【ブルゴーニュ:140】ブルゴーニュ最深部へ エシェゾー(アンリジャイエ、メゾンルロワ)

こんにちは、HKOです。
最終日はエシェゾー。ヴォーヌロマネのグランクリュとしては格下の部類のものですが、他の村のグランクリュと比べるとやはり突出した印象を受けます。
それだけヴォーヌロマネのテロワールに外れがないって事でしょうかね。
今回はそんなエシェゾーを最高の生産者で。
メゾン ルロワとアンリジャイエです。



【データ】
アンリ ジャイエはブルゴーニュにおいて最も高名な、神様とも称される生産者。1922年にヴォーヌロマネの小ドメーヌの3男として生を受け、1945年にはドメーヌの責任者に就任。
ルネ アンジェルから醸造学を学び、1973年に全量元詰めに。そこから劇的にブルゴーニュを改革していきます。
1988年に引退を宣言し、以降はエマニュエル ルジェと共同で95年まで年間7800本ほどのワインを生産者、96年~2001年までは自家消費用に年間3樽(960本)のクロ・パラントゥを生産しています。(ジョルジュ ジャイエ畑は継続)
アンリ ジャイエといえば「低温浸漬」「完全除梗」「新樽100%」。後続に大きな影響を与えたスタイルで、今尚多くの生産者がこのスタイルを実践しています。
全房発酵が主流だったブルゴーニュにおいて正に革命的な作りでした。
低収量、有機的・自然な耕作法、収穫時の選果を極限まで追求。収穫後は伝統を覆す100%除梗。破砕後は5~6日間13~15度で低温浸漬。発酵には天然酵母の使用。
朝夕2回ルモンタージュ。ワインの比重が下がってからピジャージュ。新樽100%で熟成。清澄・濾過は実施しません。
マロラクティック発酵後1回だけ澱引き。
今回は貴重なジョルジュ ジャイエ畑のエシェゾー。
全盛期でこそないものの、ビックヴィンテージ。かつ若々しい状態を味わえるのは非常に希少な体験でした。


マダムルロワが手がけるのは次の3つのライン、ドメーヌ部門のドメーヌ ルロワ、個人所有のドメーヌのドーヴネイ、そしてネゴシアン部門のメゾン ルロワ。目下最も手に入りやすく価格も安いのがメゾン ルロワですが、それでも並のドメーヌとは比べものにならないほど高品質かつ高額です。
メゾン ルロワはラルー ビーズ ルロワ率いる説明不要のブルゴーニュ最高のネゴシアン。栽培は厳格なビオディナミを行っている生産者のものから買い付けを行ない、新樽率100%で熟成、無清澄、無濾過で瓶づめが為されます。
ドメーヌ ルロワは、マダムルロワ自身の哲学が全て詰め込まれた自社畑で作られるプレステージライン。例え下位アペラシオン...例えば広域名称ワインですら、ルロワが全力を傾け、驚異的な品質を実現しています。しかしながらメゾンに比べると圧倒的にに値段は高く、希少性も非常に高いことで知られています。目印は赤いキャップシール。髙島屋と分割所有しています。
栽培は勿論厳格なビオディナミによって行われます。除草剤、殺虫剤、合成肥料、その他科学的処置は行われておらず。伝統的な方法で瓶詰めされます。無濾過、無清張。新樽率は100%。
超低収量で木1本あたり4房、1haあたり16ヘクトリットル。不良果以外を取り除いたのみで除梗はしません。



【テイスティングコメント】
生産者: メゾン ルロワ
銘柄: エシェゾー グランクリュ 1969

外観は橙を帯びたとても淡いルビーで粘性は低い。
極めてエキス的で完璧なブルゴーニュの熟成を思わせる澄んだ香りを感じさせる。各々の要素が完全に調和している。それでいて果実味はしっかりと残存している。梅や鰹だしの旨味の塊。アルヌーを更にスリム化し果実の甘露さを残した形ともいえる。
ミネラル感が生存しており、ほのかな白カビ、藁の様な香り。
そしてアセロラや梅しばの果実味があり、上白糖や蜜の様なほのかな甘露さを感じさせる。削ぎ落とされた香り。エキス。ラズベリーやイチゴのジャム。鰹を思わせる出汁などを基軸にする。濡れた土や落ち葉、木材の香り。スミレやバラ、ラベンダーなどのドライフラワーや熟成肉、サフランやグローヴの様なニュアンスを感じ取れる。徐々に焼いた帆立や藁、そして黄金飴の様なニュアンスも。
酸やタンニンは完全に落ち着いており、魚介の出汁や椎茸の出汁を思わせる旨味の塊が口の中にシルキーに広がっていく。美しい梅を思わせる余韻が恐ろしく。余韻も長い。



生産者: アンリ ジャイエ(ジョルジュ ジャイエ畑)
銘柄: エシェゾー グランクリュ 1999

外観はやや濃いめのルビーで粘性は中庸。
抽出の強さと共に繊細な体躯でありながら強い凝縮感と華やかさを感じさせる。驚くほど若々しい。
凝縮度や力強さはむしろ新世界に近い。蕩けるような甘さを見せる。
ミルキーで黒糖を思わせる熟した果実味。キャラメルトフィーや焼きたてのブリオッシュ、クリームブリュレを思わせる甘露さを前面に、ブラックベリーやダークチェリーのコンポートを思わせる強烈な果実味がある。非常に濃密で力強い。シャンピニオンの香り、そして華やかさはドライフラワー的で薔薇やスミレの香りが漂う。イメージ的には砂糖漬けだろうか。淹れたてのロイヤルミルクティーや熟成肉の香りが漂う。それと共にハーブやグローヴ、リコリスなどの要素が溶け合っている。驚くことにこれらの要素が全部一塊になっている。複雑。ユーカリや生肉、ハーブが襲い来る。椎茸的、濡れた木な出汁香もある。
タンニンや酸は基本的には落ち着いているが、まだまだ若々しさを残す。鉄分を感じさせながら熟成肉や椎茸のアミノ酸が繊細に広がっていく。妖艶に。木材やブルーベリーの余韻が美しく残っていく。存外に力強いワイン。



