び2年樽を使用。発酵で使用した樽をそのまま用い約2年5ヶ月熟成。発酵・熟成中は亜硫酸の添加をせず、ノンフィルタにて瓶詰めされます。
最後はシュナンブラン100%の白ワインである「ブレゼ」。
畑は南向きの斜面に広がり、日照に優れ石灰質が強く通気性の優れた粘土に火打ち石が混ざる土壌。
収穫量は40hl/haで、樹齢40~50年のシュナン ブランを使用。自然酵母にて木樽で発酵、木樽は新樽を2割から3割使用し、残りは1年及び2年樽を使用。熟成は発酵で使用した樽をそのまま用い約2年行います。発酵・熟成中は亜硫酸の添加をせず、ノンフィルタにて瓶詰めされます。


【テイスティングコメント】
生産者: クロ ルジャール
銘柄: ソーミュール ブレゼ 2010

外観はストローイエロー、粘性は低い。
石のようなオイリーなミネラルと共に、よく熟した蜜のような綺麗な果実味や焼き栗の様な風味、そして少し磯の様な印象が感じられる。高密度の洋梨やリンゴのような果実味、ローストナッツ、白い花や蜂蜜のような風味が感じられる。やはりリッチさを感じさせるシュナンブランだが、2008年と比べると酸もしっかりと感じられる。
ギュッと引き締まった酸味と共にレモンやリンゴのような余韻、いつぞやのブレゼと比べるとボティにまでしっかりとエネルギーが行き渡っている。


生産者: クロ ルジャール
銘柄: ソーミュール シャンピニー ル クロ 2010

外観は澄んだ淡いガーネット、粘性は中庸。
カベルネフランらしいピーマンの様なグリニッシュさと共に熟した黒系果実の果実味が感じられる。
ピーマンの様な青い風味と共に、熟したブラックベリーやダークチェリーの様な果実味(過熟と言う訳ではなく冷涼な雰囲気を漂わせた、平準的なボルドーを思わせる適度な熟度)が感じられる。
そしてアスパラガスや甘草、ユーカリ、濡れた土や樹皮、燻製肉の様な風味や、ほのかに炭焼きの風味も感じられる。
綺麗に酸が際立っていて、タンニンはしなやか。
タンニンではなく、酸がしっかりとした骨格を形成しており、冷涼なエレガンスを感じさせる。
液体の密度も詰まっており、ダークチェリーやピーマンの様な余韻をハッキリと感じられる。


【所感】
今までクロ ルジャールはブレゼとポワイユーしか飲んでなかったので、かなり発見がありました。
まずブレゼですが、2008年を少し前に飲んだ感じでは、非常にリッチなのにも関わらず、液体にボディが伴っておらず、少しスカスカした中抜け感があったのですが、2010年に関してはそんな感じではなかったですね。
そもそも熟成してないので、そんなにリッチな香りはまだ出ていないのですが、そうなる片鱗はありつつ、酸がしっかりと引き締まっていて、骨格がしっかりと感じられます。オイリーなミネラル感とローストナッツ、生き生きとした洋梨やリンゴのような果実味があります。
改めて思うのがシュナンブランはオールマイティな品種だなぁと。変に個性的な香りがある訳ではなく、ある意味シャルドネなんかに近くて、土壌や醸造をそのまま映し出す様な感じというか。
だから、ブレゼもとてもシャルドネにタイプは近いなと感じました。これといった特徴がない、っていうのが近い。
面白いですね。
ちなみに個人的にはこれだけ酸が漲っているのであれば、あと2年で中抜けする様な事はなさそうだとは思います。
単なる予測ですが...。

次にスタンダードなカベルネフラン、ソーミュール シャンピニー。
かなり良く出来ていて、高級感の溢れるカベルネフランの香りが楽しめます。ただポワイユーと比べると明らかに、収量的な問題なのかもしれませんが、青さを感じます。
しっかりと熟した果実味があり、決して青さだけではないものの、やはりポワイユーやブールと比べると全体に占める青さの割合は比較的多い様に感じました。樽香もあり、複雑さもあります。
サンテミリオンの様なカベルネフランの比率が多いワインと比べると、かなり近しい部分はあるのですが、はっきりと違う部分があります。「酸」です。
サンテミリオンのワインは酸も十分にありますが、やはり感覚的にはタンニンの方が優勢なワインが多い様に感じられます。外観もより濃く、タンニンと酸で骨格を形成している印象があります。
ただ、ソーミュール シャンピニーは明らかに酸が優勢。
タンニンは然程気にならない程度です。ロワールらしい冷涼なエレガンスがあり、カベルネフラン的な構成要素をピノノワールの様なボディに適する様に再構成した様な感じでしょうか。
ズッシリとしたグリセリン感も、厚いタンニンも、過熟した果実味もないので、かなり繊細な作りですが、過不足がないんですよね。いいワインです。
改めてロワールのカベルネフランの作り方の模範的な一つのモデルケースを認識した様な気がします。

