【アルザス・ロワール: 9】熟成を考える(フランス ロワール地方 ゲヴェルツトラミネール)

こんにちは、HKOです。
本日はアルザスの熟成ゲヴェルツトラミネールです。
リースリングは結構飲む機会があるのですが、ゲヴェルツトラミネールの熟成は稀です。
楽しませてもらいました...


【データ】
トリンパックはアルザスに1626年に設立された老舗ドメーヌ、現在の名声を確立したのは9代目フレデリックエミール時代。(現在は12代目)
45haの自社畑の1/3は特級畑、すべて有機栽培を実践しております。
今回のキュヴェ セニョール ド リボピエールは良年のみに作られる辛口ゲヴェルツトラミネールよ最上キュヴェです。全体のフラッグシップは白ラベルのクロ サンテューヌ、ヴァンダンジュ タルティヴ、セレクション グランノーブルがあります。
上位キュヴェとして金ラベルが、そしてネゴスラベルとして黄ラベルがあります。


【テイスティングコメント】
生産者: トリンパック
銘柄: セニョール ド リボピエール ゲヴェルツトラミネール 1985
品種: ゲヴェルツトラミネール100%

約20000円、WA88pt
外観は淡いストローイエロー、粘性は中庸。
比較的クリーンで少し残糖を残した様な香りを感じるゲヴェルツトラミネール。極めて若々しく、ゲヴェルツでありながらリースリングを思わせる香りを含んでいる。
ミネラル感が際立っており、引き締まったペトロール香がある。そして酸味が豊かなカリンやパイナップルなどの果実味、カマンベールの様な香り。バタークリームやイースト、そしてシロップやハチミツの様な甘み、ムスクのような風味が感じられる。
酸は繊細で、カマンベールの様な強い余韻を感じる。
余韻は長くパワフル。


【所感】
恐ろしく若いゲヴェルツトラミネールです。
以前少し熟成した2002年のフレデリック エミールを飲んだ時に、「こちらも若いな」と思いながらも、「きっとそもそもリースリングやゲヴェルツトラミネールはミネラル感しっかりとしているし長熟なのだろう」で済ませてしまっていたのですが、ほぼほぼ30年を経過しているヴィンテージがここまで若々しいというのは驚愕です。
ハチミツやカマンベールを思わせる熟成香はあるものの、まだまだボディは健在、若いヴィンテージは飲んだ事がないのですが、果たして如何程堅牢であったのか。恐ろしいワインです。
この原因は全くわからないんです。
ミネラルが乗っているのでボティがしっかりしているのはわかる。ただ熟成香があまり出てこないのは何故なのか。貴腐っぽいニュアンスが少しあるので、それかしら...アンチエイジングの達人だな...
シャルドネやセミヨン、ソーヴィニヨンブラン、マルサンヌ、ルーサンヌやヴィオニエの常識はちょっと通用しなさそうなワインですね...



【アルザス・ロワール:8】シノンの熟成カベルネフランを利く

お疲れ様です、HKOです。
本日はロワールの赤の名産地シノンを代表するシャルル ジョゲの古酒です。


【データ】
ドメーヌ シャルル ジョゲは1840年に設立されたシノンを代表する老舗生産者。1960年代半ばからドメーヌ元詰めを始めています。
15ha の所有畑からその区画と樹齢の違いにより5種類のシノンを生産。
栽培の細かな事は分かりませんが、平均樹齢30年、収穫から破砕までの時間を最短にするために、葡萄畑の真ん中に醸造所を置いています。


【テイスティングコメント】
生産者: シャルル ジョケ
銘柄: シノン クロ ド ラ ディオトリ 1999
品種: カベルネフラン100%

約9000円、WA-pt
外観はオレンジを帯びた淡いルビー、粘性は中庸。
極めてエレガントな体躯のカベルネフラン。熟成によってタンニンが完全に小慣れており、果実味の出方はサンテミリオンというより、ボルドーロゼにも似ている。
旨味に満ちたイチゴやフランボワーズの果実味。そしてカベルネフラン種に現れる僅かなシベット、獣香が主体的に感じられる。ドライハーブや濡れた土や木材、ウオッシュチーズの様な個性的な芳香をほのかに内包する。消毒液、ハチミツなどの風味も。
カベルネフランが完全に熟成するとここまでエレガントになるのか。それにしては足が速いが、ロワールの熟度だとこんなものかもしれない。
酸味は柔らかく、タンニンも穏やか。土やイチゴなどの余韻が感じられる。完全に熟成し、出汁の様な芳香が感じられる。