【所感】
言葉にならない...!至福すぎる!
最高感半端ない...メゾン ルロワのエシェゾー古酒、そしてアンリジャイエとは!ルロワの81年 クロ ヴージョを直近では飲みましたが、今回はさらに古いエシェゾー。
ヤバイっすね...しかも好きな畑だ...

まずはルロワ。
タンニンや酸などの要素の殆どを削ぎ落とし、残ったピュアなエキス感。古酒らしく極めて繊細でありながら緻密。
アセロラや梅しばを思わせる引き締まった旨味、澄んだ液体に潜む古酒ならではの土や枯葉、ハーブ、スパイスなどの複雑性。黄金飴を思わせる甘露さ。そしてDRCにも見られた焼いた帆立のニュアンス。
様々な要素が淡い液体の中で渦巻く小宇宙的な存在感。
梅、魚介や椎茸の出汁的な旨味の余韻が静かに広がっていきます。ルロワ時代のDRCの最終形もこうした形のスタイルになるのだろうか。似た方向性はよく見て取れる。
至ったバランス感は完璧、やや強めのDRCと比べると、これが至るべき最終地という感じがする。
塊というには拡散的で、拡散的というには引き締まっている、不思議な伸長性を持っている液体。
空想的で浮世離れしたワイン。
タイプとしては先述したロベールアルヌー、そしてフーリエの80 グリオットシャンベルタンにも近い。しかしより複雑で、多分房の影響じゃないかと...
古酒としても1段上のレイヤーにいるような気がする...
絶妙な古酒でした。

次にアンリ ジャイエ。お初です。
こう、想像したより遥かに凝縮感があって...極端な話モダンです。そして1999なのにメチャクチャ若々しい。
ただ樽や果実味、抽出が突出しているというより、各要素のバランス感がとても良いです。
例えばなめし皮や鉄釘が如き煌びやかさがあるかといえば無いし(むしろそれはギィアッカ的かもしれない)、そして焦げた香りがするかというとそれも無い。
黒糖やキャラメルトフィー、ブリオッシュ、クリームブリュレの様な(ある意味シャンパーニュの熟成にも似た)香りに、ピノノワールらしい華やかさやロイヤルミルクティー、熟成肉のニュアンスを感じさせる。スパイスやハーブなどの要素もある。そのくせ熟成による椎茸などの出汁の風味もあり、古酒であることは間違いない。
華やかさ、しなやかさ、果実味の凝縮がとても巧み。
互いの要素が良く調和した一塊とした味わい。
豊かな果実味とバランスのとれた醸造要素、今主流の作りの完成形がここにある様な気がしています。
エシェゾーらしさはジャイエの他のワインを飲んでないんでわかりません。飲んでみたいよ、クロパラントゥとリシュブール。

若いヴィンテージのイメージがあまり湧かないけど、逆算していくと、やっぱりエマニュエル ルジェやフーリエに辿り着くような形になるんじゃないかと思います。
今となってはそれを実証する事は出来ないですが...
という風に考えると、その素晴らしい体験をリアルタイムで感じる事が出来なかったことがとても悔しい。
1999はとても素晴らしいものでしたが、1本、1本と市場からなくなっているんだろうな...

唯一無二は納得、ただしかし他にも良い生産者は(恐らく当時よりは遥かに)いると思うので、次なる神が出る事を祈っています。









【ブルゴーニュ:139】ブルゴーニュ最深部へ リシュブール(シャルルノエラ、アンヌグロ、DRC)

こんにちは、HKOです。
ロマネ サンヴィヴァンに引き続き、本日はリシュブールです。


【データ】
面積:8.03ha
生産者:11名
全面積の約1/3(3.51.ha)はD.R.C.が所有。D.R.C.以外は1ヘクタール以下。
標高は260~280m。傾斜はなだらか。斜面は真東向き。傾斜上部にはクロパラントゥ、プティモン、北側にはオーブリュレ、スショ、下部にはロマネサンヴィヴァン、南側にはラ ロマネ、ロマネコンティが隣接。
構成するリューディは2種類でヴァロワイユ、リシュブール。母岩は石灰質で、粘土と泥土で構成される。


シャルル ノエラは1988年まで活動していた生産者で、最盛期にはかのアンリ・ジャイエ氏とも並び称されていました。
コート・ド・ニュイに多くの畑を所有していましたが、売却以降、いくつかの畑はラルー ビーズ ルロワに譲渡、アラン ユドロノエラに継承されています。すでに存在しないドメーヌの為、あまり醸造の情報はありません。


ドメーヌ アンヌ グロはフランソワ グロの一人娘。ミシェル、ベルナール、アンヌ フランソワーズとはいとこになります。
1984年よりボーヌとディジョンでぶどう栽培学とワイン醸造学を学び、1988年にドメーヌを引き継いでいる。以降精力的に畑の拡張やワインセラーの新調を行い、革新に取り組んでいます。
フラッグシップはリシュブール、クロ ヴージョ グランモーペルテュイ。
今回はフランソワ グロから継承したヴォーヌロマネ最高峰のリシュブール。収穫した葡萄は100%除梗。少し濾過処理するが清澄処理せず、80~90%新樽発酵を行い瓶詰めがなされます。