次回はポワイユー、そして貴重なフラッグシップであるブールをレポートします。




【ロワール:10】ロワールトップクラスの生産者が作るソーミュールとプイィフュメ。

こんにちは、HKOです。
本日はロワールのセントルニヴェルネ最上級のバロン ド エルと、ソーミュールのクロルジャールの白を利きます。


【データ】
クロ ルジャールは1664年に設立された世界最高峰のカベルネフランを作り出すソーミュールシャンピニーの生産者。現在はシャルリー フコー、ナディ フコーが指揮を取っています。
樹齢は40年~45年。栽培はビオディナミで行われており、収量は春の芽掻きや冬場の摘芽により最大限にまで抑えられています。(なんと30hl/ha。低収量主流のローヌに劣らない低収量!)、そして収穫は手摘みのみ。
今回のブレゼはシュナンブラン100%の白ワイン。
畑は南向きの斜面に広がり、日照に優れ石灰質が強く通気性の優れた粘土に火打ち石が混ざる土壌。
収穫量は40hl/haで、樹齢40~50年のシュナン ブランを使用。自然酵母にて木樽で発酵、木樽は新樽を2割から3割使用し、残りは1年及び2年樽を使用。熟成は発酵で使用した樽をそのまま用い約2年行います。発酵・熟成中は亜硫酸の添加をせず、ノンフィルタにて瓶詰めされます。

ドゥ ラドゥセットはシャトー ドュ ノゼに端を発するプイィフュメの老舗生産者。現当主はパトリック ドゥ ラドゥセット氏。
現在はプイィフュメの最も高台の地、サン タンドランを中心に100ha以上の畑を所有しています。
フラッグシップのバロン ド エルはサン タンドランの中でも最も立地が良いとされるル デゼールの樹齢40年以上の古木から造られるキュヴェ。土壌は火打石から成る泥土と貝殻から成る石灰岩層上にあるキンメリジャンの泥灰土。ファーストプレスの果汁のみを使用し、澱を沈殿させるため48時間静置。ガラスでコーティングされたステンレスタンクで14度以下の温度で発酵し、8ヶ月間酵母と共に熟成させ、さらに15ヶ月以上澱と共に貯蔵。


【テイスティングコメント】
生産者: クロ ルジャール
銘柄: ソーミュール ブラン レ ブレゼ 2008
品種: シュナンブラン100%

約8000円、WA92pt(2007)
外観は濃い黄金色、粘性は高い。
ヴィンテージに対して恐ろしい程熟成が進んでおり、いわゆるシャルドネの2次ピークに近い様な素晴らしい香りを醸し出している。
ミネラル感がありながら、ブランデーやカラメルの様なビターなアロマや、黒砂糖の様な風味も感じられる。白カビ、バターなどのミルク的な要素、そしてヘーゼルナッツなどの風味もある。濡れた木材、またドライフルーツやアンズの様な味わいが感じられる。非常に複雑な味わい。
旨味はしっかりと感じられ、口の中に強いアタックを感じられるが、中域の中抜け感がかなりある。
酸を失っているからか、あまり厚みを感じる事が出来ない。ただアプリコットや濡れた木材のアロマが口の中に広がっていくのは中々いいと思います。


生産者: ラドゥセット
銘柄: プイィ フュメ バロン ド エル 2009
品種: ソーヴィニヨンブラン100%

約13000円、WA91pt(2008)
外観は少し緑を帯びたイエローで粘性は中庸。
硬いミネラル感と燻香を帯びたプイィフュメで、香りの鮮明さは極めて高い。
火打石やわずかに燻したような燻製香、パイナップル、シトラスなどの爽やかな果実味がある。いわゆるソーヴィニヨンブラン的なフォキシーフレーバーは控えめ。ローストナッツ、フレッシュハーブ、白い花の様な清涼感のあるアロマが感じられる。
全体的にハーブや燻製香、果実味が強い様に感じられる。酸はフレッシュで滑らか。過剰な突出はなく、比較的強いボディがある。シトラスやライムのような含み香、燻した香りが口の中に広がっていく。
爽やかだが、なかなかボディは強く厚みがある。