【所感】
周りではかなり評判が良かったようで、実際タンニンが綺麗に落ちたエレガントなカベルネフランになっていました。その一方でウォッシュチーズの様な独特の風味があり、独特のクセみたいのが混じるのが気になりますね。野生的で少し獣香的な風味が出ていると感じました。
液体自体はとてもエレガントなのですが、香りが少し雑多で洗練されているとは少し言いにくい味わいだと思います。
美味さでいうならば十分美味しいと思います。
ただボルドーの様な洗練された古酒とは少し趣が異なると感じました。悪いワインとは決してないです。



【アルザス・ロワール:7】不朽のリースリンク、フレデリック エミール2002

こんにちは、HKOです。
本日はアルザスの大手生産者トリンパックの上位キュヴェであるフレデリック エミールです。


【データ】
トリンパックはアルザスに1626年に設立された老舗ドメーヌ、現在の名声を確立したのは9代目フレデリックエミール時代。(現在は12代目)
45haの自社畑の1/3は特級畑、すべて有機栽培を実践しております。
今回のキュヴェ フレデリックエミールは特級ガイスベルグとオステルベルグの区画で作られたリースリングです。
フラッグシップは白ラベルのクロ サンテューヌ、ヴァンダンジュ タルティヴ、セレクション グランノーブル。
上位キュヴェとして金ラベルが、そしてネゴスラベルとして黄ラベルがあります。

【テイスティング】
生産者: トリンパック
銘柄: リースリング キュヴェ フレデリック エミール 2002
品種: リースリンク100%

WA92pt
外観は明るいストローイエロー、粘性は中庸。
アルザスらしい力強いミネラル感とリースリンク固有の個性的なペトロール香がある。極めて冷涼で引き締まった味わいがありながら、しっかりとしたボディが感じられる。カリン、ライチなどの旨みと酸味を感じさせる果実味、そしてドライハーブや白胡椒。ナッツやシナモンなどの芳香。
一番的なアルザスと比べると、ボディは厚めで、酸は柔らかく感じられる。極めて旨みのある味わい。アフターはカリン、ライチのエキゾチックな果実味が感じられる。


【所感】
より重厚なミネラルとペトロール香が存在していた2008年に比べると穏やかになっていると思います。とはいえ、依然強烈なペトロール香があることは間違いありません。
ヴァン ド ガルド型のワインである事は分かっていましたが、2002年ですら全体的な印象に変化がないのは驚きました。白胡椒やハーブのアロマはあまり変わりません。
果実味に関しては、もともとは熟したフルーツのアロマや味わいがありましたが、より、こなれた旨みが前に出ています。
ボディは穏やかになっていますが、依然力強いワインだと感じました。

しかしフレデリックエミールの飲み頃っていつ来るんだろうか...
クロ サン テューヌもそうなんですが、強固すぎて飲み頃の予想が全くつかねえ...

【アルザス・ロワール:6】ロワール最上の生産者、ダグノーのサンセールとニコラジョリーのクレ ド セランを利く

こんにちは、HKOです。
本日はロワール、ニコラジョリーとディディエダグノーです。
ビオディナミの伝承者とランファンテリブル、ロワール最上の生産者のフラッグシップ2本となります。

ニコラジョリーはロワール サヴィニエールに拠点を置くビオディナミの第一人者で、その農法は世界中の自然派ワイナリーに広く伝播しています。
保有している畑はサヴィニエール クロ ド ラ クレ ド セラン(7ha)、サヴィニエール ロッシュ オー モワンヌ(3ha)、サヴィニエール(3ha)。樹齢は平均40年、最も高い樹齢は80年にも及びます。
1984年からすべての畑でビオディナミで栽培が行われており、いわゆる今のプリミティヴなビオディナミ...牛や羊などを飼い、ハーブを育て、そこからプレパラシオンを作る。そして家畜による除草、耕作を行っている。
発酵時も自然酵母による発酵で温度コントロールしません。デブルバージュ、コラージュはせず、古樽で数ヶ月間熟成後、瓶詰め前にフィルター処理を行い出荷されます。