DRCは言わずとも知れたブルゴーニュに置けるトップドメーヌであり、燦然と輝く最高のグランクリュ、ロマネコンティを所有する唯一のドメーヌでもあります。
現在の共同経営者はA.P.ヴィレーヌとアンリ フレデリック ロックの2名。栽培責任者はニコラ ジャコブ氏、醸造責任者はベルナール ノブレ氏。
以前はラルー ビーズ ルロワが参画していました。
栽培はビオディナミ。セレクション マッサールでクローンを選定した小粒のピノファンを使用。古木である事も合わせグリーンハーヴェストなしでも30hl/haに留まる。栽培を行い馬を使って耕作をします。
除梗は出来の良い年は全房で、熟度の低い年は3~4割除梗される。発酵は各クリュ専用のオーク樽を使用。低温浸漬は15度~16度で3日間。ピジャージュとルモンタージュは行う。補糖は原則行わない。
キュゥェゾンは18日~25日。32度から33度でマセラシオンを行う。熟成に使う樽はトロンセ、ベルトランジュ、ジュピーユ、アリエ産のオークをDRCで購入し、フランソワフレールで作られる。新樽100%で熟成。清澄は卵白を使用して行います。
・リシュブール(レ リシュブール、レ ヴェロワイユ オー リシュブール)
樹齢30年~70年、標高260~280m、バトニアンのプレモー石灰岩、表土は80cm。


【テイスティングコメント】
生産者: シャルル ノエラ
銘柄: リシュブール グランクリュ 1967

外観は淡い橙を帯びたルビー、粘性は低い。
さながらトマトジュースの様なグリニッシュかつ突出した旨味がありながら、繊細な風味を感じさせる。
トマトジュースや鉄釘、血液などのニュアンスを主軸にナツメグ、甘草などのスパイス。極めてソースの様なニュアンスが感じられながら、雑破ではなく繊細に仕上がっていく。椎茸や熟成肉を思わせる旨味の塊が襲い来る。ドライハーブやグローヴのニュアンス、そしてプルーンや紫スモモを煮詰めた様な果実味。チーズや薔薇、オリエンタルスパイスなど。濡れた木材や土のニュアンスも当然ある。
複雑かつ旨味溢れる作りになっている。ほのかにMLFをまとっている。
口当たりが驚異的な旨味の本流。酸やタンニンは柔らかいのにアミノ酸的な旨味が強烈にチャージしてくる。
ふくよかに広がっていく旨味、出汁の風味。プルーンやトマト、血のニュアンスが出汁の要素を伴いながら広がっていく。


生産者: アンヌ グロ
銘柄: リシュブール グランクリュ 1999

外観は濃いめのルビーで粘性は中庸。
熟成して、なお華やかさと樽香をまとった風合いを感じさせる。非常に華やかかつロースティーでエナメルリムーバーや焦げたゴムや炭焼きなどの強烈な要素と共にアンリジャイエ的な果実味の強靭さを感じさせる。スミレや薔薇の華やかさ、ローストの強い樽香。
ドライハーブやグローヴなどの要素、そして紫スモモやダークチェリーの様な果実味がある。インクやハーブティー、乾いた茎などの青みがある。ユーカリ、マロラクティック発酵的なミルクティー、ビスケットの様な甘さ、イチジクなどの要素も感じられる。鉄分やスミレの様な要素もある。
酸もタンニンもこなれているが、グリセリン的な甘さがしっかりとあり、余韻に甘みを感じる。
凝縮感があり、スミレ、薔薇、紫スモモやダークチェリーの様な凝縮したニュアンスが感じられる。


生産者: ドメーヌ ド ラ ロマネコンティ
銘柄: リシュブール グランクリュ 2002

外観はDRCのルビーで粘性は中庸。
よく知る、いわゆるいつものDRCといった感じの風合いを感じさせる。素晴らしい。最高感しかない。
ミネラル感がそそりたつ。やや青さが強い。
オレンジやミント、ハーブ類の香りを非常に強く感じさせるアタック。そして徐々にフレッシュなストロベリーやラズベリーを潰した様な溌剌としたニュアンス。瑞々しい百合やスミレのニュアンス。
多少青さを先に感じる。ドライハーブ、ユーカリ、ピーマン、緑茶の様な要素。そしてミルクティーの様な滑らかな要素があり、漢方などの乾いた葉や土のニュアンス。
鉄釘などの鉄分を強く感じる風味、生肉やクローヴ、クルミなど。甘さは感じさせないが、とにかく華やかで清涼感があり、瑞々しい。
タンニンや酸は滑らかでオレンジや茎の様な要素を主軸にし、スパイスや束ねた花々の様な余韻を感じさせる。
この独特の華やかさや艶やかさはヴォーヌロマネを体現している。美しい。



【所感】
お次はリシュブール。
ヴォーヌロマネにおけるモノポール以外で最高峰の別格特級畑。伝説的な生産者シャルル ノエラと、ジャングロを受け継ぐアンヌ グロ。そしてDRCです。
今回は年号がそれぞれ大幅に異なる為、比較はできないんですが、それぞれでいきたいと思います。