【所感】
まず高騰著しいクロルジャールから。
クロルジャールといえばやはりカベルネフランから生み出されるシュヴァルブランとも比較される強烈なソーミュール シャンピニー。今回は同じくソーミュールから作られるシュナンブランです。
まず特徴的なのは、おおよそ2008年、7年熟成とは思えないほどの熟成感でしょうかを1990年代前半のシャンパーニュを思わせる香ばしくも滑らかで甘露な香り。いわゆるマロラクティック発酵をしっかりとかけて減酸したタイプの味わいが熟成した時のブランデー、カラメル、黒砂糖の様なアロマが特徴的です。樽と果実味と酸が馴染んだ香りといいますか、そんな滑らかな香りを既に感じられます。かなり酸化的な措置をしているんじゃなかろうかと思います。
ただ馴染んではいるものの、少し気になるのは口に含んだ時の中抜け感です。何回か出くわすことがあって、例えばルシアン ル モワンヌの2011ラベイ ド モルジョ、アンリジローのコトーシャンプノワなど、比較的豊満に作る生産者で出くわす事も多いです。
あまり酸が無い年に減酸して、結果として旨味成分の骨格となる酸まで減退させている印象です。旨味成分自体は乳酸から作られるものなのですが、旨味に転化する前に終わっちゃってる感じ。少し勿体無いですね。
次にラドゥセットのバロン ド エル。
これは素晴らしいプイィフュメだと思います。
プイィフュメといえばディディエダグノーが最上の生産者とされますが、少し異質というか、プイィフュメから逸脱したものがあると思っています。
対してラドゥセットのそれはプイィフュメの王道を確実に抑えながら、その中での最上級の品質を実現していると思います。フレッシュなソーヴィニヨンブランの果実味、ただ青いフォキシーフレーバーは感じさせず、硬いミネラル感と燻した様なスモーキーな香り、白い花やフレッシュハーブのアロマが漂います。
プイィフュメの枠内で語れる範囲で最大限の複雑さとミネラルを感じさせてくれます。
凝縮した感じもありますし、酸と香り、含み香のバランスがとても良い。素晴らしいワインだと思います。
...しかし気になったのが、この特徴的な燻香がどこから出ているのか...です。
製造は基本ステンレスタンクで樽香が介在する部分は見受けられないのですが、これは一体...。
やはり酵母でしょうか。今後の参考のためにちょっとプロの人に聞いてみたいですね。




【アルザス・ロワール: 9】熟成を考える(フランス ロワール地方 ゲヴェルツトラミネール)

こんにちは、HKOです。
本日はアルザスの熟成ゲヴェルツトラミネールです。
リースリングは結構飲む機会があるのですが、ゲヴェルツトラミネールの熟成は稀です。
楽しませてもらいました...


【データ】
トリンパックはアルザスに1626年に設立された老舗ドメーヌ、現在の名声を確立したのは9代目フレデリックエミール時代。(現在は12代目)
45haの自社畑の1/3は特級畑、すべて有機栽培を実践しております。
今回のキュヴェ セニョール ド リボピエールは良年のみに作られる辛口ゲヴェルツトラミネールよ最上キュヴェです。全体のフラッグシップは白ラベルのクロ サンテューヌ、ヴァンダンジュ タルティヴ、セレクション グランノーブルがあります。
上位キュヴェとして金ラベルが、そしてネゴスラベルとして黄ラベルがあります。


【テイスティングコメント】
生産者: トリンパック
銘柄: セニョール ド リボピエール ゲヴェルツトラミネール 1985
品種: ゲヴェルツトラミネール100%

約20000円、WA88pt
外観は淡いストローイエロー、粘性は中庸。
比較的クリーンで少し残糖を残した様な香りを感じるゲヴェルツトラミネール。極めて若々しく、ゲヴェルツでありながらリースリングを思わせる香りを含んでいる。
ミネラル感が際立っており、引き締まったペトロール香がある。そして酸味が豊かなカリンやパイナップルなどの果実味、カマンベールの様な香り。バタークリームやイースト、そしてシロップやハチミツの様な甘み、ムスクのような風味が感じられる。
酸は繊細で、カマンベールの様な強い余韻を感じる。
余韻は長くパワフル。


【所感】
恐ろしく若いゲヴェルツトラミネールです。
以前少し熟成した2002年のフレデリック エミールを飲んだ時に、「こちらも若いな」と思いながらも、「きっとそもそもリースリングやゲヴェルツトラミネールはミネラル感しっかりとしているし長熟なのだろう」で済ませてしまっていたのですが、ほぼほぼ30年を経過しているヴィンテージがここまで若々しいというのは驚愕です。
ハチミツやカマンベールを思わせる熟成香はあるものの、まだまだボディは健在、若いヴィンテージは飲んだ事がないのですが、果たして如何程堅牢であったのか。恐ろしいワインです。
この原因は全くわからないんです。
ミネラルが乗っているのでボティがしっかりしているのはわかる。ただ熟成香があまり出てこないのは何故なのか。貴腐っぽいニュアンスが少しあるので、それかしら...アンチエイジングの達人だな...
シャルドネやセミヨン、ソーヴィニヨンブラン、マルサンヌ、ルーサンヌやヴィオニエの常識はちょっと通用しなさそうなワインですね...



プロフィール

HKO(はこ)

Author:HKO(はこ)
HKOです。
世界を股にかけない普通の内勤サラリーマン。
体はピノノワールとシャルドネで出来ていますが、最近は専らシラー、グルナッシュ、ヴィオニエなどの南仏品種や、ジンファンデルみたいな濃い品種が好み。貴重なワインや興味深いワインを求めて日夜東京を徘徊する日々。
食べ歩きを2014年頃からスタート。
ミシュラン星付きフレンチ(2017年度版まで)制覇まであと2店舗。
2店舗のハードルが高いので、最近は手軽なビストロなどを周遊。
基本フレンチ/イノベーティブ/フュージョンを愛するが、イタリアンや和食にも食指を伸ばす日々。ペアリングは考えず、皿の中で終局する世界観を大切にしています。

カテゴリ
最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
検索フォーム
ついった
物欲センサー
物欲センサー2
リンク
QRコード
QR