ディディエ ダグノーは、1983年に様々なキャリアを経てプイィフュメにドメーヌを興します。93年から有機栽培を始め、いわゆるソーヴィニヨンブランの枠組みを大きく飛び越える卓抜したプイィフュメを一貫して作り続けています。作付面積は11haほどで、その最高の区画である「シレックス」ヴィーニュフランセーズを使用した「ピュール サン」がフラッグシップとしてリリースされています。有機農法、大人数での手摘み収穫や選果。収穫した葡萄はプレス後、ステンレスタンクで2日間寝かせた後、22度まで温度を上げながら10-12日間木樽でアルコール発酵。マロラクティック発酵はしない。新樽20%-30%程度で12ヶ月シュールリーで熟成し、更に4~8ヶ月間の間ステンレスタンクで熟成する。最長で20ヶ月程度の熟成期間を経て、瓶詰めされ出荷されます。
今回のサンセールは価格帯で言うとシレックス以上アステロイド以下のフラッグシップ級ワインとなります。単純に希少性の為、というのもあるようですが。最近リリースされたばかりのアペラシオンが何故...実際シレックス以上に力の入ったサンセールなんでしょうね。

生産者: ニコラ ジョリー
銘柄: サヴィニエール クロ ド ラ クーレ ド セラン 1997
品種: シュナンブラン100%

15000円、WA94pt(1995)
外観は濃い目のイエロー、粘性は高い。
第一印象は塩味を感じるドライシェリーの様な熟成香、濃厚なドライアプリコット、ナッツの様なアロマが全面に感じられる。徐々に焼きたてのトーストやバター、動物的なオイリーさやドライハーブの風味。
基本的には熟成による要素が強く、かなり旨みが前に出ている印象。
口に含むと干したぶどうや出汁のアフター。
酸味は柔らかく、旨みが突出している。
ボディはパワフルで厚みがある。


生産者: ディディエ ダグノー
銘柄: サンセール ル モンダネ 2010
品種: ソーヴィニヨンブラン100%

21000円、WA94-95pt
外観は淡いストローイエロー、粘性は中庸。
プイィフュメほどミネラリーさは感じないが、岩を砕いた様な確かなミネラル感は存在する。第一印象は強いミネラルと共に感じられるムスクやフォキシーフレーバー、熟したマスカット。シロップの様な甘露さ、それに伴うバニラや白い花のアロマが感じられる。白檀やバターなどの要素も。プイィフュメと比べるとムスクの様な風味が前に出ており、果実味が高く、冷たいタッチでありながら瑞々しい蜜の要素がある。
口に含むとムスクや強いミネラル、マスカットのアロマが広がる。酸味は控えめで繊細、
ボディは細やかで軽やか。厚みのあるタイプではないが、繊細さは突出している。
わずかにアフターはスモーキーさが残る。


まず、ニコラ ジョリーから。
流石に90年代後半ということでかなり熟成感は出ています。ドライシェリーやドライアプリコットのアロマがあり、果実の甘露さより塩っぽさ、出汁っぽさが主体となっています。ボディがそもそも分厚く、それに加えて旨みがかなり前に出ている。ボトリティスに起因する香りはありません。
現段階でも既にかなり熟成を帯びているけれども、まだ果実味はほどけていない感じ。
果たしてここから本当の果実味を見せるのか、今の状態で体躯が柔らかくなっていくだけなのかは不明ですが、まだまだ熟成するのではないかな、と思います。
いずれにせよ、現在はまだ飲み頃ではないです。

次にサンセール ル モンダネ。
サンセールの小区画構成は細かくは知らないのですが、サンセール最上の区画に当たる様です。まあ真偽を確かめる事は出来ませんが(※なにせ市場にある殆どのサンセールは名もなき小区画やそれらの混醸で生み出されたものですから、ブルゴーニュの様な小区画の味の比較で優劣を弾き出すはまず不可能だと思います)そういうことなのでしょう。
さすがはディディエダグノー、鮮麗かつ絶巧たる出来栄えだと思います。
シレックスと比較すると幾分かミネラルは控えめで、その分プィィフュメより充実した果実味とムスクの要素が突出して感じられます。なのにミネラルが少ないからか体躯はやや緻密かつ繊細に感じられるのが不思議ですね。充実した果実味がありながら、どこかピュアで透明感の感じられるワインです。
素晴らしいです。普通のサンセールも美味しいですが、明らかに出色した出来栄えでグランヴァンにふさわしい味わいに仕上がっていると感じました。