まずは若い方から、DRCのリシュブール 2002。
なんとなく所感なんですが、DRCってこれくらいの熟成がとても美味しい様な気がします。古くても美味しいし、まあ新しいヴィンテージでも風格があるのですが、要素が馴染み初めて若々しさと熟成感が調和している味わいは絶妙という他ありません。よく知るDRCのスタイルですが、やはり素晴らしいです。
基本的には清涼感と凝縮感に満ちた作りで、ミネラルが充実しています。全房発酵による青さがありますが、完全に複雑さの一部として機能しています。ただ全体的にはフレッシュなストロベリーやラズベリー、オレンジの様な果実とともに、ごく自然な百合やスミレの華やかさが共存しています。
いわゆるアロマオイルや強い鉄分を思わせる華やかさというわけではなく、まさに花束の様なナチュラルな華やかさが感じられます。乾いた葉やミルクティーの要素があり、ギュッと引き締まった果実味の中に様々な要素を包含し、強い香りを放っています。
甘露さこそないものの、密度の高い香りです。
タンニンと酸は熟成により滑らかに、オレンジなどの清涼感のある香りの美しい余韻が長く続きます。
一見して偉大です。いわゆるDRC的ですが、果実味の質感や華やかさはかなり突出していると思います。

次にアンヌ グロ。こちらは少しモダンな感じですね。
DRCよりエイジングを重ねていますが、集中した果実味とロースト香、そしてMLFの要素があります。
今現在主軸になっている味わいという感じでしょうか。
樽香はかなり強く残っていると思います。
外観も濃いめのルビーで若々しい。
黒系果実の濃厚な果実味で甘露。樽香とギラギラした華やかさがあります。時期的に低温浸漬をしっかりと行うのが主だった時期だからかもしれません、かなり凝縮しながら果実と樽を立たせた作りと言って良いのではないかと思います。
熟成感はイチジクやハーブ、スパイスの要素などで出てはいますが、まだまだ若々しく、液体からくるグリセリン感は強め。さりとてタンニンと酸は滑らかに。
良いブルゴーニュのお手本の様なリシュブールです。
余韻にも甘みが感じられ、かなり良い作りをしていると思いますが、古酒ならではのエクスタシーに欠ける部分はあるなあ、と。こなれたワインとしては上出来ですね。

最後は名手シャルルノエラのリシュブール。
これは本当に楽しみにしていました。
ジャン グロやルネ アンジェル、ショパン グロフィエなどの古き名手のものはなかなか飲む機会がないですからね。
恐らく果実味より抽出が強めだったのでしょうか。
トマトジュースさながらの青いニュアンスと鉄釘や血液にも似た華やかさ、ナツメグの要素が軸となり、旨味の塊になっています。ただこの熟成感には少し評価が分かれそうですが。順当にジャン グリヴォーの今の作りが熟成を経た様なタイプかもしれません。ただ雑多というより繊細では当然あって、ドライハーブや煮詰めた黒系果実、スパイスの要素が感じられます。香りはなかなか個性的ですが、味わいはまさに超絶。驚異的な旨みがあり、酸やタンニンが控えめでありながら出汁を何重にも取った様な旨みが口の中に広がっていきます。
典型とは言い難いですが、作りは様々なのでこう言った古酒もあるのか...という感じ。
ルロワやフーリエなどの熟成とは方向を異にしたタイプの古酒ではあると思います。

このテイスティングの中でリシュブールの本懐を見つける事は出来ませんでしたが、RSV同様華やかさがあり、果実味もどれも強めに残っていたと思います。
やはり凝縮感が強い。それが共通点なのかもしれません。
方向性がちがうからなかなか見出しにくいですね。
ただ果実の出来が一番最もたる部分だと思いますので、そういう意味では先述した結論が妥当にも思えます。


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【ブルゴーニュ:138】ブルゴーニュ最深部へ ロマネ サン ヴィヴァン(ロベール アルヌー、DRC)

こんにちは、HKOです。
本日は連続4回のブルゴーニュレポート、2回目 ロマネ サン ヴィヴァンです。
ご存知かもしれませんが、少し前に(hrmko.blog.fc2.com/blog-entry-1215.html)ロマネサンヴィヴァン6種類をいただく機会がありましたが、それに続き、今回の2種類。前回頂いたものと同等クラスの古さがありますが、一体どういった熟成を経ているのでしょうか。


【データ】
面積:9.44ha
生産者:10名
全面積の約半分(5.29ha)はD.R.C.が所有。D.R.C.以外は1ヘクタール以下。
標高は247~260m、ヴォーヌ・ロマネのグラン・クリュにおいて最も低い。傾斜はなだらか。斜面は真東向き。傾斜上部にはロマネ・コンティ、リシュブール、北側には1級レ・スショ、南側にはラ・グランド・リュが隣接。
土壌はロマネ・コンティより深く90cm程度で、粘土質の強い酸化鉄を含んだ茶褐色の土壌。母岩はバジョシアンのウミユリ石灰岩。全体の収量は35hl/ha。

ロベール・アルヌーは、ブドウ栽培家としては既に200年以上も同じ場所に居を構えるという旧家。
収穫の後、除梗。破砕せずにステンレスタンクへ。2~8日間10度の低温浸漬を行い、計18~20日かけて醗酵。圧搾後は、3~4日かけてデブルバージュし、熟成。新樽100%。熟成期間は16~18ヶ月。無清澄・無濾過。
グランドリュ側の区画を保有。トマ・モワラールから譲渡。

DRCは言わずとも知れたブルゴーニュに置けるトップドメーヌであり、燦然と輝く最高のグランクリュ、ロマネコンティを所有する唯一のドメーヌでもあります。
現在の共同経営者はA.P.ヴィレーヌとアンリ フレデリック ロックの2名。栽培責任者はニコラ ジャコブ氏、醸造責任者はベルナール ノブレ氏。
以前はラルー ビーズ ルロワが参画していました。
栽培はビオディナミ。セレクション マッサールでクローンを選定した小粒のピノファンを使用。古木である事も合わせグリーンハーヴェストなしでも30hl/haに留まる。栽培を行い馬を使って耕作をします。
除梗は出来の良い年は全房で、熟度の低い年は3~4割除梗される。発酵は各クリュ専用のオーク樽を使用。低温浸漬は15度~16度で3日間。ピジャージュとルモンタージュは行う。補糖は原則行わない。
キュゥェゾンは18日~25日。32度から33度でマセラシオンを行う。熟成に使う樽はトロンセ、ベルトランジュ、ジュピーユ、アリエ産のオークをDRCで購入し、フランソワフレールで作られる。新樽100%で熟成。清澄は卵白を使用して行います。
・ロマネサンヴィヴァン
樹齢15~50年、標高250m~265m、粘土質、表土は2m。



【テイスティングコメント】
生産者: ロベール アルヌー
銘柄: ロマネ サン ヴィヴァン グランクリュ 1989

外観はやや濃いめのルビー、粘性は中庸。
かなりエキス感が出始めている、ルロワの透明感に近づきつつある作りとも言える。
エナメルリムーバーや華やかな薔薇やスミレのドライフラワーを基軸にして、繊細な梅やアセロラの様な旨味を感じる果実味とラズベリーのジャム、そして濡れた木材や葉、土の要素が感じられる。磯を思わせる海苔、オレンジの様な清涼感のある要素、そして紅茶や炭で焼いた様なほのかな要素、そしてほのかなシベットの要素のなかに茎やハーブ、グローヴやユーカリなどのグリニッシュさ、ベーコンの様な香ばしい香り、ほのかにタバコを感じさせる。
基本的にはエキス感に寄った作りではあるものの、華やかさが前面に立っている。多少鉄や血の香りが主軸になり、獣香に遷移していく。
酸とタンニンは柔らかくバランスが絶妙の状態。引っかかるわけではなく、ひたすら滑らかに出汁的な広がりを見せていく。木材や葉、アセロラ、出汁のようなニュアンスが広がっていく。秀逸。


生産者: ドメーヌ ド ラ ロマネコンティ
銘柄: ロマネ サン ヴィヴァン グランクリュ 1989

外観はやや濃いめのルビー、粘性は中庸。
凝縮感が非常に強く、まだまだ力強い体躯を維持している。やや青々しさと樽の熟成香を残している。
焼いた帆立や炭焼き、そして鰹節の様な香りを基軸にドライハーブや乾いたシダーウッド、グローヴなどの要素が前面を据える。その一方で強烈な華やかさを放っており、スミレや薔薇のドライフラワーなどのニュアンスも顕著に現れている。骨子に果実はあるが感じられる香りはまずは異なる。その中にオレンジの清涼感、ブラックベリーやプルーンのドライジャム、ミルクティーを骨子に据えて、これらが一塊となって感じられる。
ややグリニッシュ。濡れた土、熟成肉やムスク、トリュフの様な香りが感じられる。
酸味は柔らかく、タンニンも落ち着いている。
しっかりと出汁的なニュアンスがありながら、ハーブや濡れた木材、焼き帆立、薔薇やスミレの余韻を綺麗に伸びていく。旨味がしっかりとあり、口の中で爆発する。


【所感】
ロベール アルヌーはブルゴーニュ...ロマネサンヴィヴァンの熟成の典型とも言える作りになっています。
透明感があり、素晴らしく華やか。
ギュッと引き締まった梅やアセロラなどの旨味、酸。オレンジの様な清涼感、海苔や紅茶の要素などが澄んだ液体の中に溶け込んでいます。前回のカティアール モリニエやルイ ラトゥールと比べるとまだ少し若く、華やかさが幾分か前に出ている様な気がします。
華やかさの部分の違いが大きいので、たぶん経年によるものが大きいのではないかと。ルイラトゥール 1985とロベール アルヌー 1989は大体同じくらいの作柄みたいですし。こう見ると90年台前半(20~25年)くらいが一番特徴を残すんですかね、80年台前半に(30~35年ーなるとやはり枯れ感が主軸になってきて果実味の残り具合で判別する形っぽい。
エキス感に満ちていて、華やかな素晴らしい古酒でした。


次にDRC。
少なくとも経験上ルロワの時代ではあるんですが、DRCの古酒は焼いたホタテの様なニュアンスを結構感じていて、鰹節や木材の香り、華やかさとジャミーな果実味が主軸となっている印象です。
旨味が非常に際立っている。そして凝縮感も極めて強く引き締まっていて、香りの立ち方はかなりパワフルな印象を受けます。そして華やかではあるのですが、エレガントで品がある...というタイプにはならず、より剥き出しのエネルギーを感じさせる一本に仕上がっています。
熟成肉、青い梗の様なニュアンスはまだ残っています。
非常に多くの複雑な要素を内包しています。
若々しい...というわけではないですが、古酒なのに要素がかなりしっかりと立っている。
無二の偉大な古酒という感じがしますね。

やはりサンヴィヴァン、少し強めに華やかさが残るんでしょうかね。素晴らしいサンヴィヴァンでした。


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【ブルゴーニュ:137】ブルゴーニュ最深部へ(序説)

こんにちは、HKOです。
これから年末に飲んだブルゴーニュをぼちぼち更新していこうと思います。
今回は序章ですが、かなりいいワインから始まります。
ただこの後のはすごいですよ...!
お待ちくださいませ!