ニコラジョリーはあまり飲み頃に差し掛かっていませんでしたが、若々しい魅力のあるディディエダグノーは非常に素晴らしかったです。



【アルザス・ロワール:5 】ディディエ ダグノー、熟成した希少ボトル。ビュイッソン ルナール 1999

こんにちは、HKOです。
本日はディディエダグノーの熟成ビュイッソン ルナールです。

ディディエ ダグノーは、1983年に様々なキャリアを経てプイィフュメにドメーヌを興します。93年から有機栽培を始め、いわゆるソーヴィニヨンブランの枠組みを大きく飛び越える卓抜したプイィフュメを一貫して作り続けています。作付面積は11haほどで、その最高の区画である「シレックス」ヴィーニュフランセーズを使用した「ピュール サン」がフラッグシップとしてリリースされています。有機農法、大人数での手摘み収穫や選果。収穫した葡萄はプレス後、ステンレスタンクで2日間寝かせた後、22度まで温度を上げながら10-12日間木樽でアルコール発酵。マロラクティック発酵はしない。新樽20%-30%程度で12ヶ月シュールリーで熟成し、更に4~8ヶ月間の間ステンレスタンクで熟成する。最長で20ヶ月程度の熟成期間を経て、瓶詰めされ出荷されます。

では、いってみましょう。


生産者: ディディエ ダグノー
銘柄: ブラン フュメ ド プイィビュイッソン ルナール 1999
品種: ソーヴィニヨンブラン100%

27000円、WA92-93pt(2009)
外観はストローイエロー、粘性は低く、僅かに微発泡している。
僅かにフォキシーフレーヴァー。ミネラルはかなり溶け込んでいるが、硬質なタッチは変わらない。石灰や石油の様なミネラル、熟したマスカットやカリンの甘露な果実味。マロラクティックに起因する要素は感じられない。そしてローストナッツやキノコ、アスパラガス。ムスクや白い花などの要素。
ソーヴィニヨンブランの瑞々しい要素とミネラルがしっかりと結合しておりボディに強烈な厚みを感じることが出来る。
酸はシャープなタッチを残しながら柔らかでマスカットやカリンの果実の余韻を残して行く。

シレックスとピュールサンの中間に位置するプイィフュメ。ダグノーのワインは若い時分その強烈なミネラルで飲み手を拒むが、熟成により本質を見せる。
今回の1999はその本質を見せるかと思ったがまだまだ若かった。
僅かに微発泡している。
若いワインならともかく15年近く熟成して発泡しているメカニズムがわからない。瓶内二次発酵の様に酵母がボトル内に潜んでいたのか。しかしそれなら澱があるはずだがボトル内に浮遊物は無かった。二酸化炭素が液体に溶け込んでいて、抜栓と同時に発生したのかも。熟成が遅いのは微発泡によって瓶内の酸素が減っている事にに起因しているのかも。
全体的にはムスクやフォキシーフレーバー、そしてミネラルが中心となっていて、熟成の要素はあまり感じられなかった。
酸とミネラルがダグノーのワインとしては穏やかだったので、その基準からすると、アロマには大きく反映していなくても、確かに熟成はしていたのかも。ただ最も良い状態になるまで、あと10年は必要かもしれない。
シレックス、ピュールサンと比べるとミネラルの含有量が異なる。シレックスが岩の様なミネラルだとしたらビュイッソン ルナールは石灰の様なミネラル。ピュールサンもビュイッソンルナールに近い。
全体的に最新ヴィンテージの方が品質自体は高い様に感じられる。
とはいえソーヴィニヨンブランにおいては突出した品質を持っているのも確か。
より古いヴィンテージで検証したいものだなあ。ドメーヌ興したての頃のヴィンテージまで遡らないとダメかもわからんね。




プロフィール

HKO(はこ)

Author:HKO(はこ)
HKOです。
世界を股にかけない普通の内勤サラリーマン。
体はピノノワールとシャルドネで出来ていますが、最近は専らシラー、グルナッシュ、ヴィオニエなどの南仏品種や、ジンファンデルみたいな濃い品種が好み。貴重なワインや興味深いワインを求めて日夜東京を徘徊する日々。
食べ歩きを2014年頃からスタート。
ミシュラン星付きフレンチ(2017年度版まで)制覇まであと2店舗。
2店舗のハードルが高いので、最近は手軽なビストロなどを周遊。
基本フレンチ/イノベーティブ/フュージョンを愛するが、イタリアンや和食にも食指を伸ばす日々。ペアリングは考えず、皿の中で終局する世界観を大切にしています。

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