【データ】
シャルル・ヴァン・カネット率いるアラン・ユドロ・ノエラは1964年に祖父アラン・ユドロが起こしたドメーヌ。シャンボール・ミュジニーの家系ですが、ジャン・ジャック・コンフュロンとも類縁関係にあり、珠玉の特級、一級畑を保有しており、非常に評価の高いドメーヌです。
栽培は場合によってビオを使用する場合もありますが、リュットレゾネ中心の農法を行っています。
収穫後、除梗はせず、10日間の低温浸漬、アルコール発酵、プレス時に種子によるタンニンの抽出を避けるためバスケットプレスでプレス。
新樽比率は村名20%、一級30-50%、特級60%で12ヶ月-17ヶ月で樽熟成を行っています。フラッグシップはリシュブール、ロマネ・サン・ヴィヴァン。

ドメーヌ ピエール ダモワは20世紀初めに設立されたドメーヌ。本格的な元詰めを始めたのは2代目から。現在は4代目のピエール ダモワが指揮を取っています。シャンベルタン クロ ド ベーズの最大所有者。所有する11haの畑はシャペル シャンベルタンとクロ ド ベーズの2つのグランクリュのほぼ半分。
栽培はリュット レゾネ。ただでさえ収量の少ない古木に対して、剪定とグリーンハーヴェストなどによって収獲を抑え、更に遅詰みによって成熟した果実を収穫しています。
特に単独所有しているクロ タミゾは平均樹齢約70年以上。
除梗後、ステンレスタンクでプレマセレーション。
新樽比率は高めでACブルで30%、特級は100%。16~24ヶ月熟成。無濾過、無清澄。

ペロ ミノはドメーヌ アルマン メルムが二つに分裂して出来たドメーヌ。現在の当主はアンリジャイエに師事したクリストフ ペロ ミノです。
ワインアドヴォケイト(パーカーポイント)高得点常連ドメーヌで華やかで濃縮感のあるピュアなピノノワールを造ります。樹齢は高く最高齢のもので100年にも及ぶ。栽培は全てリュットレゾネによって行われグリーンハーベストにも積極的に取り組み、収穫は手摘みで行います。
除梗は50%-100%。10~14日間の低温浸漬。抽出をし過ぎないようにルモンタージュは優しく行われます。
もともと新樽率は特級100%、一級50~100%、村名30%でしたが、現在はミディアムに焼いたトロンセ、ベルトランジュのオーク新樽で村名20%、特級ですら30%程度。熟成期間は12ヶ月から14ヶ月。無清澄、ノンフィルターで出荷します。
フラッグシップはシャンベルタン、クロ ド ベーズ、シャルム、シャペル、マゾワイエール、クロヴージョの特級群の他、樹齢70年以上のブドウを使用した1級コンブ ドルヴォー、リシュモーヌのキュヴェ ウルトラがある。



【テイスティングイベント】
生産者: アラン ユドロ ノエラ
銘柄: ヴォーヌロマネ プルミエクリュ レ マルコンソール 2014

外観は赤みの強いルビーで粘性は中庸。
極めて華美な華やかさと共に、熟した果実の甘露さを併せ持った卓抜したマルコンソール。
スミレのアロマオイルや鉄釘、血液を思わせる華美な香りと共に、ブリオッシュやパウンドケーキ、熟したストリベリーやブラックベリーの様な果実味が漲っている。デーツの様な濃縮した感じがある。ミルクティー、シナモン、白檀の様な木の香り。生肉、バニラやお香の様な香りも感じられる。
香りの強烈さに対して、ややボディは薄めでありながら、シルクのようなタンニンと滑らかな酸があり、上品。
じんわりと広がる旨みがあり、果皮の華やかな鉄の様な要素と豊かな果実味の余韻が伸びていく。


生産者: ドメーヌ ピエール ダモワ
銘柄: シャペル シャンベルタン グランクリュ 2011

外観は赤みの強いルビーで粘性は中庸。
かなり果実の凝縮度が高く、樽の要素も強めに感じられる。紅茶や木材、焼いたゴムの様な香りがはっきりとあり、そこに付随する様に凝縮したブラックベリーやダークチェリーの様な果実味が感じられる。全体に行き渡る様にバターの要素が付加され、華やかでスミレやバラ、そして血液の様なニュアンスも。野生的ななめし皮、燻製肉、オリエンタルスパイスやグローヴの様な要素が感じられる。
タンニンはやや強めだが、酸は柔らかく、タッチはやや平坦にも感じられるが、華やかな含み香やほのかにりんごの皮を思わせる様な溌剌とした余韻はなかなか素晴らしい。


生産者: ドメーヌ ペロ ミノ
銘柄: シャンベルタン クロ ド ベーズ グランクリュ 2011

外観は赤みの強いルビーで粘性は中庸。
引き締まった凝縮した果実味が主体的で、先鋭的な華やかさが付随する形のクロ ド ベーズ。
熟したブラックベリーやダークチェリー、それらのリキュール。溶剤やスミレの様な華やかさ、そして滑らかなクリームやブリオッシュの様な甘い芳香が感じられる。バニラや松や紅茶、木材の風味。チーズ、バター、シナモンやグローヴの要素が感じられる。
過度な抽出や新樽香は無く、ごく自然に凝縮した果実味を演出する形で作られており、ふわりとMLFが輪郭を柔らかくしている。わずかに青さがありグローヴの様なニュアンスが感じられる。
タンニンや酸は若々しいがグリセリン感があり、甘やかで、バニラやベリー、アセロラの様な余韻を感じる事ができる。



【所感】
ブルゴーニュ特集第一弾です。
貴重なアランユドロノエラのマルコンソール、ピエールダモワの虎の子シャペル シャンベルタン、そして名手ペロ ミノのクロ ド ベーズです。
まずはユドロ ノエラのマルコンソールから。
ラ ターシュに隣接する最高峰の1級畑ですが、サンヴィヴァンと比較しても決して遜色のない素晴らしいワインになっていると思います。
そもそも果実の熟度が極めて高く、さらにヴォーヌロマネらしいアロマオイルを想起させる強靭な華やかさがあります。
樽と果実味、MLFがバランスよく重合し、ブリオッシュやパウンドケーキの様な甘露さ、ミルクティーの様なまろやかなニュアンスが感じられます。黒系の果実味も素晴らしく、非常に明確に香りが立ち上がってきます。香りの強烈さと裏腹にボディはわずかに薄めですが、酸が立っているわけではなく、全体的に滑らかで旨味が広がるバランス型の味わいになっていると思います。
マルコンソールとしては上品の様な気もしますが、やはり比類ない特級クラスの味わいであると思います。

次にピエール ダモワのシャペル シャンベルタン。
さすがに古木、グリーンハーヴェスト、遅摘み。
かなり凝縮度が高く樽のニュアンスも強めです。
薄旨とは対極のかなりパワフルな味わいのピノノワールだと思います。果実味は黒系の濃密な果実味を感じられます。
華やかさもありますが、樽や果実味と比べると引っ込んでいる感じ。遅摘みというのもあり、酸は少し弱目ではありますが、それを弾き返す位の豊かな果実味が楽しめます。
他のキュヴェと比較していないので、シャペルらしい特徴を出しているのかはわかりませんが、もともと温暖になりやすい傾向のあるシャペルとダモワの作りは上手い事マッチしてるんじゃないかと思います。

次はペロ ミノのクロ ド ベーズ。
凝縮感のある熟した果実味が感じられつつ、先鋭的な華やかさが付随するクロドベーズです。
基本的にはリキュールの様なねっとりとした果実味を主体として、溶剤やスミレ、樽やMLFが混じり合ったクリームやブリオッシュの要素、紅茶などの要素があります。
とても良くバランスの取れているワインで、抽出が過度だったり、新樽香が強すぎたり、ということはありません。
少し青さが見えるあたり、どことなくアルマンルソー的なエレガンスを垣間見てしまいますね。口当たりにグリセリン感があり、酸やタンニンは生き生きしているのに球体を感じさせるタッチが素晴らしい。
やはりクロドベーズは冷涼感がありつつも、シャンベルタンと比べるとどこか温暖さを感じる作りですね。シャンベルタンの様な冷たい堅牢なタッチがない。
結構強いワインではありますが、かなり品のある1本だと思います。こちらもシャンベルタンなどの特級クラスと水平した訳ではないので、なんとも言えませんが少なくとも抜群にレベルの高いブルゴーニュ、というのは1発で感じ取れます。ヤバイですね...マジで。







【ブルゴーニュ:136】クリュ ボージョレの誘い。ジュリエナ、ブルイィ古酒とムーランナヴァン。

こんにちは、HKOです。
本日はクリュ ボージョレをいくつか取り上げてみます。


【データ】
生産者に関してはあまり情報がないので、割愛。
テロワールのみ記載します。

ムーラン ナ ヴァンは、 10年程度の中長期熟成が可能な、強靭なタンニンを備えたワインを生み出すAOC。
特徴が似たAOCシェナと隣接し耕作面積は約670ha。15の区画がAOC名に併記を認められている。中でもクロ デ ロッシュグレは優れた畑のうちのひとつで、 標高は高く300mを超え、赤い表土はマンガンを多く含む。全体的な畑は標高230~390mにあり、マンガン含有度が高いもろい花崗岩の土壌である。

ジュリエナは、2~5年程度の中期熟成が可能な個性的で力強いワインを生み出すAOC。
クリュ ボージョレの中で最北に位置し、マコネ地区のサン ヴェランと隣接、AOCサン タムールの西側に位置する。
標高230~430mの南斜面に畑は位置し、サン タムールより標高が高く急斜面。土壌は痩せて乾いた花崗岩・片岩質土壌。

ブルイィは軽やかで繊細なガメイを生み出すAOCで長期熟成に向かず、収穫から4年以内に飲まれる事が望ましいとされている。
クリュ ボージョレの中で最も南に位置する。耕作面積が最も大きく約1,330ha程。片岩と花崗岩の混ざった土壌の畑だけからAOCブルイィを名乗ることができる。
このAOCではガメイのみでなく、シャルドネ、アリゴテ、ミュスカデの混醸を認められている。

生産者によっても異なるかと思いますが、大筋この中だとムーランナヴァンが力強く、追ってジュリエナ、ブルイィとなる様ですね。



【テイスティングコメント】
生産者: ドメーヌ デ ロジエ
銘柄: ムーラン ナヴァン エグゼクティブ セレクション 2015

外観は紫を帯びた濃いガーネット、粘性は中庸。
当然ガメイ的な性質は非常に強いが、タンニンと酸の体躯が非常に強く、時折ニュージーランドの良いピノノワールを思わせる側面が見え隠れする。
香りはキャンディっぽく、かつ黒胡椒やスパイスの様な香りが先行して感じられる。茎や燻製肉、そしてブラックベリーやブルーベリーの様な果実味、やや強めに抽出した様なスミレやバラの要素、焦がした木材の様な香りが感じられる。クローヴやサフランなどの要素もある。
どこかシラーを思わせる要素も拾うことができる。
タンニンはガメイとしてはかなり力強く、酸もしっかりと聞いている。しかしボディとしてはやや水っぽく、アルコール感は控えめで、抽出と酸が際立っている感じだ。
華やかさと黒系果実の果皮の素直な余韻を残す。



生産者: ドメーヌ デュボ
銘柄: ブルイィ 1998

透明感があり一切の濁りがない淡いルビー、粘性は中庸。
驚くべきガメイ。美しく熟成したガメイの本質を知ってしまった。非常に繊細でありながら果実味は充実している。
熟したストロベリー、レッドカラントの様な果実味があり、甘露な上白糖の香りを伴ってくる。
瑞々しく華やかで、ほのかにオレンジの香りも感じさせる。小さな赤い花や紅茶、グローヴやハーブの香りを漂わせる。粘土や出汁のような香り。生肉やチーズの要素。
酸やタンニンは完全に落ち着いており、濃密な出汁や梅しばの様なエレガントな酸味と旨味が突出している。
優しいタッチで、瑞々しく、熟成クリュ ボジョレーの素晴らしさを十分に感じさせる。


生産者: ドメーヌ ド モパス
銘柄: ジュリエナ 2001

外観はやや濁りのあるルビーで粘性は中庸。
古酒感がかなり出てきている。梅酒的。
輪郭はしっかりと残していながら梅やアセロラ、プラムの様な果実味が感じられる。少しシェリー的で鉄分や塩気のある燻製肉や出汁のような風味が感じられる。野生的ではないが、味の方向は熟成に寄っている。ドライイチジク、トースト、スミレのドライフラワーのような華やかさ、土の要素。シナモンなどの要素。
酸やタンニンは落ち着いているものの、少し酸が跳ねている、というか生きている。梅やアセロラ、果皮のような余韻が残る。



【所感】
まずはムーランナヴァン。
これはAmazonのやつですね。Amazonの公式見たら酒販担当の森山氏という方が頑張って選んだみたいです。ジョルジュデュブッフの監修付き。
個人的にはまああまり期待できんなぁ、とは思っていたのですが、これがなかなか良くてですね。
ガメイの軽やかさや果実味は当然ながらあるのですが、骨格がしっかりしていて、ちょっとピノノワールっぽく仕上がっているな、と思いました。それと結構スパイシーな側面が強く、どことなくシラーを思わせる黒胡椒的なニュアンスもあったりして意外と起伏に富んでいるのがいいですね。
香りもタンニンも酸も豊かなので、比較的ボディは厚いのかな、と思わせるのですが、そこはガメイ、流石にそこまでは至らず、やや軽めのボディで、フルーティーな余韻を残していきます。

次からはガメイの熟成。
まずは最も軽いとされるブルイィの熟成から。
しかも推奨4年以内ですが、今回のは98年。18年程度の熟成を経ているものとなります。
これが、ちょっと予想していたより遥かによくってビックリしました。もともと「大丈夫か...?」というところから始まっているとはいえ、それでも超綺麗に熟成している。
その枯淡っぷりは、まあ確かに?80年とか70年代のワインを飲んでいる様な淡さで、過ぎていると言えなくもないのですが、それを置いても良いワインになっていると思います。
全体的に出汁っぽいのですが、その中にちゃんと果実味がある。果実味は熟した赤系果実で上品な甘露さが漂っており、それを主軸にしてオレンジや紅茶、チーズなどの風味。
含み香としては梅しばの様な感じですね。
極端に複雑なわけではないのですが、キッチリと削ぎ落とされて良い部分が残っているブルイィだと思います。
なかなか出会えないだけにオススメしにくいですが、オススメです。

次にジュリエナ。
梅酒的な味わいで、方向性としては先ほどのブルイィに近い円熟の仕方をしていると思います。ただこちらの方が幾分かシェリーの様な塩気や鉄分、燻製肉の様なニュアンスが出ています。少し酸が跳ねているので、こちらの方が幾分かバランスの悪さがありますが、これはこれで十分にガメイの熟成の良さがわかる作りにはなっているな、と感じます。いいワインだと思います。

やはりガメイの熟成も大方の予想通りピノノワール寄りの熟成となる様ですね。ただ飲み頃は...というか熟成はやっばりこちらの方が遥かに早く訪れるのがよくわかりました。
こう、ピノノワールでいうと80年代あたりの熟成感を90年代から感じられるのはお得といえばお得か。
ただしょうもないワインも多かろうと思うので、選ぶときは慎重さが必要かもしれません。
逆にティボーリジェベレールやルイジャドのムーランナヴァンなんかは良く出来過ぎている感があるので、手軽さはちょっとないかも。あれはピノノワールと同等の曲線しか見えない。








プロフィール

HKO(はこ)

Author:HKO(はこ)
HKOです。
世界を股にかけない普通の内勤サラリーマン。
体はピノノワールとシャルドネで出来ていますが、最近は専らシラー、グルナッシュ、ヴィオニエなどの南仏品種や、ジンファンデルみたいな濃い品種が好み。貴重なワインや興味深いワインを求めて日夜東京を徘徊する日々。
食べ歩きを2014年頃からスタート。
ミシュラン星付きフレンチ(2017年度版まで)制覇まであと2店舗。
2店舗のハードルが高いので、最近は手軽なビストロなどを周遊。
基本フレンチ/イノベーティブ/フュージョンを愛するが、イタリアンや和食にも食指を伸ばす日々。ペアリングは考えず、皿の中で終局する世界観を大切にしています。

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